309、艮為山(ごんいざん)3爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

309、艮為山(ごんいざん)3爻

◇ 艮とは何か?

艮為山(ごんいさん)は、山のように動かず、その場を守ることで道を失わない時を示す卦です。艮の「止」は、単に動かないことを意味するのではなく、進むべきでない時に踏みとどまり、身と心の安定を乱さないための節度を表しています。外の変化に振り回されず、内の秩序を保つこと――それが艮の本質です。

◆ 卦全体が教えてくれること

艮の卦は、「止まることの難しさ」を教えます。止まるべきところで止まれば過ちは避けられますが、止まる姿勢に固執しすぎると、かえって苦しみを生みます。大切なのは、内に守るべきところは守りつつ、対外的には状況に応じて力の入れ方を調整することです。艮は、堅さと柔らかさの釣り合いを失わないよう促します。

◆ 三爻の爻辞と象伝

【爻辞】

「その限(げん)に艮(とど)まる。その夤(いん)を列(さ)く。厲(あやう)くして心(こころ)を薫(いぶ)す。」

【象伝】

「その限(げん)に艮(とど)まるは、危(あやう)くして心(こころ)を薫(いぶ)すなり。」

● 解釈

三爻で言う「限(げん)」とは、体の上下を分ける腰の位置を指します。腰が止まれば、体全体の動きは強く制限されます。この爻は、止まるべきだという意識が強くなりすぎて、身動きが取れなくなっている様子を表しています。本来は、止まり続ければどこかに無理が生じるものですが、この爻ではその無理が表面化しています。

「その夤を列く」とある夤(いん)は背筋のことで、列くとは裂けるような痛みを意味します。止まる姿勢を崩せず、体を固め続けた結果、背を裂くような苦しさを感じる――それは肉体の比喩であると同時に、心の状態も示しています。「心を薫す」とは、激しく燃え上がる怒りや不安ではなく、逃げ場のない焦りや不安が、煙のように心にこもっていく状態です。

象伝が示す通り、この苦しさの原因は、止まること自体ではなく、止まる姿勢に固執してしまう点にあります。変わる必要を感じながらも変われず、同じ場所に踏みとどまり続けることで、危うさと焦燥が積み重なっていきます。ただし、この頑なさがあるからこそ、簡単には崩れず耐えている面もあります。危ういが、同時に踏みこたえてもいる――そこが三爻の難しさです。

この爻が示す道は、内部の基礎となる部分は動かさず、外部に向かう動きだけを臨機に調整することです。全てを変えるのではなく、力の入れ方や関わり方を緩める。そうすることで、止の徳を失わずに、苦しさから抜け出す余地が生まれます。

◆ 含まれる教え

  • 止まる姿勢に固執しすぎると、身と心の両方に無理が生じます
  • 内に守るべき軸と、対外的に臨機に調整してよい部分を区別することが大切です
  • 変化は全面的でなく、小さな運用方法の変更から始めるとよいです
  • 苦しさが続く時は、我慢が目的になっていないかを見直す必要があります

◆ 仕事

仕事では、責任や立場を守ろうとする意識が強くなりすぎて、柔軟な対応が難しくなりやすい時です。方針を変えないこと自体は悪くありませんが、それを支える手順や伝え方まで固定してしまうと、状況とのズレが大きくなります。その結果、内側に焦りや重圧を溜め込みやすくなるでしょう。

この爻は、信条や役割といった基礎は守りながらも、進め方や関わり方を調整することを勧めています。結論を変える必要はなくても、順序や方法を変えることで負担は軽くなります。無理に押し切るより、いったん力を緩め、崩れない形を整えることが安全につながります。

◆ 恋愛

恋愛では、関係の形や自分の立場にこだわりすぎて、心が窮屈になりやすい時です。譲れない思いを抱えたまま動けず、不満や不安を内に溜め込みやすくなります。大きな衝突はなくとも、言葉にできない重さが積み重なり、心が疲れてしまう傾向があります。

この爻が示すのは、根本を否定せずに、距離の取り方や関わり方を見直すことです。相手を変えようと力を入れるより、自分の姿勢や表現を少し緩めることで、関係の息苦しさは和らぎます。こだわりを守りつつも、柔らかさを忘れないことが大切です。

◆ 艮為山・三爻が教える生き方

艮為山の三爻は、止まることが過剰になると、身も心も追い詰められると教えています。内に守るべき軸は手放さず、しかし対外的な運用にまで固執しない。止の徳を活かすためには、適度な緩みが必要です。耐えるだけでなく、息を通す工夫を忘れない――それが、この爻の示す生き方です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました