123、火雷噬嗑(からいぜいごう)3爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

123、火雷噬嗑(からいぜいごう)3爻

◇ 噬嗑とは何か?

火雷噬嗑(からいぜいこう)は、上に火(離)、下に雷(震)を配する卦で、「噛み砕いて通す」、すなわち障害を除いて道を通すことを意味します。社会秩序を乱すものや、内部にこびりついた不正・滞りを正すための行動を象徴します。その手段は時に厳しく、痛みを伴いますが、目的はあくまで「正義の回復」と「秩序の再生」です。

◆ 卦全体が教えてくれること

噬嗑は、問題を放置せず、悪や歪みを断ち切るための「決断の卦」です。時に断固とした処置が必要なこともありますが、真の目的は「罰すること」ではなく、「正すこと」。力に頼るのではなく、理と節度によって秩序を取り戻す姿勢を教えています。行動の適度さと自省の深さが、正義の完成を導きます。

◆ 三爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「腊(せき)肉(にく)を噬(か)みて毒(どく)に遇(あ)う。小しく吝なれども咎なし。」

【象伝】

「毒に遇うは、位当たらざればなり。」

解釈

三爻は噬嗑の中でも困難と試練の位置にあります。爻辞に出てくる「腊肉(せきにく)」とは乾燥した肉、すなわち固く噛み砕きにくい肉を指します。2爻の「膚を噬む」が柔らかな肉を軽く噛む状態であったのに対し、この3爻では骨が中に隠れており、難物を相手にしていることを示しています。つまり、経験を積んだ強敵、頑固な相手、あるいは解決の難しい問題に取り組んでいる状態です。

「毒に遇う」とは、厄介な副作用、思わぬ反発、あるいは悪意や中傷を受けることを表します。陰爻が陽位にあるため「位当たらず」とされ、力量に対して責任が過重であったり、適職でない場所に立っていたりすることを示唆します。そのため、悪を正そうと努力しても思うようにいかず、逆に反発を受けやすいのです。しかし、それでも「咎なし」とあるのは、誠意を尽くし、正しい意図をもって行動している限り、根本の過ちはないからです。

この爻は、悪や障害に立ち向かう際、理屈では通じない難局に遭遇することを象徴します。努力しても報われにくく、むしろ犠牲や損失が伴うことが多い。しかし、それを避けることはできません。試練を通して己の志を試される時です。

◆ 含まれる教え

  • 難局に直面しても、正義と誠意を曲げてはならない。
  • 不正を正す際には、相手の反発も受け入れる覚悟が必要。
  • 不遇を嘆くより、経験として消化し、自身を鍛えるべき時。

◆ 仕事

仕事運としては、強敵・難題に直面する時です。理不尽な要求やトラブルに巻き込まれることもあります。交渉ごとは停滞しやすく、成果を出すには多くの犠牲が伴うでしょう。上司や取引先との関係にも緊張感があり、安易な妥協はかえって自分を傷つけます。

ただし、誠意をもって冷静に対応すれば、最終的には「咎なし」となり、あなたの正直さが評価される時が来ます。焦らず、自分の信念を貫くことが肝要です。

◆ 恋愛

恋愛面では、衝突や誤解、心の毒が生じやすい時期です。相手の言葉に傷ついたり、関係がこじれてしまったりする可能性があります。すれ違いが起きても、無理に修復しようとせず、少し距離を置いて冷静に見ることが必要です。無理に進めば「毒に遇う」ことになります。別離・休止を選ぶことが、かえって後の幸運を呼ぶ場合もあります。

◆ 火雷噬嗑(三爻)が教えてくれる生き方

この爻は、「正しい道を進む者が、試される段階」を示しています。困難の中でこそ、真の誠意と品格が問われます。腊肉を噛むように硬く、苦い経験の中にこそ、人を磨く力があります。

「毒に遇う」時、それを恨まず、静かに受け入れる心を持つ──それが「小しく吝なれど咎なし」の境地です。損して得を取るというより、「損を受け入れて徳を積む」ことこそ、この爻の教えです。

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