137、山地剥(さんちはく)5爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

137、山地剥(さんちはく)5爻

◇ 剝とは何か?

山地剝(さんちはく)は「削がれる」「崩れる」「失われる」という意味を持つ卦です。

山の下に地があり、地が山を下から削り取る象を表しています。

これは、下の力が上を侵食し、積み上げてきたものが崩壊していく時を意味します。

この卦においては、危機はすでに表面化しており、内側からの崩れが進行しています。

そのため、新しい行動や改革を起こすべき時ではなく、災いを最小限に抑えて退避することが求められる時です。

◆ 卦全体が教えてくれること

剝の卦が示すのは、「盛衰の理(ことわり)」です。

上に立つ者や堅固なものが、下から静かに削られていく時、人は往々にして気づくのが遅れます。

しかし、気づいた時にはすでに崩壊が目前まで迫っているのです。

そのため、剝の時には守るよりも、早めに引く・捨てる・避けることが最善の道。

執着を手放し、身を軽くして危地を脱する決断力が試されます。

◆ 五爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「魚を貫(つらぬ)く。宮人(きゅうじん)の寵(ちょう)を以てす。利(よ)ろしからざるなし。」

【象伝】

「宮人(きゅうじん)の寵(ちょう)を以てするは、終(つい)に尤(とが)めなきなり。」

解釈:

第五爻は、五つの陰が一つの陽を剝ぎ尽くそうとする卦勢のただ中にありながら、爻辞に「剝」の語が現れない唯一の陰爻です。ここに、この爻の特殊性があります。

「魚を貫く(貫魚)」は諸説あるものの、魚=陰と見て、多くの陰(魚)を上から下へ一貫して貫き重ね、秩序立てて束ねる象と解せます。すなわち、陰の勢いが強くても、無秩序に放置せず、統御し、列を作らせて逸脱を抑える意です。

「宮人の寵を以てす」は、陰の盛運に対して、これを重職に就けて権勢を与えないで、後宮の人を遇するごとく寵愛(配慮・慰撫)にとどめるという処し方を示します。すなわち、陰を露骨に排斥もせず、かといって国家の中枢(重任)も与えない。怒りを宥めつつ、行き過ぎる剝落を免れるという、中庸の統治術です。

その結果が「利ろしからざるなし」であり、象伝の「終に尤めなきなり」は、最終的に咎めを受けない(破局を回避する)ことを述べます。小人にとっては福、君子にとっては幸であり、剝の極で身を全うする賢策を語る爻です。

◆ 含まれる教え

  • 陰の勢いが強いときは、排撃ではなく秩序立てと宥和で被害を最小化する。
  • 小人に重権を与えないが、寵遇で怒りを逸らすのが最善。
  • 無秩序を許さず、隊列(ガバナンス)を整えることで剝落の連鎖を防ぐ。
  • 露骨な対立を避け、義理を尽くし、礼で処すことが「終に尤めなし」につながる。

◆ 仕事

この爻を得たとき、一人ではなく三人・五人と徒党を組む動きが生じやすい時です。だが、その仲間は腹蔵なく誠実に助け合う関係ではなく、騒ぎ・攻撃には結束するが、責任ある局面では頼れない人々であることが多い。

対処の要諦は「貫魚」「宮人の寵」。すなわち、

  • 部下・関係者を即時に秩序だてて列に並べ(役割を明確化し)、逸脱を許さない。
  • 功労は名誉より物(具体的な謝礼・実利)で速やかに報いる。
  • ただし重権は与えず、情でなだめて統制する。

交渉・談判は複雑で埒があきにくい。相手を尊重し、礼を尽くして筋を通す(義理は義理で済ませる)こと。正面衝突や感情的対立は禁物で、体よく和解の余地を残すのが最善です。

◆ 恋愛

婚姻・恋愛では、押しかけ女房や、相手の方が強勢で主導される象が出やすい。三角・五角関係など、多人数が絡む複雑な縁にも注意が必要です。

現下の縁談は見合わせが賢明。情に流されず、相手の思惑(利益・依存)を冷静に見極めるべき時です。

◆ 山地剝(五爻)が教えてくれる生き方

剝の極においては、敵対か抱擁かの二者択一ではなく、統御と宥和の中道が生存戦略となります。

「貫魚」は、乱れがちな陰を列に貫いて束ねる統治の技であり、

「宮人の寵」は、陰を重職に就けずとも礼遇で怒りを和らげる処し方です。

正義を声高に掲げても、力の均衡を欠けば破局に至りやすい。

だからこそ、秩序づけ・即時の実利的謝礼・礼節による鎮撫で、剝落の連鎖を断つ。

これが「終に尤めなし」、すなわち大過を免れて利を得る道であり、

小人にとっての福、君子にとっての幸となるのです。

 

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