周易６４卦３８４爻占断
２１２、地火明夷（ちかめいい）２爻
◇ 明夷とは何か？
地火明夷（ちかめいい）は、
太陽（離）が大地（坤）の下に沈み、
光明が傷つき、世に容れられなくなる時を象徴します。
才能や徳が遮られ、
明るさが暗き力に押し込まれるとき。
君子は光を隠し、退き、時を待つのが正道となる――
そのような「潜伏と忍耐の知恵」を伝える卦です。
ただし、暗さは永続するのではなく、
明はやがて再び地上へ戻るため、
その前段階として“苦難をどう避け、どう脱するか”が
明夷の核心となります。
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◆ 卦全体が教えてくれること
明夷における教えは次のようにまとめられます。
- 光（明智、明徳、聡明）ある者が傷つく時。まっすぐ進むことはできない
- 災いを避けるには、退き、隠れ、順うことが必要
- 正義や能力を表に出すほど危難を招く
- 順応と忍耐が後日の吉へつながる
- 暗中では、正しい退避と機敏な対処が極めて重要
特に 二爻 は、
光の主（離の主）としての価値を持ちながら、
暗き力により 直接の傷害を受ける位置 にあります。
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◆ 二爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「明夷。左股（さこ）を夷（やぶ）る。
用て拯う。馬壮なれば吉。」
【象伝】
「六二の吉は、順にして以て則（のり）あるなり。」
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● 解釈
二爻は内卦離の主であり、
明を代表する位置にいます。
ゆえに暗黒の力（外卦坤）に近づくほど、
もっとも標的となりやすく、
初爻と違って 実際の傷害を受ける 段階です。
■「左股を夷る」
陰爻であることと位置から、
“左の股”に象られます。
股を傷つけるとは、
すでに災難が君子に及んだことの象徴です。
ただしこれは致命傷ではなく――
■「用て拯う。馬壮なれば吉。」
傷ついた足を使わず、
馬（＝変じて乾・健の象）に乗って遁れる ことで
危機を抜けられる、と説きます。
つまり、
被害は避けられなかったが、
なお脱出の道は残っている。
ここが二爻の大きな特色です。
象伝がいう
「順にして以て則ある」
とは、
- 無理に逆らわず
- 時の険しさに従い
- 適切な方法（則）を守ることで
危地から脱することができる、という意味です。
さらにこの二爻は
「文王が羑里に囚われた難」に相当するとされ、
一時の災難の中でも
後に大業を開く基礎となる苦難
として位置づけられています。
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◆ 含まれる教え
二爻の教えを整理すると以下の通りです。
- 光ある者は時に災いを受ける
- 傷を負っても、退く道が必ず残されている
- 無理に抵抗せず、順応と柔順によって危地を脱する
- 「馬壮」＝新たな方向転換と外部援助が吉
- 苦難は後日に新局面を開く土台になることもある
- 自分一人で抱え込まず、人の助力を借りるべき
初爻と違い、
二爻は「傷を負ったうえで逃れる」。
ここに運命の深さと成長の芽が潜んでいます。
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◆ 仕事
仕事運では、
二爻はすでに“実害”の出る局面を示します。
- 誤解・圧迫を受ける
- 職務上の損失
- 直接の妨害・不利益
- 自分の責任でなくとも巻き込まれる
- 誰かのミスや不正が自分に降りかかる
など、被害が表面化しやすい。
しかしここで押し返すと
傷が深くなるため、
敏速に退く・方向転換する・助力を求める
が最大の鍵。
- 強硬策は失敗
- 無理を押せば破綻
- 古いやり方は捨てて別路を探すべき
- 状況改善には他者の助けが必要
事業でも、
転換策・撤退・再構築が吉。
「馬壮」＝
自力ではなく“外の力”の利用が最善
というメッセージです。
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◆ 恋愛
恋愛では、
好いた同士であっても困難が多い時期です。
- 周囲の反対
- 障害者の存在
- 思わぬ邪魔
- タイミングの悪さ
- 直接的な痛手（誤解・不和）
などが生じやすい。
しかし、
理解者・仲介者が現れて
助けてくれる場合もあり、
自分ひとりで進めず、援助を得て乗り越える
のがこの爻の特徴です。
縁談は難がありますが、
全く不可能ではありません。
ただし強行すれば破れます。
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◆ 地火明夷（二爻）が教えてくれる生き方
二爻はこう語ります。
「傷を負っても、なお脱出の道はある。
無理に抗せず、順応し、他の力を借りよ。」
- 被害を受けても慌てず、静かに退く
- 状況が暗いほど、動きは“迅速かつ慎重”に
- 古いやり方を捨てて新たな進路へ
- 一人で抱え込まず、助力を求める
- 苦難は後日の飛躍の基礎となる
- 馬（乾）の力＝健やかな方向転換こそ吉
明が傷つく時、
勇気とは正面突破ではなく、
適切に退き、再び立ち上がれる形を残すことです。
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