周易64卦384爻占断
291、沢火革(たくかかく)3爻
◇ 革とは何か?
沢火革(たくかかく)は、「改める・入れ替える」という卦です。
ただし革は、火の勢いで一気に押し切れば壊れやすく、反対に古い形にしがみついても危うい。“改める必要”と“実行の時期”を一致させることが肝心になります。
三爻は、内卦(離)の終わり=火が最も強くなりやすい所にあり、革の気運が高ぶるぶん、急ぎすぎ・強引さが問題になりやすい位置です。
◆ 卦全体が教えてくれること
三爻が教えるのは、革の難しさが「やる/やらない」ではなく、いつ・どの強さで・どの順序でやるかにある、という点です。
- 動けば(押し切れば)凶になりやすい
- しかし現状維持に固執しても危うい
- 改革の声は、やがて抑えきれない勢いになる
- ここにおいて「やむにやまれずして」ついに改革が決行されて成就する
- だからこそ、遅れず、慌てずの見極めが最重要
三爻は、まさに「火が強すぎて焦げつきやすい」局面を示します。
◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞(読み)】
征(ゆ)けば 凶(きょう)。
貞(ただ)しければ 厲(あやう)し。
革言(かくげん) 三(み)たびにして 就(な)る。
孚(まこと) あり。
【象伝(読み)】
革言(かくげん) 三(み)たびにして 就(な)るは、
また 何(いず)くか 之(ゆ)かん。
● 解釈
三爻は火が極まる所にあるため、改革に向かう熱が強く出ます。ところが、その熱のまま前へ出ると、機がまだ整っていないのに決行してしまい、結果として「征けば凶」になりやすい。これが第一の戒めです。
では動かなければ良いかというと、そう単純でもありません。
「貞なれば厲し」は、ただ古いやり方を守り抜けば安全、という意味ではなく、現状に固執すること自体が危うさを含む、という警告です。改めるべき点が積もり、内側の圧が高まっていくからです。
そこで出てくるのが「革言三たびにして就る」。
これは、改革の意見(革めよ、という声)が一度二度では収まらず、三度も迫ってきて、ついに実行に至るということ。ここまで来ると、もはや「抑えて済ませる」ことが難しくなり、「また何くか之かん(他にどんな道があるのか)」という象伝の言葉の通り、他に手がなくなって押し出されるように決まる面が出ます。
「孚あり」は、その改革が、策略でごまかして通すというより、人々から“これは本気だ”“誠がある”と見なされることを含みます。
ただし、それは「吉」を約束するというより、誠と見られるほど大きな流れになってしまい、犠牲も出やすいという現実も同時に含みます。
この爻の難所は、結局ここです。
- やらねばならない圧がある
- だが今すぐ押せば失敗しやすい
- 一日違えば、結果が大きく変わることがある
だから三爻は、改革の正しさだけでなく、着手の“寸前の見極め”を強く求めているのです。
◆ 含まれる教え
- 熱で押し切ると凶になりやすい
- しかし現状維持に固執しても危うい
- 改革の声が重なる時は、流れが止めにくい
- 「いつ動くか」で吉凶が割れやすい
- 遅れず、慌てず――この加減が最大の要点
◆ 仕事
方針転換・改革案が強く出やすい一方、強引に決めると反発や損失が出やすい局面です。
「今やると損、先延ばしでも損」という板挟みになりやすいので、鍵は一点、実行のタイミングを絞ることです。
準備や根回しを整え、合図が揃ったところで一気に進める。
逆に、熱に任せた前倒し・強行突破は避け、判断の焦げつきを防ぐのが三爻の処方箋になります。
◆ 恋愛
気持ちが燃え上がりやすく、「今すぐ動きたい」という勢いが出やすい時です。
ただ、その勢いのまま踏み込むと、相手の状況や関係の土台が整っておらず、こじれやすい。これが「征けば凶」の出方です。
一方で、我慢して黙り込み続けるだけだと、内側で不満が溜まり、別の形で爆発しやすい(「貞なれば厲し」)。
だから三爻は、言葉と段取りを重ねて、機を見て動くことをすすめます。急がず、しかし逃げず。火加減を整える恋です。
◆ 沢火革・三爻が教える生き方
三爻は、「革を求める声が強くなる時ほど、火は最も強くなる」と教えます。
強さで片づけると焦げつく。守りに寄りすぎても崩れる。
だからこそ、必要なのは——
“決める前に整える”“動く直前の一瞬を見誤らない”という胆力です。
三度言われて流れが決まるような局面でも、焦らず、しかし遅れず。
その火加減こそが、革を「成就」に近づける鍵になります。

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