13、水雷屯(すいらいちゅん)初爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

13、水雷屯(すいらいちゅん)初爻

◇ 屯とは何か?

「屯(ちゅん)」とは、物事のはじまりに生じる混沌や困難を意味します。

天地開闢のとき、まだ形も秩序も定まらず、あらゆるものが混ざり合っている——そんな“混乱のはじまり”の状態です。

この卦には、「新しく何かが始まるときには、必ず苦しみや試練が伴う」という深い示唆があります。

◆ 卦全体が教えてくれること

『水雷屯』は、険しき道のはじまりを表しています。

上に険しい水(坎)、下に動きを表す雷(震)——つまり「動こうとするが、すぐに進めない状況」。

物事が始まったばかりで、未熟ゆえに周囲との摩擦や、成り立たない状態に悩まされることが多くなります。

しかし、この時期にこそ「正しい志」を持ち、「焦らず備える」ことが大切であると、この卦は教えてくれます。

◆ 初爻の爻辞と解釈

爻辞:磐桓(はんかん)たり。貞に居るに利ろし。侯を建つるに利ろし。

象伝:磐桓たりと雖も、志正を行なうなり。貴を以て賤に下る、大いに民を得るなり。

この初爻は、陰爻(2爻・3爻)の下に置かれた陽爻であり、「磐桓(はんかん)」という言葉で、その状態が表されています。

「磐」は大きな岩、「桓」は堅固な柱。 すなわち、動けないほど重く、立ちすくむような状態を象徴しています。

物事を始めようとしても、周囲の状況は不安定で、自分だけが前に出るわけにはいかない。

そのような状況下で、軽挙妄動せず、「正しい場所に留まり、機を待つこと」が求められると説いています。

「侯を建つるに利ろし」とは、正しい君主(あるいは導き手)を立てるのに適した時であることを意味します。

これは、自らが前に出るよりも、正しき人を立て、民をまとめる役に回ることの重要性を示しています。

◆ 含まれる教え

人生の中で、何かを始めようとするけれど、思ったように進まず足止めを食う時期があります。

そのような時には、無理に進もうとせず、**「静かに状況を見極め、今なすべきことを守る」**という姿勢が大切です。

たとえ動けなくても、志を正しく保ち、人との信頼を築くことが、のちの成功の基盤となります。

◆ 仕事

新たな企画や部署の立ち上げ、転職直後など、不安定な状況にあるとき。

あえて動かず、しっかりと周囲の流れを観察し、「支えるべき人や立てるべきリーダー」を見極めて動くことが大切です。

この時期に正しい人を見出し、その下で力を尽くす姿勢が、後に大きな成果に繋がっていきます。

◆ 恋愛

関係が始まったばかりの頃、あるいは何か関係に変化が生まれようとする時期。

感情に任せて突き進むより、まずはしっかりと相手を理解し、信頼関係を築いていくことが大切です。

急がず、しっかりと“基盤”を整えること。それが将来の安定につながっていきます。

◆ 屯卦(初爻)が教えてくれる生き方

混沌としたはじまりの中に立たされたとき、最も大切なのは「焦らないこと」。

どれだけ状況が動かなくとも、正しい心で、正しい場所に身を置くことで、自然と道は開かれます。

屯の初爻は、「立ち止まり、しかし心を正すことで、やがて人望と機運が集まる」という静かな力を伝えてくれます。

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