334、火山旅(かざんりょ)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

334、火山旅(かざんりょ)4爻

◇ 火山旅とは何か?

火山旅(かざんりょ)は、山(艮)の上にある火(離)が止まることなく燃え移ってゆく性質の卦です。

旅とは、腰を据えて根を張る場ではなく、仮の場所に身を置き、流れの中で暮らす状態を言います。だから旅の時は、成果を誇ったり、力を振るったりするより、居場所・資(たくわえ)・我が身の守りを整え、ぶれずに身を保つことが肝心になります。

◆ 卦全体が教えてくれること

旅の道は、いつでも思い通りに進めるわけではありません。

「いまはまだ途中である」と心得て、背伸びをせず、急がず、分を守ることが安定に繋がります。離(火)は勢いが出ると周囲を焼き払いながら移動し、艮(山)は動きを止めます。つまり旅では、動きたい気持ちと、止まる必要がせめぎ合いやすい。そこで大事なのは、状況を読み、止まるべき時に止まり、次の道を準備する姿勢です。

◆ 四爻の爻辞と象伝

【爻辞】

「旅(りょ)・于(ここ)に処(とどま)る。その資斧(しふ)を得。我(わ)が心(こころ)快(こころよ)からず。」

【象伝】

「旅(りょ)于(ここ)に処(とどま)るは、いまだ位(くらい)を得(え)ざるなり。その資斧(しふ)を得(え)るも、心(こころ)いまだ快(こころよ)からざるなり。」

● 解釈

四爻は、旅の途中でいったん身を置ける場所を得る姿です。「于に処る」は、あちこち彷徨うのでなく、とりあえず留まれる宿のようなものが見つかること。さらに「資斧を得」とは、旅に必要な資金(手元の支え)に加え、斧にたとえられる身を守る手段まで手に入ることを示します。

ここで言う守りの手段は、単なる武器というより、現実では 権限・立場・交渉の札・守ってくれる後ろ盾のようなものだと考えると分かりやすいです。

けれど、最後に「我が心快からず」とあります。これは「損をした」という意味ではありません。得るものは得たのに、胸の底が晴れないのです。象伝が言う「いまだ位を得ざる」が、その理由をはっきり示しています。

つまりこの留まり先は、居場所としては成り立つが、本来のあるべき位置ではない。あくまでも仮の安定であり、長く居続けると不安が出てくる。だから、守りの札(資斧)を持ったとしても、安心がついてこない。

この爻のポイントは、ここです。

  • 手に入ったものは“持ち続けるのが難しい種類”である
  • 守りに気を使う分、心が休まりにくい
  • 落ち着かない感覚自体が、次へ移る準備を促す合図になる

だから四爻は、「ここで勝負を決める」より、「ここで状況を整えて、次へつなぐ」が正しい使い方になります。得た資金や立場は、他に誇るためではなく、次の一歩のための足場として活かす。これが「快からず」を凶にしない要領です。

◆ 含まれる教え

  • 旅の途中でも、留まれる場所と守りの手札は手に入る。
  • ただしそれは“仮の居場所”で、心から安心できる場所ではない。
  • 得たものは「維持」が課題。出し切らず、余力を残す。
  • 不快さや落ち着かなさは、状況を見誤らないための警鐘になる。

◆ 仕事

仕事では、自分の場所(役割)を得る、あるいは守ってくれる枠組みができる暗示です。

資斧は、仕事で言えば、

  • 任される範囲(裁量)
  • 交渉できる材料
  • 立場や権限
  • 守ってくれるルールや後ろ盾
    のように、「進むため」より「守るため」の要素として現れます。

ただし「心快からず」は、仕事の実感としては、

  • 形は整ったが、安定の手応えが薄い
  • 気を抜くと崩れそうで、緊張が解けない
  • 自分の本領を出せる場所ではない気がする
    といった感覚に近いでしょう。

ここで大切なのは、拡張しないことです。

いまは、成果を拡張するより、崩れない形に整える。

契約・責任分担・数字の基準・誰が何を決めるか――そういう“守りの骨格”を固め、次の機会に動ける余力を残す。これが四爻の吉の取り方です。

◆ 恋愛

恋愛では、二人の関係が一定の形を整えることがあります。会える環境が整う、距離が縮む、約束が生まれるなど。

ただし四爻は、心から安らげる落ち着きより、どこかに

  • 立場の差
  • 周囲の事情
  • 将来の見通しの不安定さ
    といった“守らねばならない要素”を含みやすい。

だからこの爻は、盛り上げて押し切るより、

  • 無理に先に進めない
  • 約束を増やし過ぎない
  • 不安の芽を小さいうちに言葉にして整える
    ことが大切です。
    「快からず」は、恋が駄目という印ではありません。落ち着かないのは保持してゆくことは労力がかかることが何となくわかっているからです。丁寧に関係を整える努力をすれ、二人の関係は守れます。

◆ 火山旅・四爻が教えてくれる生き方

旅の途中には、留まれる場所も、資金も、身を守るものも手に入る。

けれど、そこは“本当の居場所”ではないから、完全に胸が晴れない。四爻は、その感覚を「おかしい」とは言いません。むしろ、その違和感こそが道を誤らないための目印だと教えます。

得たものを出し切って勝負するのではなく、後に備える余力を残し、守りを整え、次の道へつなぐ。――この姿勢が、旅の四爻を吉の働きに変えていきます。

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