周易64卦384爻占断
65、地天泰(ちてんたい)5爻
◇ 地天泰とは何か?
地天泰(ちてんたい)は、上に地(坤)、下に天(乾)が重なり、天地が交わって気が通じ合う卦です。「泰」とは安泰や順調を意味し、万事が通じて平和が訪れる吉卦です。しかし、盛運の中にはすでに衰退の兆しが潜んでおり、慢心を戒め、正しく人を用いることの大切さを教えてくれます。
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◆ 五爻の爻辞と解釈
【爻辞】
帝乙(ていいつ)妹(まい)を帰(とつ)ぐ。以(もっ)て祉(さいわい)あり元吉。
【象伝】
以(もっ)て祉(さいわい)あり元吉とは、中(ちゅう)以(もっ)て願(ねが)いを行(おこ)なうなり。
解釈
五爻は泰卦の尊位にある陰爻で、卦の中心を司る位置にあたります。ここでは「帝乙妹を帰ぐ」という故事が引用され、殷の帝乙が妹を有能な臣下に嫁がせて国の安定を図ったことが示されています。これは、五爻が剛中の徳を持つ二爻と正しく応じ、忠誠を尽くす臣を厚く用いることにより泰平を維持する姿を象徴します。つまり、君主の位にある者が私欲ではなく、公の安泰を願い、人材を正しく登用することで大きな幸いと「元吉」を得るという意味です。
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◆ 含まれる教え
•盛運の中にも必ず衰運の萌芽があることを忘れてはならない
•地位や権力を保つには、信頼できる部下や仲間を正しく用いることが不可欠
•私欲や虚飾を捨て、真に国や組織の安泰を願う姿勢が長期の安定をもたらす
•政略や人間関係を動かす際にも、公平で正しい道を歩むことが肝要
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◆ 仕事
仕事においては、責任ある立場にある人が有力な部下や協力者を正しく用いることが重要です。泰の時は順調に見えますが、すでに運勢の頂点に近く、下り坂が始まりかけています。そのため新規事業や拡大よりも、既存の基盤を維持し、部下に任せる姿勢が求められます。信頼できる人材に権限を委ね、自らは全体を見守ることで安定を保てます。逆に、功を急ぎ一人で背負おうとすると失敗や反発を招きやすい時期です。
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◆ 恋愛
恋愛においては、関係を安定させるために信頼と誠実さが不可欠です。泰の盛運にあるため順調ですが、慢心や虚飾は破れを招きます。相手に誠意を尽くし、互いの家族や周囲を大切にすることで、結婚や同棲など新たな段階へ進むことができます。ただし、外見や体裁を飾りすぎたり、力で関係を繋ぎ止めようとすると逆効果です。素直な心と誠実な対応が長続きの鍵です。
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◆ 地天泰(五爻)が教えてくれる生き方
泰の盛運は必ず移ろい、やがて否へと傾きます。その中で五爻は「人を正しく用い、公を優先する心」を示しています。人生においても、自分一人で全てを背負おうとせず、信頼できる人と力を合わせて歩むことで、安泰を長く維持できます。盛運の時にこそ謙虚さを忘れず、公平で誠実に人を用いること。それがやがて衰運を乗り越える力となり、真の幸せを築く道であることを、この爻は教えています。
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