周易64卦384爻占断
268、沢地萃(たくちすい)4爻
◇ 萃とは何か?
沢地萃(たくちすい)は、「人心が集まり、まとまりが生まれる」卦です。
ただし集まる力は、扱い方を誤ると乱れにも変わります。誰のもとに、どの筋で集めるか――そこが萃の要点です。
◆ 卦全体が教えてくれること
萃の中心は五爻ですが、四爻は位置の都合で、人が集まりやすい“窓口”になります。
上の主人(五爻)に直行するよりも、支配人・世話役のような立場(四爻)を頼るほうが自然で、下々の感情にも通じやすい。だからこそ、初爻や三爻のような「集まりたい側」は四爻に引かれやすいのです。
しかし四爻は、位が正しくない(陰位に陽)ため、その力は危うさも伴います。
ここで私心が出れば、集まった人心を“自分の道具”にし、君を損ね、世を乱す芽になります。
だからこそ爻辞は条件を付けます――「大なれば吉」。大人物(私心を離れ、公の道を守る者)であって初めて吉になる、という戒めを。
◆ 4爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「大なれば吉。咎(とが)なし。」
【象伝】
「大なれば吉にして、咎(とが)なきは、位(くらい)当(あた)らざるなり。」
● 解釈
四爻は、人が自然に集まってくる側の位置です。
頼られる、相談される、交わりを求められる――そういう“人の集積”が起こりやすい。これは萃の働きとしては強みですが、同時に危険でもあります。
なぜなら、四爻は「位当らざる」からです。
本来の中心(五爻)ではないのに、人が四爻へ寄ってくる。すると、四爻が小人であれば、その集まりを奇貨として権勢を増し、私腹を肥やし、結果として秩序を壊します。
そこで「大なれば吉」と条件が付くのです。ここで言う「大」は、規模が大きいという意味ではなく、器の大きさ・公の心・私心のなさを指します。
大人物として、公に仕え、集まった人心を正しく上へつなぐ。
そうできれば吉であり、咎はない。反対に、器が小さければ、集まりは疑いを招き、痛くない腹を探られ、後日の悔いになりやすい――これが四爻のリアルです。
◆ 含まれる教え
- 人が集まりやすい立場には、自然と信望が集まる
- しかし中心ではないため、誤解や疑いも生じやすい
- 私心で自分の利益を中心として扱えば、集まりは乱れを招く
- 公の心で受け、上へつなぐなら吉
- 勝っても相手の顔を立てる度量が、長い勝ちを作る
◆ 仕事
仕事では、信用・依頼・引き合いが増えやすい時です。
ただし、成功そのものよりも「人間関係の扱い」が成否を分けます。目立つ立場になりやすく、別方面から疑いを向けられたり、思わぬ反感を買ったりしやすいからです。
交渉や取引は有利に運びやすい一方、相手の利益や面子を見ない強引さが出ると、「勝って却って負ける」形になりやすい。
大人物として、広い視野で配慮し、公の筋を守るほど、運は安定します。
売買や資金を動かす話は、集まりが大きくなりやすいぶん、手元の力量を超えると損になりやすい。まず資力・体制の確認が要点です。
◆ 恋愛
縁談は、まとまりやすい象を持ちます。
ただし相性は「とても良い」と決めつけにくく、外からの介在(余計な異性・口出し・噂)が入りやすい点に注意が要ります。
ここでも「大なれば吉」です。
相手を立て、周囲への配慮を欠かさず、私心や駆け引きに寄らないほど、こじれを防げます。
◆ 沢地萃(4爻)が教えてくれる生き方
四爻が教えるのは、人が集まるときほど、心を大きく保てということです。
集まりは力ですが、器が小さいと疑いと反発を呼び、乱れに変わる。
公の心で受け止め、私の欲を混ぜず、正しい中心へつなぐ。
そうして初めて、集まりは秩序となり、吉となり、咎を免れます。
「大なれば吉」――四爻は、立場よりも器で運が決まることを、はっきり教えています。

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