260、天風姤(てんぷうこう)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

260、天風姤(てんぷうこう)2爻

◇ 姤とは何か?

天風姤(てんぷうこう)は、「不意に出会う」「思いがけず入り込むものに遭う」働きを示す卦です。

上卦は乾(天)、下卦は巽(風)で、剛健な天の下に、風のように忍び入り、まとわりつく陰の気が現れる象を持ちます。

姤は、吉凶が単純に決まる卦ではありません。

問題は「入り込んできたものが小さいうちにどう扱うか」で、初動を誤ると、のちに勢いを増して手に負えなくなりやすいところに特徴があります。

◆ 卦全体が教えてくれること

この卦は、初爻にただ一つの陰が現れ、二爻から上爻までの五陽がそれを対照して展開します。

したがって二爻以降は、いずれも「初爻の一陰をどう扱うか」を、それぞれの位置と陰陽関係から語っていると見ます。

二爻は、初爻のすぐ上に位して、陰が伸び進むのを「止め・包み・外へ漏らさぬ」役目を負うところであり、姤の要点である「小さいうちに処する」の実務が、最もはっきり現れる爻です。

◆ 二爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「包(つと)に魚有り、咎(とが)无(な)し。賓(ひん)に利ろしからず」

【象伝】

「包(つと)に魚有るは、義賓(ひん)に及ぼさざるなり。」

● 解釈

「包に魚有り」の魚は初爻の一陰を指します。魚を陰物と見るのは他卦にも例があり、また巽の「どこへでも入り込む」性質から、滑り込むように潜むものの譬えとして魚を取ったとも見られます。五爻ではこれを瓜に譬えますが、いずれも「人が好みやすい・甘美に見える」ものとして示され、ゆえに扱いを誤ると禍を生みやすい点で共通します。

二爻は初爻を直上で受け止める位置にあるため、これが伸びて行くのをしっかり止め、包み蔵して外へ出さぬようにする。ここが「咎なし」の理由です。初爻の「金柅(きんじ)に繋ぐ」と言われた“繋ぐべき堅い止め具”を、具体の働きとして担うのがこの二爻であり、陰を包蔵して他へ累を及ぼさぬようにする責任がある、と読むべきです。

もし初爻の勢いが長じて二爻を犯すほどになれば、卦は天山遯(てんざんとん)へ傾き、さらに天地否(てんちひ)へ続いて、閉塞・梗塞の気配が濃くなる筋を含みます。だからこそ二爻は、好ましさを感じても「包んで止める」ことで、流れの悪化を未然に断つ位置なのです。

その上で「賓に利ろしからず」と断じます。魚は美味で、人は客にも勧めたくなる。しかしこの魚は“内に抱えるべき魚”であり、外へ出して客に及ぼせば害を生じかねない。象伝が「義、賓に及ぼさざるなり」と言うのは、情においては好みがあっても、義としては客に及ぼすべきでない、つまり外へ拡げてはならぬ、という強い歯止めです。二爻の正しさは、好悪や歓待の心よりも、害を防ぐ筋(義)を優先して“包蔵に徹する”ところにあります。

この爻を得る時は、表面は良さそうでも内に含みのあるもの、癖があり扱いにくいもの、あるいは毒を帯びた誘いの類に触れやすい局面です。ゆえに「外へ出さず、広げず、勧めず」、抱え込んで止めるほど無事であり、軽々に人へ回せば、こちらの責任として禍を引き受ける形になりやすい、と見ます。

◆ 含まれる教え

  • 目の前に“好ましい形”で現れても、内に抱えるべきものは外へ出さぬ
  • 人が好むものであっても内実が良くないものは包蔵して止めれば咎なし、広げれば害が及びやすい
  • 他からの要求に応えようとする私情よりも義を優先し、相手に及ぼさぬことが正着となる局面がある
  • 誘い・提案・人の言葉は表面だけで判断せず、底心(毒)を疑って用心することが必要
  • 一度拡散すると収拾が難しいものほど、初動で包み切る

◆ 仕事

仕事では、扱いにくい人物・癖の強い案件・含みのある提案を「自分が受け止めて処理せねばならぬ」ような苦労が出やすい時です。

この爻の要は、問題を拡散させないことにあります。組織の外へ話を広げない、余計な紹介をしない、安易に他部署や取引先へ回さない。自分の守備範囲で包み、止め、時間を稼ぐ方が安全です。

新規の着手は思い止まり、人から誘われても丁重に謝絶すべきです。売らねばならぬ品・出さねばならぬ提案があっても、焦って外へ出すより、手持ちとして機を待ち、条件を整えてから動く方が無難と見ます。

交渉・談判も同様で、こちらの主張や手の内を表立てず、控えて時を待つべきです。相手に合わせて「賓に供する」ような形で軽く流すと、後で責任がこちらへ戻って来やすいので、包蔵の姿勢を守るのがよいでしょう。

◆ 恋愛

縁談はよろしくありません。姤は総じて「入り込み・まとわり」を警戒する卦ですが、とりわけ二爻は「包に魚有り」の象から、相手側に表に出ていない事情が含まれやすい、と古来見て凶意を取ります。

ここは、情で押し切らず、事実関係・筋道・順序を整えることを最優先にし、少しでも曖昧さがあれば“賓に及ぼさず”の断で、進めずに止める判断が安全になります。

◆ 天風姤(二爻)が教えてくれる生き方

二爻が教えるのは、「抱えて止める」という強さです。

好ましく見えるものほど、外へ出して多くの人に提供したくなる。しかし二爻は、義としてそれを抑え、包蔵して他へ累を及ぼさぬことで咎を免れます。

小さいうちに包めば止まる。

ひとたび賓へ及べば、収拾が難しくなる。

この見極めを持ち、情よりも筋を守って、静かに止める――それが姤の二爻の歩み方です。

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