10、坤為地(こんいち)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

10、坤為地(こんいち)4爻

◇ 坤とは何か?

「坤(こん)」は、大地のような包容と従順の徳を象徴する卦です。すべてを受け入れ、静かに支える姿勢を通じて、物事を調和へと導きます。自ら前に出ることよりも、相手に寄り添い、時に従いながら芯の強さを保つことの大切さを教えてくれます。

◆ 卦全体が教えてくれること

坤為地は、柔順さと受容の力によって道を全うすることの尊さを説きます。第四爻は、その中でもとりわけ「慎重さと沈黙の美徳」に焦点を当てた爻です。才を秘め、語らずに控えることで、過ちを避ける――目立たずとも、しっかりと徳を保つ姿勢が求められます。

◆ 四爻の爻辞と解釈

爻辞:嚢(のう)を括(くく)る。咎(とが)なく、誉(ほまれ)なし。

象伝:嚢を括る、咎なしとは、慎めば害あらざるなり。

「嚢を括る」とは、袋の口をきつく結んで中身を見せない、つまり才能や意見をあえて表に出さず控える様子を表しています。これは単なる消極さではなく、「無用な波風を立てず、過ちを避けるための慎み」を意味します。

この爻は、「慎重であることによって過ちを防ぐ」ことの大切さを説いています。ただし、その代償として「誉(ほまれ)なし」――つまり目立つ評価は得られないことも示されます。しかし、それで良いのです。大切なのは、安全にその場を治めることです。

◆ 含まれる教え

「語らない」「出しゃばらない」ことは、時に非常に賢明な選択となります。知恵や意見があっても、今それを述べるべきかどうか、しっかりと見極める必要があります。この爻は、沈黙の中にある深い配慮と、無事を貴ぶ姿勢を示しており、「慎みの美徳」がもたらす安定を表しています。

◆ 仕事

この時期は、積極的な発言や目立つ行動よりも、「守り」に徹するのが賢明です。たとえば会議で不用意に意見を述べれば、かえって誤解や衝突を招くおそれもあります。意図しないリスクを避け、場の流れを見守る姿勢が吉。評価は得にくいかもしれませんが、無事に進めることが最大の価値となります。

◆ 恋愛

恋愛では、あえて感情を抑え、静かに距離を取ることが必要な時期かもしれません。相手の気持ちに揺れがあるとき、自分の想いを強く押し出すよりも、そっと見守ることが信頼につながる場面もあります。「今は話さない」「動かない」ことが、のちの安定した関係に結びつくでしょう。

◆ 坤卦(四爻)が教えてくれる生き方

「慎みは、無事をもたらす力」であること。この爻は、言葉や行動を慎重に制御し、外に出さないことで害を防ぐという、非常に深い処世の知恵を教えてくれます。誉れを求めず、ただ静かに正しい姿勢を保つ。そのような姿が、最も堅実で強い在り方となるのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました