6、乾為天(けんいてん)上爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

6、乾為天(けんいてん)上爻

◇ 乾とは何か?

乾(けん)は、天の働きを象徴する卦であり、陽の気が極まる創造と前進の象徴。天・父・リーダーシップ・剛健・積極性を意味し、「自ら努めてやまず」という姿勢を貫くことが、天地の理(ことわり)にかなうとされます。

◆ 卦全体が教えてくれること

乾為天は、純陽の六爻からなる、きわめて強く前向きな卦です。物事の始まりから完成まで、すべて陽の気で貫かれており、エネルギーに満ちあふれています。しかしその純陽の道も、最後には「過ぎれば及ばざるがごとし」という理を教えてくれます。剛強も極まれば悔いを生む。それが上爻の示すところです。

◆ 上爻の意味とアドバイス(亢龍悔あり)

・亢龍(こうりゅう)悔あり。

・亢龍(こうりゅう)悔あるは、盈(みつ)ること久しかるべからざるなり。

上爻の「亢龍(こうりゅう)」とは、天に登りきった龍、つまりすでに頂点を極めた存在を指します。一見、最も理想的な状態のように思えますが、そこに「悔あり」とあります。なぜなら、極まったものはやがて衰えるからです。

ここは、陽の極みであるがゆえに、バランスを失いやすく、慢心や独善に陥る恐れがある位置です。「盈ること久しかるべからず(満ちたものは長く保てない)」という注解が示すように、どれだけの成功を得ても、それに溺れてはいけません。むしろ、引き際を見極める知恵こそが大切になります。

◆ 仕事

大きな成功を収め、周囲からの評価も非常に高まっている時期。しかしその分、責任やプレッシャーも増し、少しの油断が信頼を損なうことにも繋がります。例えば、権限の集中や過剰な自己判断が、組織のバランスを崩す要因になることも。今は、積極的に後進を育て、役割を譲る準備を進めるのが賢明です。

◆ 恋愛

恋愛でも、自分の魅力や立場が際立ち、相手から頼られることが多くなる時期です。ただし、相手の意見や気持ちを軽んじてしまうと、関係にすきま風が吹くおそれがあります。今は「引く美学」を学ぶとき。相手を立てたり、控えめな言動を心がけることで、より長く愛される関係へとつながります。

◆ 乾卦(上爻)が教えてくれる生き方

「引き際の美しさ」を知ること。それがこの爻の真意です。頂点に立った者が、その座にしがみつくとき、やがて転落は始まります。逆に、あえて身を引くことで、その威光は長く語り継がれるのです。ときに一歩退くことこそが、真の剛健であり、天地の道にかなう姿なのです。

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