ゴールデンウィーク明けの5月5日から11日にかけて、日本各地では歴史ある神社のお祭りが開催されます。その中から、由緒と地域色に富み、東日本・中部・西日本それぞれの地方を代表する3つの神社祭典をご紹介します。いずれも定例の月次祭ではなく、古くから伝わる伝統行事で、その土地ならではの文化や伝承が息づくお祭りです。
1、東日本(関東)- 東京・神田明神「神田祭」
•祭典日:2025年5月10日(土)~11日(日)
•御神徳:縁結び、夫婦和合、健康長寿、商売繁盛、勝負運上昇など(江戸総鎮守としてあらゆるご利益)  
•所在地:東京都千代田区(神田明神)
東京の神田明神で行われる「神田祭」は、日本三大祭りの一つに数えられる江戸屈指の大祭です 。創建1300年超の神田明神は平将門命など三柱の神々を祀り、江戸の守護神として商人や武士に崇敬されてきました。神田祭は徳川家康が関ヶ原の戦勝を祈願した故事に始まり、奇数年に盛大な本祭が執り行われます 。祭りのハイライトは約100基にもおよぶ神輿の宮入・神幸行列で、氏子108町が総出で担ぐ勇壮な姿は圧巻です。神田、日本橋、秋葉原などを練り歩く様子には江戸文化の華やかさが色濃く感じられ、毎回数十万規模の見物客で賑わいます 。江戸時代から続く粋と活気あふれる祭典で、東京の初夏を彩ります。
紹介リンク:神田祭 公式サイト(神田祭委員会)
2、中部(北陸)- 石川・大地主神社「青柏祭(せいはくさい)」
•祭典日:2025年5月3日(土)~5日(月) ※5月5日が最終日
•御神徳:厄除け、五穀豊穣、地域安全、商売繁盛(土地の守護神として地域を守護)
•所在地:石川県七尾市(大地主神社[山王神社])
能登半島の七尾市で毎年5月に開催される「青柏祭」は、七尾の春を代表する豪華絢爛な祭礼です  。大地主神社(通称・山王神社)の春祭りとして約千年の歴史を持ち、その曳山行事は国の重要無形民俗文化財にも指定されています 。最大の見どころは「でか山」と呼ばれる巨大な山車で、高さ12メートル・重さ20トン・車輪直径2メートルにもなる山車が市内を曳き回されます 。各町内ごとに趣向を凝らした山車が繰り出し、曲がり角で竹を敷いて方向転換する際にきしむ車輪の音と迫力は圧倒的です。最終日の5月5日には市街地の御祓川通りに全ての山車が勢揃いし、勇壮な光景を堪能できます 。祭り期間中、七尾の町は祭一色となり、伝統の山車文化と地域の結束が感じられます。能登随一のスケールを誇るこの祭典は、土地の神への感謝と無病息災・繁栄を祈る思いが現代まで受け継がれています。
紹介リンク:七尾市公式サイト「青柏祭」紹介ページ
3、西日本(中国地方)- 広島・清神社「吉田の市入(い)り祭」
•祭典日:2025年5月5日(月・祝)
•御神徳:厄除け、疫病退散、家内安全、必勝祈願( Susanooによる災厄除け・勝運向上 )
•所在地:広島県安芸高田市吉田町(清神社)
広島県北部の安芸高田市吉田町で5月5日に行われる「吉田の市入り祭」は、清神社の例祭として約350年の歴史を誇る伝統行事です 。清神社は南北朝時代の正中2年(1325年)頃にはすでに創建されていた古社で、戦国大名・毛利元就も戦勝祈願所として厚く信仰した由緒があります 。祭神の素盞嗚尊(すさのおのみこと)は八岐大蛇退治の神として知られ、悪疫退散や厄除けのご利益があるとされています。また当地・吉田こそがヤマタノオロチ伝説の地との説もあり、神社には神話時代から鎮座するとの伝承も伝わります 。祭典当日は、五穀豊穣を願う神輿渡御に続いて、町内を2台の壇尻(だんじり)屋台が練り歩きます 。屋台上の特設舞台では地元の子ども達による歌舞伎が上演されるのが特色で、幼い役者たちが伝統芸能を披露する姿に観客も大いに盛り上がります 。この子ども歌舞伎は江戸時代から続く名物で、地域の誇りとして守り伝えられてきました。現在ではJリーグ・サンフレッチェ広島の必勝祈願が行われる神社としても有名で、勝負運を授かろうと多くの参拝者が訪れます 。地域の歴史と伝統芸能が融合した温かみのある祭りで、土地の神に一年の平安を祈ります。
紹介リンク:安芸高田市観光ナビ「吉田の市入祭」紹介ページ(安芸高田市観光協会)
各祭典とも、その地域ならではの由緒と特色を持つ貴重なお祭りです。5月初旬に旅行やお出かけの機会があれば、東西各地で繰り広げられる伝統の神社祭礼をぜひ体感してみてください。それぞれの土地の歴史と熱気に触れる、忘れられない体験となるでしょう。
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