86、地山謙(ちざんけん)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断
86、地山謙(ちざんけん)2爻

◇ 地山謙とは何か?
地山謙(ちざんけん)は、上卦が坤(地)、下卦が艮(山)から成り立つ卦です。山が大地の下にあって自らを低くし、へりくだる姿を象徴します。「謙」は驕らず慎み、徳を積むことによって人の信頼を得る道を表しています。

◆ 卦全体が教えてくれること
謙の卦全体が教えるのは、「謙は益す」という古来の教えです。へりくだることは一見弱さに見えますが、実際には人心を集め、援助や信頼を得る力になります。ただし、謙の徳は保ち続けるのが難しく、慢心を防ぎ、謙虚さを一貫して保つ姿勢が大切です。

◆ 二爻の爻辞と解釈

【爻辞】
鳴謙。貞にして吉。

【象伝】
鳴謙貞吉は、中心得るなり。

解釈
「鳴謙」とは、鳥の雌雄が鳴き交わすように、人に学び、後に従って謙を実践する姿を表します。二爻は柔順で中正の徳を備え、比位にある三爻(先導する君子)に従って学ぶことで、その謙が形だけでなく実質を帯びます。三爻に従うにしても、正しさ(貞)に基づいて行えば吉を得る、という戒めです。つまり、表面的に従うだけでなく、心の中心に真の謙を得る必要があると教えています。

象伝は「中心を得る」と説き、これは心の奥に正しい謙虚さを宿すことを意味します。形式や外形の謙虚さではなく、内面的な誠実さをもって謙の徳を体現すれば、吉を招きます。

◆ 含まれる教え
• 謙は「内に正しさを得てこそ」真の力となる。
• 先駆けて功名を求めず、後からついて行く姿勢が安定を生む。
• 外形だけでなく、内心において謙虚を守ることが重要。

◆ 仕事
先を争うよりも、後から従って堅実に歩むことで吉を得られる時です。独自の功名を急げば失敗を招きますが、上司や先輩の導きを得て進めば、次第に成果につながります。今は端緒を掴む段階にあり、漸進主義が肝要です。

◆ 恋愛
自分の思いを先走らせず、相手に合わせて歩む姿勢が大切です。無理に主導権を握ろうとせず、素直で柔らかい心を示すことで、関係は安定します。表面的な派手さよりも誠実さや控えめな態度が相手の信頼を得るでしょう。

◆ 地山謙(二爻)が教えてくれる生き方
「鳴謙」は、内外の調和をもって謙を実践せよという教えです。表面的にへりくだるだけでなく、心の中心に「正しい謙」を据えることで、長く続く安定と信頼を得られます。功名を急がず、旧事を守り、地道に歩むこと――それが人生における大きな吉につながるのです。

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