124、火雷噬嗑(からいぜいごう)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

124、火雷噬嗑(からいぜいごう)4爻

◇ 噬嗑とは何か?

火雷噬嗑(からいぜいこう)は、火(離)が上にあり、雷(震)が下にある卦です。火は明らかにし、雷は動く。すなわち「動きながら明らかにする」ことで、世の中の滞りを正し、秩序を立て直す象を表します。「噬嗑(ぜいこう)」とは「噛み砕く」という意味で、問題や障害を徹底的に処理し、通じさせることを示します。

◆ 卦全体が教えてくれること

この卦は、悪や不正を放置せず、断固として正す必要性を説きます。そこには時に痛みや対立も伴いますが、最終的には正義と秩序の回復につながります。ただし、力任せに断罪するのではなく、「明と動」を合わせ持つように、洞察と行動のバランスをとることが重要です。厳しさと誠意を兼ね備えた判断力が問われる時です。

◆ 四爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「乾胏(かんし)を噬(か)み、金矢(きんし)を得(う)。艱貞(かんてい)に利(よ)ろし。吉(きち)。」

【象伝】

「艱貞に利ろしの吉は、未だ光(おお)いならざるなり。」

解釈

四爻は卦の中でも中心的な位置にあり、まさに「噬嗑(かみくだく)」の核心を担います。ここに現れる「乾胏(かんし)」とは、骨付きの硬い干し肉のこと。前の三爻で扱った「腊肉(せきにく)」よりもさらに硬く、噛み砕くには大変な力を要します。つまり、極めて扱いにくい問題、頑固な人物、または深刻な停滞や不正に直面している状態を示します。

この困難を克服するためには、「金矢(きんし)を得る」──すなわち、正義の道具(剛健と正直)を得る必要があります。坎(かん)は水の象であり、「真っすぐな心」「誠実な行い」を意味します。この誠実と剛毅の矢をもって、ようやく硬い問題を打ち砕くことができるということです。

「艱貞に利ろし」とは、「困難であっても正しく貞節を守ることが吉」という意味です。すぐに成果は出ませんが、信念を貫く姿勢がやがて悪を除き、道を開く。象伝の「未だ光いならざるなり」は、まだ完全に明るい結果が得られていない、つまり、今は苦労の途上にあることを示します。

◆ 含まれる教え

  • 困難な課題ほど、誠実と努力によって克服すべし。
  • 即効を求めず、時間をかけて道を通す覚悟を持つ。
  • 苦労の中にも「悪を除く意義」があることを忘れない。

◆ 仕事

仕事では、難題や厄介な案件に直面する時です。周囲の協力が得にくく、孤軍奮闘する場面もあるでしょう。しかし、誠意を尽くし、正しい道を貫くならば、最終的には必ず評価されます。「金矢を得る」とは、真実を見抜く力・忍耐力を意味します。焦らず、段階的に問題を解決していく姿勢が成功の鍵です。短期的な成果よりも、信頼を築くことを優先しましょう。

◆ 恋愛

恋愛においては、誤解や障害が立ちはだかる時です。相手の気持ちが見えず、冷たい態度に傷つくこともあるかもしれません。しかし、誠実に向き合い続けることで、関係の根本が見えてきます。「艱貞に利ろし」とあるように、困難な時こそ貞節を守ることが愛を深める鍵です。試練を乗り越えた後には、真に信頼できる絆が残るでしょう。

◆ 火雷噬嗑(四爻)が教えてくれる生き方

この爻は、「困難の中にこそ真価が現れる」ことを教えます。最も硬い乾胏(かんし)を噛み砕くには、強さだけでは足りません。正しい心、誠の矢を放つ勇気が必要です。努力を重ねても報われない時、結果が見えない時こそ、道の正しさを疑わずに進むべきです。

噬嗑の四爻は、最も険しい峠を越える地点です。そこで退けば、道は閉ざされます。信念と誠実さをもって進むことで、ついには「吉」に至る──それがこの爻の示す人生の教えです。

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