周易64卦384爻占断
134、山地剥(さんちはく)2爻
◇ 剝とは何か?
山地剝(さんちはく)は「削がれる」「崩れる」「失われる」という意味を持つ卦です。
山の下に地があり、下から山を削り取るような象を示しています。
これは、上に立つ者が下から浸食され、衰退の極みにある時を表します。
剝の卦においては、物事が外からではなく内側から崩れていくという特徴があります。
その進行は一見静かですが、放置すれば土台ごと崩れ落ちる危険を伴います。
よってこの卦に出会った時は、新しい挑戦よりも「守り」「退避」「慎重な整理整頓」を優先することが大切です。
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◆ 卦全体が教えてくれること
剝の卦が伝えているのは、「陰が盛んになり、陽を削ぎ取るとき、上にあるものほど危うい」という教えです。
勢いは下から上へと及び、最初は小さな崩れでも、次第に全体を蝕んでいきます。
この時期は目立つ行動を控え、現状維持と防御に徹することが最良の道です。
油断や慢心が最大の敵であり、わずかな綻びが全体崩壊の引き金になります。
したがって、剝の卦が出た時には「止まる勇気」「退く覚悟」をもって臨むべきです。
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◆ 二爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「牀(しょう)を剝(おと)すに弁(べん)を以(もっ)てす。貞(てい)を蔑(ほろ)ぼす。凶(きょう)。」
【象伝】
「牀(しょう)を剝(はく)すに弁(べん)を以(もっ)てするは、未(いま)だ与(くみ)する有(あ)らざるなり。」
解釈:
「牀(しょう)」は寝台、つまり人の安らぎの場を象徴します。
二爻は、牀の台(だい)と足の間にある弁(つなぎ板)に剥の手が加えられている状態を示しています。
初爻では足元(基礎)を削ろうとする段階でしたが、この二爻ではすでにその上層部分にまで崩壊の手が及んでおり、危害がより身近に迫っている状況です。
小人(陰の勢い)の力が強まり、君子(正道を守る者)の基盤を脅かしています。
それにもかかわらず、これを共に防ぎ支える仲間はおらず、孤立無援の形。
象伝の「未だ与する有らざるなり」とは、助ける者がいない・協力者が得られないという意味です。
危険は明白でありながら、周囲は無関心、または頼みとしていた人物が信用できない時。
それゆえ、「貞を滅ぼす。凶」とされます。
正しい信念を貫こうとしても、状況の力がそれを許さない。
今は誤魔化しや妥協を拒むより、災を最小限に抑える知恵が求められます。
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◆ 含まれる教え
- 危険はすでに足元を越え、身近に迫っていることを悟るべき時。
- 助けは期待できず、孤立の中での判断を迫られる。
- 誘惑・甘言・安易な妥協は破滅を早めるだけである。
- 今の内ならまだ防げる。迅速な退避と被害の最小化を図ること。
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◆ 仕事
この時期は、事業や職場の基盤が危うくなっている時です。
小さな綻びを放置すれば、やがて全体が崩壊します。
特に、信頼していた部下や同僚が当てにならず、支援を期待できない恐れがあります。
今は、強引に推し進めるよりも、一歩退いて損失を最小限に食い止める判断が重要です。
投資・契約・拡張計画などはすべて停止が賢明。
不明瞭な案件には手を出さず、利益よりも安全を優先してください。
「今のうちなら間に合う」という段階なので、少しの損を覚悟しても早期撤退を図るべきです。
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◆ 恋愛
恋愛面では、「未だ与する有らざるなり」とあるように、相手と心が通じ合っていない状態を示します。
交際や婚姻の話は進展しにくく、相手が応じない、あるいは誠意を欠く状況です。
むしろ、この停滞が後に幸運へと転じる可能性もあります。
今無理に進めると、騙される・裏切られるなどの不幸を招きかねません。
一時的な情や衝動で動くことは避け、冷静に相手を見極めましょう。
誠実な関係を望むなら、今は一歩引き、時間を置くことが最良の選択です。
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◆ 山地剝(二爻)が教えてくれる生き方
この爻が教えるのは、「危険が迫ったとき、人は孤立を試される」という真理です。
外に頼れるものがなく、自分の内面の覚悟だけが頼みの綱となる時です。
「牀を剝すに弁をもってす」とは、安息の場の中核が崩れかけている象。
つまり、心のよりどころを失いかけている状態です。
しかし、まだ完全に倒れてはいません。
今なら間に合います。
早く気づき、行動を起こすこと。
一見不利に見える退却も、真の防御となります。
人に頼るより、冷静な判断力と勇気をもって身を守ること。
それが、剝(二爻)の時を無事に乗り切るための生き方なのです。
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