313、風山漸(ふうざんぜん)初爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

313、風山漸(ふうざんぜん)初爻

◇ 漸とは何か?

風山漸(ふうざんぜん)は、「漸」という字が示すとおり、物事が急に完成するのではなく、段階を踏みながら少しずつ整っていく状況を表す卦です。山は動かず、風はその上を巡ります。外からの働きかけはあっても、基盤は容易に変わらないため、進みは遅くとも着実であることが求められます。焦らず、順を守って進むことが、この卦の根本的な姿勢です。

◆ 卦全体が教えてくれること

漸の卦は、始まりの段階では不安定さや心許なさを伴っても、道を踏み外さずに積み重ねていけば、やがて安定へ移っていくことを教えています。初めから整った環境や十分な助けがあるとは限りませんが、そこで無理を重ねると、かえって歩みを止めてしまいます。早さよりも順序、成果よりも準備を重んじることが、最終的な成就につながります。

◆ 初爻の爻辞と象伝

【爻辞】

「鴻(かり)・干(みぎわ)に漸(すす)む。小子(しょうし)厲(あや)うし。言(げん)あるも咎(とが)なし。」

【象伝】

「小子(しょうし)の厲(あや)うきは、義(ぎ)・咎(とが)なきなり。」

● 解釈

初爻は、漸の始まりを示す位置であり、鴻がまだ水辺にとどまり、飛び立つ準備をしている段階に喩えられます。前へ進もうとする気持ちはあっても、足場は定まらず、助けとなる後押しも見えにくい状況です。そのため、未熟さや経験不足から、危うさが表に出やすくなります。

ここで言う「小子厲うし」とは、能力が欠けているというより、慣れない立場に置かれたことで失敗しやすい状態を指しています。周囲から注意や言葉が向けられることもあるでしょう。しかし、それは物事の初めには避けがたい事であり、段を追って進む姿勢を保つ限り、咎に発展するものではありません。

象伝が「義・咎なきなり」と述べるのは、この危うさが道理の上で無理のないものである、という意味です。急に成果を求めず、順序を守って歩み続けるならば、やがて足元は固まり、進みやすい流れへと移っていきます。初爻は、その「耐えるべき始まり」を示しています。

◆ 含まれる教え

  • 物事の初期段階では、未熟による不安定さが生じやすい
  • 助けが少ない時ほど、焦らず順序を守ることが重要
  • 周囲からの指摘や言葉は、初動で慣れていないためでやむを得ない事として受け止めるべき
  • いまは結果を急ぐより、基礎を整えることが後の安定につながる

◆ 仕事

仕事においては、着手したばかりで要領を得にくく、思うように進まない場面が増えやすい時です。配置や役割が十分に整っておらず、周囲の期待や評価が先行して、気持ちが追い立てられることもあるでしょう。しかし、この段階で無理に成果を示そうとすると、かえって混乱を招きます。

今は、手順を覚え、基本を身につけることを最優先にすべき時です。目上の強い引き立てがなくとも、日々の務めを丁寧に積み重ねることで、徐々に信頼と足場が整っていきます。焦って新しい企画や拡張に踏み出すより、持ち場を守り、耐えながら進む姿勢が後に活きてきます。

◆ 恋愛

恋愛面では、話が進みにくく、周囲の意見や些細な不満が表に出やすい時期を示します。気持ちがあっても、環境や事情が整わず、歯切れの悪さを感じることがあるでしょう。ただし、この爻は「漸」であり、急に結論を出そうとしなければ、縁が途切れることを意味するものではありません。

大切なのは、相手との歩調を合わせ、時間をかけて関係を育てることです。言葉の行き違いや小さなつまずきがあっても、順を追って整えていけば、最終的には落ち着いた良縁へとつながる余地があります。

◆ 風山漸・初爻が教える生き方

風山漸の初爻は、まだ飛び立てず水辺に立つ段階であっても、順序を守り、焦らず歩むならば過ちは大きくならないことを教えています。始まりの不安定さを無理に消そうとせず、段階を踏んで整えてゆく姿勢が大切です。その慎み深い進み方こそが、やがて安定した前進を可能にする生き方です。

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