314、風山漸(ふうざんぜん)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

314、風山漸(ふうざんぜん)2爻

◇ 漸とは何か?

風山漸(ふうざんぜん)は、物事が「一息に変わる」のではなく、順序を踏んで少しずつ形を整えていく時を表す卦です。山はどっしりと動かず、風はその上を巡って少しずつ影響を及ぼします。だからこそ、早さよりも確かさが大事になり、無理に順番を飛び越えず、立場に応じて前へ進むことが求められます。

◆ 卦全体が教えてくれること

漸の卦が示すのは、歩みが遅く見えても、筋道を外さずに進めば、やがて安定に至るという道です。始まりには人の助けが足りなかったり、配置が整わなかったりして、思うように運ばないこともあります。しかし、急ぎすぎると却って挫けやすい。そこで、信任を得ること、協力を整えること、約束を正確にすることを積み重ねて、ゆっくりでも確実に地盤を固める――それが漸の教えです。

◆ 二爻の爻辞と象伝

【爻辞】

「鴻(かり)磐(いわお)に漸(すす)む。飲食(いんしょく)衎衎(かんかん)たり。吉(きち)。」

【象伝】

「飲食(いんしょく)衎衎(かんかん)たるは、素飽(そほう)せざるなり。」

● 解釈

二爻は、鴻(かり)が水際の不安定さを離れ、磐(いわお)のような堅い足場に移って落ち着く段階を示します。初爻が「まだ飛び難む」姿なら、二爻は「居所が定まり、安心して身を置ける」姿です。けれども、ここで示される安定は、自分の力で押し広げて作ったものというより、柔順で中を得て、正しい相手に感じ応じることによって保たれる安定です。出しゃばらず、位を守り、自然に支えを得ていく――その運びが二爻らしさになります。

「飲食衎衎たり」は、生活がゆるみなく整い、心にも余裕が生まれて、和やかに過ごせる様子を言います。自分だけが満ちるのではなく、人に分け与える気風が出て、周囲との交わりも円くなりやすい。衎衎という語には、そうした和楽の色が含まれています。

ここで象伝が「素飽せざるなり」と言うのは、この“ゆとり”が、功もなく棚から得たものではない、という点を押さえるためです。素飽(そほう)とは、働きもないのに禄をむさぼるようなあり方ですが、二爻は五爻と正しく感じ応じ、筋を通して安定を得る位置です。だから、食禄の豊かさや和楽が、虚しさや後ろめたさに傾かず、「吉」と言えるところに落ち着きます。

また、二爻は運気が上向く気配を含みますが、まだ独りで先頭に立って切り開くほどの勢いではありません。むしろ「人に先立たず、目上の信任を得る」ことが要となり、協力を乞うて進む方が、漸の道に適います。勢いで前へ出るより、筋道を守り、足場を固め、ゆとりや和楽を共有する――それがこの爻の正味です。

◆ 含まれる教え

  • 足場が定まるほど、いよいよ置かれた立場を守ることが大切
  • ゆとりや楽しみが出る時ほど、それを周囲の人たちと共有すると良い
  • 独りで押し切るより、信任を得て協力を整える方が安定する
  • 取り決めや約束は曖昧さを残さず、正確を期すべき時

◆ 仕事

仕事では、初動のぎこちなさが薄れ、居場所が固まり始める時です。周囲の見方が落ち着き、任される範囲が整い、日々の手順も回りやすくなるでしょう。ただ、二爻の中心は「自主的に大きく進む」よりも、「信任を得て位を守る」ことにあります。成果を誇って前へ出るより、任を確実に果たし、上の意向や全体の流れに合わせて着実に積む方が、結果として安定が増します。

また、「飲食衎衎」の象は、交際や打合せ、紹介・つながりを通じて利が入りやすいことも示します。そこで大切なのは、独断で動かないことです。先輩や上司、経験ある人の協力を乞い、筋を通して進めるほど、話はまとまりやすくなります。

一方で、重ねて念を押す象意が出やすいので、契約や条件、役割分担、金額や期限などには、言葉を整えて明確にしておくことが肝要です。曖昧なまま進めると、後から確認や修正が増えて、せっかくの安定が揺れやすくなります。丁寧に整えるほど、吉の手応えが長く続きます。

◆ 恋愛

恋愛では、関係が一段落して、和らぎが生まれやすい局面です。騒がしさよりも落ち着きが勝ち、相手と一緒に過ごす時間が穏やかに楽しくなりやすいでしょう。「磐に漸む」は、気持ちが定まる、居所が固まる、という意味合いを含みます。

ただし、ここでも性急は禁物です。二爻は、相手との間で筋が通ることで吉を得る爻ですから、相手の状況や気持ちを尊重し、言葉を整え、約束を丁寧に積み上げていくことが要になります。楽しい雰囲気に流されるより、肝心な点ほど曖昧にせず、穏やかに確認していく――その姿勢が、衎衎たる和楽を支えます。

また、変卦の重巽が暗示する「繰り返し」の気配から、同じ話題が再燃したり、婚約解消などの芽が混じることもあります。そこで、誤解を残さない言い方、決めるべき点の整理、第三者の口添えが入る場合の調整などを、早めに整えておくとよいでしょう。先回りして整えるほど、吉が安定します。

◆ 風山漸・二爻が教える生き方

風山漸の二爻は、足場が固まり、和楽が生まれはじめる時こそ、なお筋道を守り、信任と協力のうちに進むべきことを教えています。ゆとりが出るほど、言葉と約束に細心の注意をはらい、自分の立場を守り、分かち合いの気風を育てること――それが「吉」を空しくせず、安定を深めていく道になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました