今週行われる世界の伝統的な祭典(2025年6月30日〜7月6日)

世界の祭典

 こんにちは!旅好き・文化好きの皆さん、今週も世界各地でユニークな伝統祭典が開催されます。

 日本以外の国々では、この期間にどんな宗教的な行事やお祭りが行われているのでしょうか?静かな祈りに満ちた儀式から、街中が沸き立つ賑やかな祝祭まで、文化の香り豊かなイベントを3つご紹介します。

 それぞれ宗教も地域も異なる、お土地柄ならではの祭典です。それでは早速見ていきましょう!

1、パンダルプル・ワーリ(インド) – 巡礼の静かな熱気

祭典日: 2025年7月6日(アシャディ・エカーダシ)
開催地: パンダルプル(マハーラシュトラ州、インド)

 インド西部マハーラシュトラ州の聖地パンダルプルでは、毎年雨季に入るこの時期に「パンダルプル・ワーリ」と呼ばれる大巡礼が行われます。

 ヒンドゥー教のビタル神(ヴィシュヌ神の化身)を信仰する何百万ものワルカリ(巡礼者)たちが数百キロの道のりを何日もかけて歩き、7月6日のアシャディ・エカーダシの日にパンダルプルのビタル=ルクミ二寺院へと辿り着きます。

 この巡礼は数百年の歴史を誇り、サント・トゥカラームやサント・ジュニャネーシュワルといった聖人たちが始めた伝統でもあります。

 巡礼の隊列(パルキ)には聖人ゆかりの「パドゥカ」(履物の聖遺物)が担がれ、参加者たちは太鼓やシンバルの音に合わせてマラーティー語のアビャン(賛美歌)を歌いながら進みます。

 道中の村々では地元の人々が温かく迎え入れ、歌や踊りの奉納や無料の食事提供が行われ、巡礼者と地域社会が一体となる光景が見られます。

 最終目的地のパンダルプルでは、巡礼者たちが聖なるチャンドラバガー川で身を清め、夜通し祈りを捧げて明け方にビタル神殿のダルシャン(ご本尊拝観)に臨みます。

 この巡礼祭は派手な装飾や花火はありませんが、信仰に根ざした静かな熱気と一体感に満ちており、初めて参加した人も胸を打たれることでしょう。

 公式情報は寺院の公式サイトにも掲載されています。

参考リンク: パンダルプル・ワーリ概要(Economic Times)  ; ビタル寺院公式サイト(英語) 

2、サン・フェルミン祭(スペイン) – 闘牛と情熱の奔流

祭典日: 2025年7月6日 開幕(7月14日まで継続)
開催地: パンプローナ(ナバラ州、スペイン)

 スペイン北部ナバラ州の州都パンプローナでは、7月6日正午の花火(チュピナソ)を合図に、市最大のお祭り「サン・フェルミン祭」が幕を開けます。

 この祭典は都市の守護聖人サン・フェルミン(聖フィルミン)に捧げられた伝統的な宗教行事でありつつ、世界中から人々が集まる陽気で賑やかなフィエスタとして知られています。

 祭りの期間中、パンプローナの人々も観光客も全員が白い衣装に赤いスカーフを身に着け、9日間ひたすらお祭りモードで過ごします。

 毎朝行われる名物イベントが、あの有名な「エンシエロ(牛追い)」です。

 7月7日から最終日まで毎朝8時になると、6頭ほどの闘牛が旧市街の通りを約850メートルにわたり闘牛場まで疾走し、それを勇敢な参加者たちが一緒に駆け抜けます。

 この勇壮な奔走劇は3分ほどで終了しますが、開始直前に走者たちが守護聖人サン・フェルミンに3度の唱和で加護を祈る場面は緊張感と敬虔さに包まれ、祭りのハイライトの一つとなっています。

