3、乾為天(けんいてん)3爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

3、乾為天(けんいてん)3爻

◇ 乾とは何か?

乾(けん)は「天」であり、「剛健」「発展」「創造」を意味する卦です。太陽のように絶えず照らし、万物を育てる力。強く正しく、自らの道を切り拓きながら他を導く存在を象徴します。天道を範とし、自らを高め続ける姿勢を教えています。

◆ 卦全体が教えてくれること

乾為天の六つの陽爻は、上昇する龍のように、人の成長過程を段階的に示しています。初爻から上爻に至るまで、それぞれに「剛」「進」「時」「慎」の意味が込められ、人が真の完成に至るまでに求められる精神の鍛錬と、時機を見極めた行動の在り方を説いています。

◆ 三爻の意味とアドバイス

爻辞
・君子、終日乾乾(けんけん)、夕(ゆうべ)まで惕若(てきじゃく)たれば、あやうけれども咎(とが)なし。
・終日乾乾は、反復の道なり。

この段階は、力も志も高まり、行動力に満ちた状態です。しかし同時に、過信や慢心が入り込みやすい時期でもあります。

「乾乾」とは、乾のごとく常に剛健で怠らず、自らの道を貫こうとする姿勢。「惕若(てきじゃく)」とは、慎み深く、警戒を怠らないことを意味します。つまりこの爻は、どれほど力を得てもなお油断せず、終日つつしみを持ち続ければ、危うさの中にも咎(とが)は生じないということを教えています。

「反復の道」とは、継続こそが本当の力となるという真理。君子の行いは、一度成して終わるのではなく、何度でも繰り返し行う中で徳を深めていくのです。

◆ 仕事

この段階は、非常に忙しくなり、実力が評価され、大きな責任を負うようなポジションにいる人も多いでしょう。周囲からの期待も高まり、「自分ならできる」という気持ちも強くなる時期です。しかし、成功が続くときほど、「これくらいなら…」と気が緩みやすくなります。慎みと警戒を怠らず、細部にも気を配る姿勢を保ち続けることで、安定した成果が得られます。

また、繰り返し努力を重ねることが必要な場面でもあるため、「結果が出るまでやり抜く」覚悟が必要です。

◆ 恋愛

関係が進展し、相手との距離が近づく時期ですが、ここで大切なのは油断しないこと。愛情が深まるとつい相手への配慮を怠ったり、自分の気持ちを優先しすぎたりしてしまいがちです。

この爻は、「愛が深まっても、思いやりと謙虚さを持ち続けること」を勧めています。何度も相手に「ありがとう」「嬉しい」を伝える、日々の態度に気遣いを込めるといった「乾乾」の姿勢が恋愛運を長く良好に保つ秘訣となります。

◆ 乾卦(三爻)が教えてくれる生き方

三爻は、「力を持ったときほど、己を律し続ける」ことの尊さを教えています。

実力を発揮し始めると、誤った自信や慢心が生じやすいものです。ですが、天の道は「高ぶるものを抑え、へりくだる者を引き上げる」。ゆえに、どれだけ成功しても、反復して自らを磨き、つつしみをもって生きることが、真に長く成功を維持するための鍵なのです。

この爻が私たちに伝えてくれるのは、「成長の中にこそ、謙虚と継続の精神を忘れない」――その生き方が、人生をより確かで豊かなものへと導いてくれるということです。

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