2025年5月5日から5月11日にかけて、海外各地では多彩な宗教的伝統行事が開催されます。今回は、日本では見られない3つの祭典を選びました。穏やかに祈りを捧げる厳かな行事から、賑やかな祭りまで、旅行者にも魅力的なイベントをご紹介します。
1. ヤソートーンのブン・バン・ファイ(ロケット祭)
開催日: 2025年5月10日(土)〜11日(日)
開催地: タイ・ヤソートーン県ヤソートーン市
祭典の歴史と特色: ブン・バン・ファイとは、タイ東北部イサーン地方に古くから伝わる雨乞いの祭典です。田植え前に手作りの大型ロケットを天に向けて打ち上げ、雨の神様への祈りを捧げるもので、豊作を願う稲作文化の風習が残ります  。祭り自体は豪快でダイナミックです。メインの催しとして、土曜日にはチームごとの山車で行われるパレードがあり、山車には豊穣を象徴するユーモラスな飾りや奇抜な扮装の踊り手が登場し、祭りを盛り上げます。日曜のクライマックスでは、最高高度を達成したロケットが優勝となり称賛される一方、爆発・不発に終わったロケットのチームは泥水池に放り込まれるという可笑しな罰ゲームが待っています 。
参考リンク: タイ国政府観光庁イベント情報 (Bun Bang Fai Festival)
2. 長洲島の太平清醮(包山祭り)
開催日: 2025年4月27日(日)〜5月6日(火)(主要な行事日は5月5日〜6日)
開催地: 香港・長洲島
祭典の歴史と特色: 香港市街からフェリーで約1時間の小さな島、長洲島で開かれる「包山祭り」は、世界でも珍しい民間宗教行事です。記録によれば清朝末期の1901年頃、島内でペスト(疫病)が流行した際に、悪魔を追い払うため地元の道教徒が始めたのが起源とされています。獅子舞やパレードで人々を魅了する人気の祭典となっており、中でも5月初旬に行われる「浮いている子ども」(飄色, Piu Sik)パレードは、小さな子供達が特別な台座に乗って宙に浮かんでいるように見える演出が最大の見どころです。深夜に開催される「包山登り」競争では、高さ約20mのタワーに無数の饅頭が飾られ、頂上を目指して参加者たちが一斉に駆け上がり、より多くの縁起物のパンを奪い合います。これらのクライマックス以外にも、北帝廟(ほくていびょう)での道教の儀式が徹夜で執り行われ、邪気を払い島の安寧を願う伝統行事でありながら、島ならではの素朴で温かな雰囲気も感じられる祭りです。
参考リンク: 香港イベント&祭典情報 – 長洲島の包山祭
3. バレンシアのデサンパラドスの聖母祭
開催日: 2025年5月11日(日)
開催地: スペイン・バレンシア市
祭典の歴史と特色: バレンシアの守護聖人「デサンパラドスの聖母」を称えるカトリックの大祭典です。市民に深く信仰されており、毎年5月第2日曜日に盛大に執り行われます。前夜の土曜には市音楽隊のコンサートと旧市街での花火が打ち上げられ、明けた日曜早朝には屋外で特別ミサが行われます。朝10時半ごろから、聖母像をバシリカから大聖堂へ運ぶ「トラスラド(移送)」という荘厳な儀式が行われ、信徒たちが代わる代わる像を担ぎます。バルコニーからバラの花びらが撒かれ、感極まって涙する人も多く、その光景は見る者の胸を打ちます。夕方には、喪服に身を包んだ女性信徒やスーツ姿の男性、市当局者と司祭らが聖母像とともに旧市街を巡る厳かな行列(プロセシオン)が行われます。道中では数千枚ものバラの花びらが降り注ぎ、街全体が感謝と信仰の思いに包まれます。
参考リンク: バレンシア市ガイド – デサンパラドスの聖母祭
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