周易64卦384爻占断
217、風火家人(ふうかかじん)初爻
◇ 家人とは何か?
風火家人(ふうかかじん)は、
巽(風)が離(火)の上にあり、
「家庭の秩序」「内を整える」「家の道を正す」ことを象徴する卦です。
家人は、
- 小さな秩序が大きな秩序を生む
- 家が正しい時、国家も正しくなる
- まず内側を整えることが成功の根本
- 外へ出る前に内面と基礎の修養が必要
という、きわめて実践的で倫理的な卦です。
特に初爻は 家の始まり・基礎づくり を示し、
慎み・学び・内省の重要性が前面に出ます。
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◆ 卦全体が教えてくれること
家人の核心は、
- 外へ出るより前に、まず「内」を整える
- 慎み・節度・静かな修身が幸福の基礎
- 家の秩序は小さな姿勢から築かれる
- 早い段階で“習い性”を正しく作ることが大吉
という、極めて現実的な教訓です。
初爻は “家の最初の一歩” にあり、
ここでの姿勢次第で後々の吉凶が分かれます。
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◆ 初爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「閑(ふせ)ぎて家を有(たも)つ。悔亡ぶ。」
【象伝】
「閑(ふせ)ぎて家を有(たも)つは、志いまだ変ぜざるなり。」
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● 解釈
「閑(ふせ)ぐ」とは、
門の内側に“木”を置いて通行を防ぐ象であり、
- 閉じる
- 防ぐ
- 静かに家の中で学ぶ
- 余計な外出・余計な動きを避ける
という「慎み」の姿勢を意味します。
これは家人の“初め”に位置する爻であり、
女性でいえば嫁ぎたての花嫁に当たり、
慣れぬうちに出しゃばらず、
まず家事と内面の慎みを身につけることが吉とされます。
火(離)でいえば、まだ芯が暗く、
方向が定まりにくい段階にあるため、
なおさら慎重な姿勢が必要です。
象伝の
「志いまだ変ぜざるなり」
は、
- 最初の“慎みの心”を変えずに保つこと
- 謙遜・節度・内省を続けること
- 家を守る姿勢を崩さぬこと
が、後日の悔いをなくす鍵であると示します。
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◆ 含まれる教え
初爻は「準備の時」であり、
ここでの教訓は非常に具体的です。
- 早く成果を求めてはならない
- 外へ出るより、まず内側を固める
- 姿勢を慎めば、後の悔いは消える
- 今の節度を“習い性”として身につける
- 小さな油断が後に大きな乱れになる
家人の卦は家政の象ですが、
人生全般においても「基礎の整え方」を問われます。
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◆ 仕事
仕事においては「動く時ではない」と出ます。
- 新規の企画・拡張は不適
- 今は準備・勉強・内省に最適
- 大事を急げば失敗する
- 小さな油断が後の大きな不運に繋がる
- 余計な動きをせず“内を固める”ことが大切
これは採用活動にも通じ、
「今まで続けてきたことを続ける方が良い」
という象を持ちます。
焦って要領よく動くと、
かえって反発を受ける恐れがあります。
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◆ 恋愛
恋愛は悪くありませんが「慎み」が必要です。
- 今は深追いせず、自然に任せる方が吉
- 積極的に押すと逆効果
- 相手からの働きかけを待つ方がうまくいく
- 初期段階で“節度と誠実”を保つことが後々を決める
特に女性が男性を筮した場合、
「相手に小言が多い・自由が少ない・発展が遅い」
という不満が出やすい時ですが、
成否としてはまとまりやすい縁です。
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◆ 風火家人(初爻)が教えてくれる生き方
初爻が示す人生のメッセージはこうです。
「外へ急ぐな。まず内を整えよ。」
- 家庭・心・基礎を固めることが最も大きな吉
- 初めの慎みを保つことが、後の幸福を決める
- 余計な行動を控え、準備を丁寧に
- 小さな節度が大きな安定を生む
- 変わらぬ志が、悔いのない未来をつくる
家人の“第一歩”は、
静かで控えめであるほど美しく、
その姿勢こそが後々の繁栄と安定を導くのです。


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