周易64卦384爻占断
218、風火家人(ふうかかじん)2爻
◇ 家人とは何か?
風火家人(ふうかかじん)は、
巽(風)=従順・教化 が
離(火)=明徳・礼 の上に乗る卦で、
- 家内の秩序
- 家政の正しさ
- 内側の調和
- 役割の節度
- 小さな倫理が大きな安定を生む
という、「家庭(内側)を整えること」を最重要とする卦です。
家人の各爻は、家庭内の役割・振る舞いを象徴し、
特に 下卦(内側) に位置する二爻は、
“家庭の中心にいて、家を安定させる者”
を意味します。
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◆ 卦全体が教えてくれること
家人が示すのは、
- 進むよりまず内を治める
- 節度・礼儀・慎みが吉を生む
- 外よりも内の調和が先
- 家の安定が、すべての成功と幸福の根源
という、基本にして普遍の教えです。
二爻はその中心にあり、
「家庭の柱として静かに支える」象を持ちます。
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◆ 二爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「遂(と)ぐるところなし。中饋(ちゅうき)に在(あ)り。貞吉。」
【象伝】
「六二の吉は、順(つつし)みて以(もっ)て巽(したが)うなり。」
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● 解釈
六二は 柔順・中正 を備えた非常に良い位置で、
離(火)の中央に当たるため、
《女性の道にもっとも適う爻》 と古来説明されます。
「遂ぐるところなし」とは、
- 自分の功績を立てようとしない
- 私を通さず、家の秩序に従う
- 夫(上位者)に逆らわず、家風に従う
という意味で、決して無能を意味しません。
むしろ、
“私心なく家を支える徳” が完全である
という最高の誉め言葉です。
「中饋」とは厨房のことで、
飲食を整え、神に供し、人を養う重要な役割。
家の“内”を司る象であり、
六二の柔順中正に最もふさわしい場所です。
象伝が
「順みて以て巽う」
と言うのは、
- 柔順で
- 家風に従い
- 分を守り
- 和を乱さず
という姿勢が、家人において最も美しい徳だからです。
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◆ 含まれる教え
二爻の教えは、初爻と似つつも、さらに安定しています。
- 旧を守ることが吉
- 慎み・柔らかさ・順応が福を招く
- 私心を立てず、節度を守れば悔いはない
- 家の中心を支える役割が最も尊い
- 誘惑や利得に心を動かさない
初爻が「努力して慎むべき段階」であるのに対し、
二爻は「自然に慎みが身についている段階」です。
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◆ 仕事
仕事運は安定しています。
- 今まで続けてきた方針をそのまま保つべき
- 変化・改革・冒険は不適
- 地味な努力が確実に成果へ向かう
- 穏当で堅実な姿勢が信用を高める
- 利得に誘われても動じない慎重さが必要
急いで方向転換すれば失敗します。
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◆ 恋愛
恋愛は 吉。
- 相手から見て「願ってもない性質」
- 家庭的で、安定した交際・結婚へ結びやすい
- 柔らかな魅力が相手の心を和らげる
- 二人の関係が落ち着き、安定へ向かいやすい
ただし、
女性が男性を占った場合は、
- 相手がやや優柔不断
- 決断力に欠ける
- 主導権を握りにくい
という不満を感じることがあります。
しかし縁としては良縁の象が強いです。
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◆ 風火家人(二爻)が教えてくれる生き方
二爻の人生メッセージはこうです。
「内を整えよ。静けさと順応が幸福を育てる。」
- 私心がなければ、すべては自然と整う
- 心の中心を乱さず、柔らかく過ごせば吉
- 力で進む時ではなく、積み重ねで進む時
- 内側を整えることが、外の成功を呼ぶ
- 慎みは、やがて大きな安定を生む
家人の卦の中でも、二爻は“最も家を守る力”を持つ位置。
静かな徳こそが、最も深い吉を招くのです。

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