周易64卦384爻占断
105、山風蠱(さんぷうこ)3爻
◇ 蠱とは何か?
山風蠱(さんぷうこ)は「やぶれ」「腐敗」「乱れ」を意味し、それを繕い、治めることを課題とする卦です。過去の不具合や旧弊をそのまま放置すれば、さらに深刻化してゆきます。しかし誠実で柔らかな心構えをもって対処すれば、必ず再生への道を開くことができます。
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◆ 卦全体が教えてくれること
蠱は「過去から受け継いだ問題を改革していくこと」を主眼にしています。前任者や先人の誤りを受け継ぐことは避けられない場合がありますが、それをどう処理するかが自分の徳や未来を決めます。急進や強硬策ではなく、柔らかさをもって徐々に改善していくことが大切です。
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◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「父の蠱を幹す。小しく悔有るも、大なる咎なし。」
【象伝】
「父の蠱を幹す。終に咎なきなり。」
解釈
三爻は蠱の問題が深まり、すでに容易には解決できない段階を表します。内卦巽の極に位置し、外卦に接しているため、外との関わりや大きな影響が加わり、初爻や二爻よりも困難を増しています。
この爻は陽位に陽であり、剛健な力をもつ反面、急進的に一気呵成で事を片付けようとする傾向があります。そのため強硬に進めれば一時的に「小さな悔い」を生む可能性があるのです。しかし、腐敗ややぶれを正すにはある程度の強さと犠牲が必要であり、最後までやり抜けば「大なる咎なし」となります。
蠱を治めるには根気が不可欠であり、途中で投げ出すことが最大の危険です。商取引であれば旧来の貸借を清算し、時に損を甘んじて受け入れることが必要な場面。人間関係でも恨みや反発を受ける可能性がありますが、それを恐れず改革をやり抜くことが肝要です。
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◆ 含まれる教え
- 深まった問題を解決するには、多少の犠牲や悔いは避けられない。
- 中途放棄こそ最大の過ちであり、最後までやり抜くことで「大なる咎なし」となる。
- 強硬さと根気を併せ持ち、状況を打開していく勇気が必要。
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◆ 仕事
過去の負債や失策を精算する時期。再契約や改革に際し、一時的な損失を伴うことは避けられないが、それを甘受することで将来的な基盤が固まる。途中で逃げずに最後までやり遂げる覚悟が問われる。
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◆ 恋愛
相手との関係に古い問題や誤解が積み重なり、避けて通れない局面。強くぶつかり合えば一時的に悔いを残すが、それでも正直に向き合うことで大きな破局は免れる。根気をもって相手と信頼を築き直す姿勢が必要。
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◆ 山風蠱(三爻)が教えてくれる生き方
「困難に直面しても途中で投げ出すな。最後までやり遂げれば大過はない」と教えています。悔いや損失を恐れて立ち止まれば、事態はさらに悪化します。たとえ一時的に苦しみを伴っても、毅然と向き合い、正すべきを正すこと。これが未来への道を開き、やがて「終に咎なし」となるのです。
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