262、天風姤(てんぷうこう)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

262、天風姤(てんぷうこう)4爻

◇ 姤とは何か?

天風姤(てんぷうこう)は、「不意に出会う」「思いがけず入り込むものに遭う」働きを示す卦です。

上卦は乾(天)、下卦は巽(風)で、剛健な天の下に、風のように忍び入り、まとわりつく陰の気が現れる象を持ちます。

姤は、吉凶が単純に決まる卦ではありません。

問題は「入り込んできたものが小さいうちにどう扱うか」で、初動を誤ると、のちに勢いを増して手に負えなくなりやすいところに特徴があります。

◆ 卦全体が教えてくれること

この卦は、初爻にただ一つの陰が現れ、二爻から上爻までの五陽がそれを対照して展開します。

したがって各爻は、いずれも「初爻の一陰(媚び入り、惹きつけるもの)をどう扱うか」を、それぞれの位置と陰陽関係から語っていると見ます。

四爻は初爻の応爻に当たり、本来なら最も密接に対処できる位置です。ところが既に二爻が「包(つと)に魚」を成して初爻を包み蔵しているため、四爻には「包に魚なし」となり、手当てが遅れ、民情に疎いゆえに失策を招く――これが四爻の骨子です。

◆ 四爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「包(つと)に魚无(な)し。凶を起す。」

【象伝】

「魚なきの凶は、民に遠ざかるなり。」

● 解釈

四爻は初爻の応爻であり、本来なら初爻に最も手が届きやすく、最も早く処置を講ずべき立場です。位からいえば大臣宰相の地位に当たり、五爻の君を補佐して庶政を治め、害の芽を先んじて摘む役目です。ところが現実には、二爻がすでに初爻を包み蔵し、四爻の側には「包に魚なし」となります。

ここで重要なのは、四爻が“魚を欲して得られない”だけではなく、「凶を起す」とまで言われる点です。初爻のようなものを第一に見つけて扱うべき立場にありながら、二爻に先を越されているのは、処置の遅鈍・注意の行き届かなさを示します。その根本原因を、象伝は「民に遠ざかる」と断じます。すなわち、民情に疎く、人の声や現場の機微から離れているために、必要な情報が手元に届かず、対処の機会を逸し、結果として失策が“凶として起こる”のです。

二爻と四爻はともに陽で、二爻は初爻に対して比、四爻は応という違いはあるものの、関係の濃さだけで言えば四爻も深いはずです。それでも二爻は魚を包み得て、四爻は包み得ない。これは二爻が中を得ているのに対し、四爻は不中であるからだ、と解されます。易が「中」をどれほど重く見るかが、ここに明瞭に表れます。

したがってこの爻の占意は、第一に「目標とするものが既に他に奪われている」こととして現れやすい。事業の機会、地位や席次、必要な資金や人材、要となる情報――それらが手を伸ばす前に他へ渡り、自分には回って来ない。第二に「人と親しまないために機を逸する」という意味が重なります。推薦を頼んだ相手が知らせようとしても連絡が取れない、現場の情報が上がって来ない、周囲との結節点が弱くて好機が素通りする――これが「民に遠ざかる」の具体です。

また四爻が変ずれば巽為風となり、事が取留めなく、散り、まとまりにくい象も帯びます。よって願い事は通りにくく、望むところを他に奪われて争いが起こりやすいが、自重して無益な衝突を避けるべきだ、という戒めになります。

◆ 含まれる教え

  • 役目上「最初に気づいて処置すべき者」が、気づけぬ時は凶を招く
  • 応の位置でも、中を失えば手が届かず、機会を逸する
  • 民情・現場・人の声から遠ざかるほど、必要な情報は届かない
  • 欲しいものを奪われた時は、争うよりも自重して次機を待つ
  • 取留めなさ(巽の散)を増やさぬため、連絡・結節点を回復せよ

◆ 仕事

仕事では、狙っていた案件や席、役割が「既に他に取られている」形で出やすい時です。

また、情報が遅れて入る、現場の空気を掴み損ねる、周囲との連絡が薄くて機会を逃す――そうした“手当ての遅れ”が失策に繋がりやすい局面です。

ここで焦って争うと、かえって凶を大きくしがちです。

すべきは、関係者との結節を取り直し、現場の声を拾い、次の機会に間に合う体制を整えること。交渉や談判は実効を奏しにくいので、成果を急がず、足場固めに回すのが良いでしょう。

◆ 恋愛

縁談はまとまりにくいと見ます。

まとまると思った話が、少し愚図ついている間に他へ決まる――そのような形が出やすい。もっとも、この爻の縁は「良縁とも言い難い」色があるため、過度に失望するより、縁の見直しが却って利になる場合もあります。

◆ 天風姤(四爻)が教えてくれる生き方

四爻が教えるのは、「手が届くはずの位置にいても、民から遠ければ届かなくなる」という戒めです。

正当な権利を有する対応関係(応)よりも、自分が中心(中)を得ているか、また現場との距離の遠近が物を言う。

だから、望むものを奪われた時こそ、争いで取り返そうとせず、結節点を整え、人の声に近づき、次の機会を逃さぬ姿勢へ立て直す。

これが「包に魚なし」の凶を、次へ転じる道筋です。

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