2025年6月初旬に開催される伝統ある神社祭り3選

神社祭典暦

日本各地では初夏の訪れとともに、古くから伝わる神社の祭典が盛んに行われます。今年2025年も、6月2日から8日の間に由緒ある神社の祭りが各地で予定されています。その中から、東日本・中部・西日本の地域ごとに一つずつ、歴史や伝承に彩られた特色豊かな神社の祭典を3件ご紹介します。

1、山形県鶴岡市:椙尾神社「大山犬祭り」

祭典名: 大山犬祭り(おおやまいぬまつり)
祭典日: 毎年6月5日(2025年は6月5日〈木〉) 
御神徳: 商売繁盛・五穀豊穣など(事代主神ほかを祀る) 
所在地: 山形県鶴岡市大山(椙尾神社)

椙尾神社の大山犬祭りは約300年の歴史を持ち、その昔、神社裏山に棲んで人々を悩ませていた化け物ムジナを「メッケ犬」と呼ばれる犬が退治した伝承に基づく祭りです 。祭り当日は、退治された化け物に捧げたという仮女房人形を乗せた行列が古式ゆかしく練り歩き、メッケ犬にちなむ犬形の神輿も担がれます 。さらに色鮮やかなからくり人形付き山車(からぐり山車)も町内を巡行し、夕方には各地区の神輿が椙尾神社の石段を駆け上がる勇壮な「宮上がり神事」がクライマックスを飾ります 。ユニークな伝説と華やかな山車行事で知られ、毎年多くの見物客で賑わいます。

参考リンク: 大山犬祭り(大山観光協会公式サイト)

2、愛知県名古屋市:須佐之男神社「筒井町天王祭」

祭典名: 筒井町天王祭(つついちょうてんのうまつり)
祭典日: 毎年6月第1土・日曜(2025年は6月7日~8日) 
御神徳: 厄除け・無病息災・家内安全(牛頭天王=須佐之男命)  
所在地: 愛知県名古屋市東区筒井町(須佐之男神社周辺)

名古屋市東区の筒井町天王祭は、牛頭天王(ごずてんのう)を祀って疫病退散を祈る初夏の祭礼で、天保年間(1830年代)に疫病流行から免れたことを契機に始まったと伝えられます  。祭りでは精巧なからくり人形を載せた2基の山車(神皇車・湯取車)が町内を曳行し、神事の後に無病息災・家内安全を願って練り歩きます。昼間の豪華な山車巡行に加え、宵祭では提灯を灯した山車が暗闇に浮かび上がり、山車のすれ違いざまに人形からくりの競演が行われる幻想的な光景が楽しめます 。なお、筒井町天王祭の山車行事は愛知県の無形民俗文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとしても登録されています(2016年)。毎年、歴史ある夏祭りの幕開けを告げる行事として地域住民はもちろん多くの観光客で賑わいます。

参考リンク: 筒井町・出来町天王祭(名古屋市東区公式サイト)

3、広島県広島市:圓隆寺(稲荷大明神)「とうかさん大祭」

祭典名: とうかさん大祭(ゆかたの着始め祭り)
祭典日: 毎年6月第1金~日曜の3日間(2025年は6月6日~8日) 
御神徳: 商売繁盛・五穀豊穣・家内安全・金運向上(稲荷大明神)
所在地: 広島県広島市中区三川町(圓隆寺境内)

広島市中心部で行われるとうかさん大祭は、圓隆寺に鎮座する稲荷大明神(通称とうか大明神)の祭礼で、400年以上続く初夏の伝統行事です。大祭3日間のみ御神体を公開する特別な神事で、江戸時代から商売繁盛の神力を授かろうと多くの参拝者が訪れてきました。「ゆかたの着始め祭り」とも呼ばれ、祭り期間中は浴衣姿の人々で賑わい、会場の中央通り一帯には夜店がずらりと並びます。広島に夏の訪れを告げる風物詩として親しまれ、胡子神社の胡子大祭・住吉神社の夏祭と並ぶ広島三大祭りの一つに数えられます。毎年約40万人もの人出で終日活気にあふれる大イベントです。

参考リンク: とうかさん大祭(公式ホームページ)

おわりに

6月初旬、日本各地ではそれぞれの地域に根ざした伝統の神社祭典が彩り豊かに開催されます。今回ご紹介した「大山犬祭り」「筒井町天王祭」「とうかさん大祭」は、いずれもその土地の歴史や文化を色濃く反映し、地元の人々の信仰と誇りによって支えられてきた行事です。

祭りを訪れることで、単なる観光を超えた「文化との出会い」「祈りとのふれあい」が得られるはずです。季節の移り変わりを肌で感じながら、神社の静けさと祭りのにぎわいをぜひ体験してみてください。心に残る初夏の旅のひとときとなることでしょう。

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