今週行われる世界の伝統的な祭典(2025年7月7日〜13日)

世界の祭典

こんにちは!今週(2025年7月7日〜13日)は、世界各地でユニークな伝統祭典が開催されています。日本の七夕もありますが、今回は日本以外に目を向けてみましょう。宗教や地域ごとに特色あるお祭りが世界中で繰り広げられ、旅行好き・文化好きの皆さんにはたまらない一週間です。静かな儀式から賑やかな祝祭までバランスよく、選りすぐりの3つの伝統的な宗教行事・祭典をご紹介します。それぞれの歴史的背景や独特の雰囲気を感じながら、世界の文化旅に出かけましょう!

1、ボナル祭(インド・テランガナ州)

祭典日: 2025年7月10日・13日頃(期間中の複数日)

開催地: インド・テランガナ州(ハイデラバード及び周辺都市)

インド南部テランガナ州で毎年7月に開催されるヒンドゥー教の伝統祭「ボナル(Bonalu)」は、女神マー・カールィー(マハーカーリ)への感謝と祈りを捧げる華やかな祭典です 。アーシャーダ月(雨季の7〜8月)に行われる州の公式祭典であり、ハイデラバードやセカンダラバードの各地の女神廟で週末ごとに祝祭が繰り広げられます 。期間中、色鮮やかな衣装に身を包んだ女性たちが乳や米、砂糖などで炊いた聖なる御飯「ボナム」を真鍮や土製の聖なる鍋に入れ、ターメリックやニームの葉で飾り付けたものを頭に載せて女神に奉納します 。彼女たちは太鼓のリズムに合わせて踊りながら女神殿まで練り歩き、周囲の人々は足元に水を撒いて女神の霊を鎮める風習もあります 。奉納の行列には、女神の弟とされる**ポートゥラージュ(Pothuraju)**も登場します。上半身裸で赤い腰布と足鈴を身に着け、全身にターメリックを塗った勇壮な男性がポートゥラージュの化身で、ムチを振りかざしながら太鼓に合わせて力強く跳ね踊り、一行を先導する姿は圧巻です 。

ボナル祭の起源は19世紀までさかのぼります。1813年、双子都市ハイデラバードとセカンダラバードで疫病が大流行した際、現地駐屯の軍隊が北インド・ウッジャインのカーリー寺院で「疫病が収まればハイデラバードに女神像を安置する」と祈願しました。その後疫病が終息し、約束通り街に女神マハーカーリ像が奉られ、人々が御馳走(ボナム)を捧げたのが祭典の始まりとされています 。以来、人々は毎年女神への誓願成就に感謝し、このお祭りを盛大に祝うようになりました。期間中は太鼓や音楽に合わせた踊りや花火、女神像を載せた山車の巡行なども行われ、地域全体が熱気に包まれます。特に祭り最終日には大規模な行進と儀式が執り行われ、無数の参拝者で街中が埋め尽くされる様子はまさに壮観です。

異国情緒あふれるボナル祭ですが、地元の人々の女神に対する篤い信仰心とコミュニティの絆も感じられる心温まる行事です。色彩豊かな伝統衣装やエネルギッシュな踊り、太鼓の響きに魅了されながら、インド・テランガナならではの夏祭りをぜひ体感してみてください。

公式情報:(ハイデラバード県政府公式サイト – Bonalu祭紹介ページ )

2、キャンドル・フェスティバル(タイ・ウボンラーチャターニー)

祭典日: 2025年7月10日(木)〔アーサーラハブーチャー(三宝節)〕・翌11日〔入安居(カオパンサー)〕

開催地: タイ王国ウボンラーチャターニー県ウボンラーチャターニー市

タイの東北部ウボンラーチャターニーで行われる「キャンドル・フェスティバル(蝋燭祭り)」は、仏教の三宝節(アーサーラハブーチャー)および入安居に合わせて開催される壮麗な伝統行事です 。三宝節とはお釈迦様が初めて説法した日(初転法輪)を記念する祝日で、2025年は7月10日がその日にあたります 。ウボンラーチャターニーでは毎年この日を中心に1週間ほど大祭が催され、2025年は7月7日〜13日に開催、メインとなる精巧な蝋燭山車のパレードは7月10日と11日に行われます 。