 昼間は巨大人形ギガンテやカベスード(大頭人形)のパレードが街を練り歩き、陽気な音楽隊が伝統舞踊にあわせて街角を盛り上げます。

 夜には広場でのコンサートや花火、そして闘牛観戦後のクラブ(ペーニャ)の大騒ぎと、町中が熱狂の渦です。

 もともとこの祭りは中世に夏の商業市と10月の聖人祝日が融合して始まり、1591年に現在の7月開催へ移されたという歴史があります。

 エルネスト・ヘミングウェイの小説『日はまた昇る』で国際的にも有名になり、今では「牛追い祭り」として日本でも知られる存在ですね。

 最終日の7月14日深夜、人々がロウソクを手に市庁舎前に集まり、名残惜しそうに「ポブレ・デ・ミ(私、なんて可哀想)」の歌を合唱してフィナーレを迎えます。

 命がけのスリルと情熱、伝統文化が混然一体となったサン・フェルミン祭は、一生に一度は体験してみたい世界のお祭りの一つです。

参考リンク: スペイン政府観光局公式サイト(サン・フェルミン祭紹介)  ; パンプローナ市公式サイト(サン・フェルミン情報) 

3、イワン・クパーラ祭(ウクライナ他東欧) – 水と火、夏至の夜の神秘

祭典日: 2025年7月6日〜7日(聖ヨハネの前夜祭に相当)
開催地: ウクライナ、ベラルーシ、ロシアなど東スラブ文化圏各地

 東欧の夏至祭として古代から伝わる「イワン・クパーラ祭」は、夏の到来と自然の恵みに感謝する民族色豊かな祭典です。

 現在ではキリスト教の洗礼者聖ヨハネ(イワン)の日に合わせ、太陽暦で7月6日夜から7日朝にかけてウクライナやベラルーシ、ロシアの村々で祝われています(※ポーランドやバルト諸国ではグレゴリオ暦で6月24日前後に実施)。

 「クパーラ」とは古代スラブ語で「水浴び」の意味で、その名の通りこの祭りでは水と火が重要なシンボルです。

 昼間、人々は森や野原で薬草や花を摘み取り、草花で作った花輪(花冠)で身を飾ります。

 日が沈む頃、川辺の野に大きな焚き火が灯され、若者たちがペアになって手を取り合い焚き火ジャンプを次々に披露します。

 これはカップルがお互いの愛と絆を試す儀式で、二人一緒に無事飛び越えられれば絆が永遠に続くと言われます。

 乙女たちは自分で編んだ花輪にろうそくを灯して川に流し、漂う花輪の行方で将来の結婚相手や運勢を占います(花輪占い)。
 
 伝説によれば、このクパーラの夜にだけ咲くという幻のシダの花を探しに、若者たちが森の奥へ繰り出す風習もあります。

 水浴びや川への飛び込みも盛んで、水しぶきをかけ合いながら邪気を洗い流すと信じられています。

 こうした火と水の祭儀は、豊穣と浄化、若さと愛の象徴であり、夏至の生命力を祝うものです。

 夜が更けると、燃え盛る火の周りで伝統歌謡を合唱し輪になって踊る人々の姿が幻想的です。

 イワン・クパーラ祭は素朴ながらも神秘的な雰囲気に包まれ、現代でも多くの若者が民族衣装をまとって参加するなど、各地で愛され続けています。

 ウクライナでは近年、戦禍による夜間外出禁止令で公的な祭典は控えられていますが、それでも地域によってはひっそりと伝統が守られているそうです。

古いものと新しいもの、異教とキリスト教が混じり合ったこのお祭りは、東欧文化の奥深さを感じさせてくれます。

参考リンク: ウクライナのイワン・クパーラ祭紹介(Kyiv Independent)  ; クパーラ祭の伝統(National Today)  

いかがでしたか?今週はインドの敬虔な巡礼からスペインの勇壮なお祭り、そして東欧のロマンチックな夏至祭まで、多種多様な伝統行事をご紹介しました。それぞれの祭典には、その土地の歴史や人々の思いが息づいています。もし機会があれば、ぜひ現地で体感してみたいですね。それでは、また来週も世界の祭り探訪でお会いしましょう!旅と文化を愛する皆さんに、素敵な一週間をお過ごしください。🌏🎉

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