周易古占例 9

周易古占例

真勢中州とその一門の占例(9)「金の貸し借りに関する揉め事」、「呼び出しに応じた方が良いかかどうか」の占

本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。

【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(9)】

ー真勢中州について

真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。

『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」

と記されています。

ー真勢中州とその一門の占例

(17)は「金の貸し借りに関する揉め事」、(18)は「呼び出しに応じた方が良いかかどうか」の占例です。

(17)ある人、田地(でんち)を質(しち)として金を貸すに返さず。筮を請う。

因て筮して明夷(めいい)の謙(けん)に之(ゆく)を得。

これを占していわく、坤(こん)は田地なり。

離(り)は証文なり。

艮(ごん) は止(とどまる)なり。

しかれば田地を質(しち)として金を貸し、證文(しょうもん)を持ち居るの象なり。

今彼これをくらまし破らんとするの意あり。

【卦は即今を告ぐ】

しかるに明夷(めいい)の伏卦(ふっか)訟(しょう)なり。

故にこれを訟えんとすれば彼、謙(けん)の伏卦(ふっか)履(り)なれば、

道理を履(ふん)で我に兌金(だきん)を返し、

また訟(しょう)の易位(えきい)を以て乾金(けんきん)来たる義あり。

故に 訟(うったえ)るの心に成りて応対(おうたい)して可ならんという。

中(ちゅう)す。

【伏卦を以て将来を決す密象】

画像


(18)ある人、問屋(といや)し来るに、近江(おうみ)の客に気うけの少し凶(あし)きことあり。

書簡(しょかん)来て主人に直(じき)に来るべしとの文なり。

行きて吉か、また行かぬが吉かを問う。

筮して訟(しょう)の中孚(ちゅうふ)に之(ゆく)を得。

占之曰往きて吉なり。

訟(しょう)は、争うなる故に彼より強く争うことあるべし。

しかれども我よりもまた、強く対(こた)うべし。

しかるときは、向こうの乾(けん)がやわらぎ巽(したが)うべし。

我も兌口(だこう)にて和悦(わえつ)すれば中孚(ちゅうふ)となりて調和すべしという。

中(ちゅう)す。

【応対の占は、両体の象によりて義を取る。詳に『易学階梯附言』(えきがくかいていふげん)に見たりと。考うべし。】

画像


※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献

真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


○加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。

○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。

○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。



【執筆者】

天元春日(あまもとはるひ)

【Twitter 】「天元春日」で検索してください。

【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。

【著書】

○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle)

《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。

  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle)

《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。

【出版物】

○『大島中堂選集』1250円(Kindle)

《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。

周易愛好者必携の書です。

収録書籍

1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼』
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

コメント

タイトルとURLをコピーしました