この祭典では、地元の寺院や団体ごとに巨大な蝋燭彫刻を施した山車が製作されます。何ヶ月もかけて作られる高さ数メートルにも及ぶ蝋の彫像は、仏教の神話や伝統文様をまとった見事な芸術作品です 。祭り前夜(三宝節の夜)になると、完成した蝋燭山車が市内中心部の公園に一堂に会し、美しく飾り付けられた状態でライトアップ展示されます。また同じ夜、街中やお寺では人々が蝋燭を手にローソク行列を行い、満月の空に祈りを捧げます。その光景は幻想的で、静かな敬虔さに満ちています。

翌日の入安居(7月11日)朝、いよいよ蝋燭山車の大パレードがスタートします。伝統衣装を着た多数の踊り手や楽隊が隊列に加わり、太鼓やシンバルの軽快な音色に乗せてゆったりと市内を練り歩く様子は圧巻です 。各山車は地域コミュニティの誇りをかけて趣向を凝らしており、黄金に輝く仏像や神話の登場人物(ガルーダ像など)を象った彫刻が青空の下でひときわ映えます。夜には伝統舞踊やムエタイ(タイ式ボクシング)の試合、蝋燭彫刻コンクールの表彰式なども行われ、祭りはクライマックスを迎えます 。

このキャンドル・フェスティバルは仏教行事でありながら地域のお祭りとしての娯楽性も高く、アルコール販売が禁止される代わりに家族で楽しめる健全な雰囲気が特徴です 。屋台では郷土料理やスイーツが並び、訪れた人々は食べ歩きを楽しみつつ伝統文化に触れることができます。ウボンラーチャターニーのキャンドル・フェスティバルは、静と動が調和したタイならではの祭典として世界的にも有名で、国内外から多くの観光客を惹きつけています 。輝く蝋燭の芸術と仏教の精神性が融合したこのお祭り、ぜひ一度その目で確かめてみてください。

参考リンク:(タイ国政府観光庁 キャンドル・フェスティバル紹介ページ )

3、ラ・ティラナ祭(チリ)

祭典日: 2025年7月10日〜16日(毎年7月16日が祭日)

開催地: チリ共和国タラパカ州ラ・ティラナ村

南米チリ北部の小さな村ラ・ティラナで毎年開催される「ラ・ティラナ祭(Fiesta de La Tirana)」は、カトリックの聖母カルメン(カルメン守護聖母)を讃えるチリ最大級の宗教祭典です 。普段は人口800人ほどの静かな村ですが、この祭りの週にはチリ全土や近隣国から20〜25万人もの巡礼者や観光客が押し寄せ、村は熱狂的な祝祭空間と化します 。祭りのクライマックスは7月16日で、この日が聖母カルメンの祝日にあたり、1886年に村の聖堂(カルメン聖堂)が建立された記念日でもあります 。

ラ・ティラナ祭最大の見どころは、悪魔や天使、インディオなど様々な衣装に身を包んだ無数の踊り手たちによる奉納ダンスです 。祭りの期間中、100以上もの「バイレ(踊りの弟子団)」と呼ばれる踊りのグループが全国各地から集結し、それぞれ華麗な衣装と仮面を身につけて村に入場します 。7月10日の晩に祭りが開幕すると、11日以降続々と各バイレが村入りし、聖堂前の広場で次々に踊りを奉納して聖母像に挨拶を捧げます 。踊りのスタイルも様々で、先住民風の「インディオ」舞踊、悪魔の仮面をつけたディアブラーダ(悪魔の踊り)、天使や笛吹きが登場するもの、ゆったりとした太鼓踊りや力強いモレナーダなど、多彩な民俗舞踊が一堂に会する様は圧巻です 。ブラスバンドの演奏する陽気な曲に合わせ、炎天下で何時間も踊り続ける踊り子たちの姿からは、信仰と伝統への深い情熱が伝わってきます 。

