周易古占例 5

周易古占例

真勢中州とその一門の占例(5)後継者の選定、婚姻の成否の占


本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。

【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(5)】

ー真勢中州について

真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。

『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」

と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例

(9)は後継者の選定、(10)は婚姻の成否の占例です。


(9)あるいは曰く予(よ)子(こ)二人あり。

男子となり。しかるに女子は姉(あね)なれば甥(むこ)を取りて嗣(よつぎ)とせんや、他に嫁(か)せしめて吉なりやを問う。

よりてこれを筮して賁(ひ)の大有(たいゆう)に之(ゆく)を得。

占之曰、離は日なり。中女(ちゅうじょ)なり。

艮(ごん)は山なり。家なり。

乾(けん)は天なり。外なり。

賁(ひ)は文飾(ぶんしょく)なり。

大有(たいゆう)は家を有(たも)つなり。

けだし女中(じょちゅう)家に在るは賁(ひ)の卦(か)にして、賁(ひ)を文飾(ぶんしょく)とすれば、外見(がいけん)はよけれども日、山の下にあって用をなさず。

中女(ちゅうじょ)外に出れば大有(たいゆう)にして、その家を有(たも)つ、なお日(ひ)の天にあるが如し。

故に賁(ひ)の大有(たいゆう)に之(ゆく)は中女(ちゅうじょ)、家を出て外に帰(とつ)ぐの象なり。

これに由て観れば他に嫁(か)せしめて吉なりという。果して富家(ふうか)の妻(め)となる。

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(10)余武庫に遊学せし時に書肆(しょし)某なるもの

大阪従弟(いとこ)に女を媒酌(ばいしゃく)して婚姻(こんいん)の期(ご)になりければ

再浪華(ろうか・なにわ)に到(いたっ)て婚(こん)を調(ととの)へんとするに望んで

親筮(みづからぜい)して革(かく)ノ既済(きせい)に之(ゆく)を得たり、

以て余に示す。

余占之曰革は改革(かいかく)の義

既済(きせい)は盡(つくる)の象あれば

此婚姻(こんいん)は調(ととな)ひ難き意あり

且外卦(がいか)の兌口(だこう)相背(あいそむく)の象にして坎(かん)と変ずれば

内卦(ないか)の離火(りか)を尅(こく)す。

これ、彼より我を尅するなり。

【周易には生克を用ることなしといえども、勝敗の占に於いては生克を用るなり。下條応対勝敗の占に於いて生克を用るもの是なり。五行生克の説は詳に『易学階梯附言』に見たり。言煩故に略す】

此女の方より約(やく)を背(そむ)くの象あれば凶なりと示(しめ)す。

某なるもの従弟(いとこ)の家に到(いた)れば

女の方、にわかに約(やく)を背(そむ)き

昨夜彼方(かのかた)より納徴(ゆいのう)を返せりと云えり。

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献

真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


○加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。

○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。

○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。



【執筆者】

天元春日(あまもとはるひ)

【Twitter 】「天元春日」で検索してください。

【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。

【著書】

○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle)

《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。

  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle)

《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。



【出版物】

○『大島中堂選集』1250円(Kindle)

《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。

周易愛好者必携の書です。

収録書籍

1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼』
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

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