周易６４卦３８４爻占断
２１４、地火明夷（ちかめいい）４爻
◇ 明夷とは何か？
地火明夷（ちかめいい）は、
大地（坤）の下へ太陽（離）が沈み、
光が外へ出られず内側に潜む「日没の卦」です。
これは、
- 才能ある者が正当に扱われない
- 明徳が傷つけられやすい
- 外部環境が暗く、光が届かない
という“光が外で働けない時期”を象徴します。
しかし明夷とは、光が失われるのではなく、
光を守り、時を待つための隠忍を教える卦です。
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◆ 卦全体が教えてくれること
明夷が示すのは、
- 外で行動すれば傷つく
- 内向して光（明智、明徳、聡明）を守ることで災いを避けられる
- 暗い環境では、正義や実力を押し出してはいけない
- “退くべきときに退く”ことが後の光を生む
という、しなやかな処し方です。
四爻は外卦に属しながら、
内側の腹心に入り込む地点であり、
状況を見極めて遠ざかる智慧を象徴します。
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◆ 四爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「左腹に入りて、明夷の心を獲（う）。于（ゆ）きて門庭を出づ。」
【象伝】
「左腹に入るは、心意を獲るなり。」
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● 解釈
四爻の「左腹に入る」とは、
外卦坤の一陰として、
主魁（上六＝明夷の原因となる暗愚の支配層）に最も近い 腹心の位置 を象徴します。
二爻が「左股」とされたのに対し、四爻が「左腹」とされるのは、
位の高さと陰位の象を踏まえた極めて精密な表現です。
また、初・二・三爻には「明夷」の語が爻辞冒頭に付いていたのに、
四爻以降には付かなくなるのも重要な点です。
これは、四爻が すでに明夷の中心に入り込み、
明暗の状況を深く知り抜いているため、
あえて語らずとも“明夷に居る”ことが明らかである
という構造的な示意です。
四爻は主魁と共謀するのではなく、
その心中を知り、危険を察知して離脱する立場 を取る爻です。
腹心に近いため内情を見抜くことができ、
不正や闇が近く迫っていると悟れば、
迷わずそこから遠ざかるべきであると告げています。
爻辞の「門庭を出づ」は、
離を宮室とし、四爻が変じて震（動・出）となる象に基づき、
内側から静かに退く動き を意味します。
四爻がこのように退くのは、
陰をもって陰位に居り柔正の徳があって、
上六を諫めたり討ったりする勇武をもたないからです。
しかし、その弱さこそが
“無理をせず身を守る”という正しい判断を導きます。
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◆ 含まれる教え
四爻には明確な戒めが含まれます。
- 近しい相手（腹心）が不正を企てている時は、深入りしてはならない
- 甘言や利益でつなぎ止められても、それに応じれば必ず傷つく
- 危険を察知したら、静かに距離を取る方が賢明
- 表面は良さそうでも、内実は腐っていることが多い
- 古い習慣・しがらみに固執すれば凶に至る
明夷の中で動こうとするなら、
“明を守るための退避” が最大の智慧となります。
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◆ 仕事
仕事では、
- 甘い誘い
- 魅力的に見える提案
- 利益に見える拘束
これらが実は危険である場合を示します。
相手の真意は表面よりはるかに曇っており、
“腹心の内情” を見抜いた上で退く判断が必須です。
- 新規事業は不可
- 計画は見直し、手を引く方が安全
- 他者の甘言は信じない
- 欺される危険が高い
冷静な撤退が最大の守りとなる爻です。
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◆ 恋愛
恋愛では、
- 魅力的に見えるが内実が伴わない相手
- 甘い言葉の裏に問題が潜む
- 隠し事・不誠実・不透明な事情
- 本心を隠し近づいてくる人物
こうした象が強く現れます。
表面の美しさに心を寄せると、
後に深い傷や後悔を招きやすいため、
今は深入りせず、距離を置くのが吉。
四爻の告げる恋愛は「退く方が守られる」という局面です。
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◆ 地火明夷（四爻）が教えてくれる生き方
四爻が導く人生の指針はこうです。
「内情を見抜いたなら、静かに距離を置け。
光を守るためには、退く勇気が必要である。」
- 甘言に乗らない
- 表面が良く見えても内側を疑う
- 危険に気づいた瞬間に身を引く
- 自分の明を守ることを最優先にする
- “去りどき” をわきまえる者だけが災いを避けられる
明夷の闇は深く、
光を発して外へ戦う時期ではありません。
四爻は、
巧みに察し、賢く退くという“静かな勇気”
を象徴する爻なのです。
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