2025年4月21日から4月27日にかけて、世界各地ではユニークで伝統的な祭典が開催されます。今回は、その中から宗教的・文化的背景を持つ3つの祭典をご紹介します。いずれもその土地ならではの特色があり、旅行者や文化好きの方には見逃せないイベントです。
サン・ジョルディの日(スペイン・カタルーニャ州バルセロナ) – 2025年4月23日
カタルーニャの守護聖人「聖ジョージ(カタルーニャ語でサン・ジョルディ)」の祝日。4月23日には、バルセロナをはじめカタルーニャ中の街角が赤いバラと本で埋め尽くされます。開催日: 毎年4月23日(2025年は4月23日)。開催地: スペイン・バルセロナ市(カタルーニャ州)および周辺各地。
歴史と特色: 中世の伝説によれば、聖ジョージがドラゴンを退治し姫を救った際、その血が地面に滴って美しいバラの茂みが生えたとされています 。この伝説にちなみ、18世紀以降カタルーニャでは4月23日を恋人たちの日として祝う習慣が定着しました 。男性は女性に赤いバラを、女性は男性に本を贈り合うのが伝統で、街には無数の本屋や花屋の屋台が立ち並びます 。この日はユネスコの世界本の日(国際本の日)とも重なり、文学と愛が融合したお祭りとして市民に愛されています。バルセロナのランブラス通りやカタルーニャ広場周辺では著名な作家のサイン会やコンサートも開かれ、街全体がお祭りムードに包まれます。晴れ渡る春空の下、人々は本とバラを手に笑顔で行き交い、その光景はまさに「本とバラの祭典」です  。観光客にとっても、カタルーニャ文化の誇りとロマンチックな雰囲気を肌で感じられる特別な一日となるでしょう。
参考サイト: バルセロナ市公式サン・ジョルディ特設ページ 
サンタバリ祭(マダガスカル) – 2025年4月下旬
開催日: 例年4月下旬から5月上旬頃(稲の初収穫時期に合わせて開催)。開催地: マダガスカル各地(特に東海岸地域)。
歴史と特色: サンタバリ(Santa-bary)祭は、マダガスカルに古くから伝わる収穫感謝祭です。米が主食であるマダガスカルでは、新米の収穫を神(ザナハリ=Zanahary)に感謝する重要な儀式として位置付けられています 。祭りの起源は古代の農耕文化に根ざしており、「サンタバリ」とは現地語で「米(サンタ)と神(バリ)」を意味します。稲作の収穫期が終わる4月末になると村々で祝宴が催され、人々は伝統衣装ランバをまとって集います。祭典はまず収穫への祈りと長老たちによる祝福から始まり、その後太鼓や伝統音楽に合わせた踊りが繰り広げられます 。各家庭では新米を使った料理(例えば野菜入りの炊き込みご飯「vary amin’anana」など)が用意され、コミュニティ全体で分かち合います 。初穂は先祖や年長者に捧げられ、世代間で伝統を受け継ぐ大切な機会ともなっています 。地域によって習俗は多少異なりますが、どの集落でも豊作への感謝と家族・地域の絆を祝う温かな雰囲気に包まれる祭典です 。観光客は招待が必要な場合もありますが、運よく参加できればマダガスカルの豊かな伝統文化と人々のホスピタリティを体験できるでしょう。
参考リンク: マダガスカルの祭り紹介(英語) 
クアシモド祭(チリ・サンティアゴ近郊) – 2025年4月27日
開催日: イースター(復活祭)直後の最初の日曜日(2025年は4月27日)。開催地: チリ・サンティアゴ首都圏の各自治体(レンカ、コリナ、タラガンテなど中部の農村地域)。
歴史と特色: クアシモド祭(Fiesta de Cuasimodo)は、チリ中部に約200年受け継がれるカトリックの伝統行事です。スペイン植民地時代に起源を持ち、復活祭に教会へ行けなかった病人や高齢者のもとへ聖体(聖餐)を届けるための巡回が発祥とされています 。名前の「クアシモド」は祭りの日の典礼で唱えられるラテン語句「Quasi modo geniti infantes(産まれたばかりの赤子のように)」に由来し、有名なノートルダムの鐘つき男とは無関係です 。祭り当日の朝、神父が馬や装飾された荷馬車に乗って聖体を携え出発し、白いスカーフと伝統衣装を身に着けた牛飼い(ウアソ)たちが騎馬隊を組んで随行します  。一行は村々を練り歩き、各家庭では即席の祭壇を準備して神父を迎え入れ、病床の人々が聖体拝領できるようにします 。道中、合図の鐘が鳴ると人々が集まり、神父とウアソ達には自家製のチチャ(とうもろこし酒)やワインでもてなす風習もあります 。正午頃に教会へ戻るまでが厳かな巡行ですが、その後は地域広場で音楽や踊り、郷土料理の屋台など賑やかな祝宴が始まります 。かつては野盗から神父を守るための騎馬護衛でしたが、現代では伝統を守る祭りとして位置付けられ、老若男女のボランティア「クアシモディスタ」が馬や自転車で参加します  。チリでも特にサンティアゴ近郊のレンカやペニャロレンなどで盛大に行われ、色鮮やかな行列は地元の無形文化遺産として誇りにされています。観光で訪れる方も、日曜の朝に郊外へ足を伸ばせばこの信仰と郷土愛に満ちた騎馬行列に出会えるでしょう  。
参考リンク: チリ文化遺産ポータル – クアシモド祭(スペイン語)  
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