周易64卦384爻占断
95、雷地予(らいちよ)5爻
◇ 雷地予とは何か?
雷地予(らいちよ)は、上卦が震(雷)、下卦が坤(地)で構成されます。雷が大地を揺らし、人々に響き渡る様は、悦びや祭礼、音楽を象徴します。ただし、この「楽しみ」は正しい在り方を保ってこそ吉となり、放縦すれば災いへと転じることを忘れてはなりません。
◆ 卦全体が教えてくれること
予の卦は「楽しみの扱い方」を問う卦です。悦びそのものは人々を和ませ、活気を与えるものですが、そこに節度がなければ害を生みます。楽しみをどう生かし、どう抑えるか——そのバランスを身につけることが大切であると教えています。
◆ 五爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「貞疾。恒に死せず。」
【象伝】
「六五の貞疾は、剛に乗るなり。恒に死せざるは、中未だ亡びざるなり。」
解釈
五爻は陰爻でありながら君位に立つ尊い位置にあります。しかし、すぐ下の四爻は陽剛で力強く、五爻はその剛力を受動的に受けて制約を受けている状態です。そのため、思うように動けず不自由を強いられ、これを「貞疾(かたくなな病)」と表現しています。
けれども五爻は「中」を得ており、心の正しさを失っていません。また、四爻は「疑う勿れ」と示されるように邪心がなく、五爻を抑えることは逸楽や放縦を防ぐための自然な働きに過ぎません。したがって、この制約は破滅の兆しではなく、安全を保つための抑制作用といえます。これゆえ「恒に死せず」、つまり根本を失わず、滅びには至らないのです。
◆ 含まれる教え
- 抑えつけられる不自由さを「病」と感じても、それが破滅を防ぐ守りとなっている。
- 制約を外からの妨害ではなく「調整」と受け止めることで安泰を得られる。
- 中正を保てば、不自由の中でも本質を損なわない。
◆ 仕事
計画や事業は思うように進まず、資金不足や反対意見に妨げられるでしょう。しかし、それは進むべきではない道を強引に進ませないための「守り」として働いています。現状維持を優先し、強引な拡張や新規計画は避けるべきです。
◆ 恋愛
思うような展開が得られず、停滞や制約を感じやすい時です。ただし、この足止めが関係の破綻を防いでいる側面もあります。焦らず、相手を信じて現状を大切にすれば大きな崩れは避けられます。
◆ 雷地予(五爻)が教えてくれる生き方
五爻は「制約を守りとする智慧」を示しています。思う通りに動けないことを不幸と嘆くのではなく、それが自らを破滅から救っていると理解することが肝心です。外からの抑制や制約を自然な働きと受け止め、正しさを守り抜くことで、安泰と継続を得られるのです。
コメント