7月15日夜の「ビスパ(前夜祭)」には村の中心広場で荘厳なミサが執り行われ、深夜0時には花火が打ち上げられて祭りは最高潮に達します 。踊り手たちはこの日のために用意した一番豪華な衣装で夜通し踊り明かし、日付が変わった16日未明には聖堂内の聖母カルメン像が「お出まし」になります 。朝10時からは盛大な野外ミサが執り行われ、続いて聖母像を先頭に村中を練り歩く荘厳な聖体行列(プロセシオン)がスタートします 。聖母像の周囲を何千人ものバイレ達が取り囲み、最後の力を振り絞って踊りと音楽を奉納しながら行進する光景は、見る者の胸を打つ感動的なクライマックスです。その後、聖母像が聖堂に戻ると各バイレは順番に別れの踊りを捧げ、祭りはゆっくりと幕を閉じていきます 。

ラ・ティラナ祭の起源には**「暴君女王伝説」と呼ばれる物語が伝わります。16世紀、スペイン征服時代に先住民を率いたインカの女王ニュスタ・ウィリャック(通称ティラナ=女暴君)が改心してキリスト教に帰依した逸話にちなみ、彼女の没後にこの地に聖母教会が建てられたことが祭りの由来とされています 。そうした先住民信仰とカトリックが融合した歴史から、祭りでは聖母への信仰と同時に大地の母(パチャママ)やアンデスの伝統も色濃く表現されています 。例えば祭りの期間は一切アルコールが禁止**され、敬虔かつ清浄な雰囲気が保たれるのも特徴です (それでも人々の熱気は非常に高く、十分にエキサイティングですよ!)。また、この祭典はペルーやボリビアなど周辺国の文化的影響も受けており、国境を越えたアンデス文化の一大交流の場にもなっています 。

祈りと情熱に満ちたラ・ティラナ祭は、「チリで最も美しいお祭り」と称されるほどカラフルで独創的なイベントです 。日中の灼熱の太陽と夜の星空の下、繰り広げられるエネルギッシュな音楽と踊りの饗宴、そして信仰心に裏打ちされた厳かな感動は、一度体験すれば心に深く刻まれることでしょう。北チリの乾いた大地に咲く信仰と文化の華、ラ・ティラナ祭にぜひ皆さんも足を運んでみてくださいね。

参考リンク:(チリ観光公式サイト等での Fiesta de La Tirana 案内ページ )

世界の伝統的なお祭りを3つご紹介しましたが、いかがでしたか?どの祭典もその土地ならではの歴史と文化、そして人々の思いが込められていて、とても魅力的ですよね。それぞれ遠い国のイベントではありますが、写真やお話を通じて少しでも旅した気分を味わっていただけたなら幸いです。 機会があれば実際に訪れて、生の熱気や感動を体験してみてください。きっと旅の思い出に残る素晴らしい経験になることでしょう。それでは、また世界のどこかで開催されるユニークなお祭り情報をお届けしますね。最後までお読みいただきありがとうございました! 즐거운 여행 되세요(楽しい旅を!)。

参考文献・情報リンク:

  • ハイデラバード県公式サイト: Bonalu祭の説明と歴史
  • Telangana Today ニュース: 2025年ボナル祭の開催日程に関する報道
  • AFPBB News: ボナル祭の概要(女神マハーカーリを称える祭り)
  • Thailand NOW: ウボンラーチャターニー・キャンドルフェスティバル2025開催情報
  • National Today: Asalha Puja(ダルマの日)概要説明
  • Thailandee Travel Guide: キャンドルフェスティバルの見どころ解説
  • イベニア: ラ・ティラナ祭の参加者数・由来など紹介記事
  • FiestasCostumbristas: ラ・ティラナ祭の期間・進行スケジュール解説
  • Days of the Year: Fiesta de la Tirana の概要説明(英語)
  • スペイン語版Wikipedia: ラ・ティラナ祭の起源(伝説と歴史)に関する記述

 

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