383、火水未済(かすいびせい)5爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

383、火水未済(かすいびせい)5爻

◇ 火水未済とは何か?

火水未済(かすいびせい)は、上が火(離:り)/下が水(坎:かん)の卦です。

火は上へ、水は下へ――性質が噛み合いにくく、物事がまだ「まとまり切らない」段階を示します。けれど未済は、ただの不運ではありません。整っていないからこそ、手順を踏み、焦りを抑え、積み上げを続ければ、やがて既済(ととのう、なす、わたる)ところへ届く。

つまり未済は、急いで仕上げようとするほど崩れ、落ち着いて進むと最後には整う卦です。

◆ 卦全体が教えてくれること

未済が示すのは、「まだ渡り切っていない時の、軽はずみを戒めよ」という知恵です。

最初は難しく見えても、腰を据えて倦まずに進めば、後で整う道が開けます。ところが、入口の段階で見通しも固まらないうちに功を焦って踏み込み、途中で息切れして引き返すことになりやすい。

未済の運びは、勢いよりも、段取りと力の配分が決め手です。

◆ 五爻の爻辞と象伝

【爻辞(こうじ)】

「貞(てい)にして吉。悔(くい)なし。君子(くんし)の光(ひかり)、孚(まこと)あり吉(きち)。」

【象伝(しょうでん)】

「君子(くんし)の光(ひかり)は、それ暉(かがや)きて吉(きち)なり。」

● 解釈

この五爻は、未済の中でも“終わりへ向かう追い風”がはっきりしてくるところです。未済はまだ未完成ですが、ここまで来ると、もつれや不足が解消し始め、「正しく保てば、もう悔いを残しにくい」段階に入ります。それで爻辞は、まず「貞にして吉」と置き、続けて「悔なし」と言い切ります。つまり、勝ち急いで形を崩すのでなく、筋を守って進めば、後から悔やむような乱れを起こしにくい、という見立てです。

その中心にある言葉が「君子の光」です。ここでいう光は、派手な目立ち方ではありません。暗い所を暴く強い光でもなく、周りを焼く火でもない。物事の筋道を静かに照らして、皆が迷わず動けるようにする明晰さです。未済の終盤は、ひとりの力で押し切るより、関係者の心がそろったほうが早く整います。だから、君子は声高に引っ張るのではなく、判断を明らかにし、道理を示し、落ち着いた運びで全体をまとめていきます。象伝が「暉きて吉」と言うのは、その明るさが周囲に行き渡り、自然にまとまりが生まれるからです。

もう一つの鍵が「孚あり吉」です。孚(まこと)は、口先の誓いではなく、信じて任せ、任されても裏切らないという運び方そのものです。未済の仕上げは、あれこれ自分で抱え込むほど滞りやすい。ここではむしろ、身近な協力者の力を活かし、信頼して委ね、委ねたうえで筋を守る――そのやり方が吉を呼ぶ、という含みがあります。

ただ、良い流れが出るほど、勢いに乗って余計なことを足し、かえって仕上げを乱す危険もあります。だから「貞」が先にあるのです。明晰で整え、信でつなぎ、貞でぶれない。この三つがそろうと、未済は自然に“既済”へ向かいます。

◆ 含まれる教え

  • 仕上げの段階は、勢いよりも「いままで養ってきた正しい方針」を崩さないことが必要
  • 「悔なし」は、筋を守れば乱れを生じにくい局面に入ったしるし
  • 君子の光は、派手さではなく、道理を照らして迷いを減らす明晰さ
  • 孚(まこと)は、言葉より「任せ方・任され方」に表れる
  • 信をもって人を動かし、全体をまとめるほど、未済は既済へ近づく

◆ 仕事

仕事では、抱え込まず、信頼で動かし、明るい判断でまとめるほど結果が出ます。

  • 自分が前面に立って押すより、腹心・部下を活かして運ぶほうが整う
  • 統一運用の方法が上手くなるほど、停滞していた流れが加速する
  • 交渉は争って勝つより、筋を示して円満にまとめるほうが吉
  • 以前滞っていた案件も、条件がそろい、一気に進みやすい
  • 急進と傲慢を慎み、最後まで品よく運ぶことが肝要

◆ 恋愛

恋愛では、熱で押すより、誠と明るさで関係を整えるほど安定します。

  • 相手を動かそうとするより、信頼が積み上がる運びを優先すると良い
  • 近しい人の後押しや取り持ちが、良い方向に働きやすい
  • うまく進むほど油断が出るので、礼節と配慮で円満を守ること
  • 言葉で縛るより、約束の守り方・態度の一貫で「孚」を示すのが吉
  • 形を急いで決めるより、まずは円満なやり取りを重視した方が長続きしやすい

◆ 火水未済(五爻)が教えてくれる生き方

この爻が教えるのは、未済の困難が解ける時にあたり急進と傲慢をつつしみ円満さをもって「身近な人や部下、目下の人の協力を依頼して吉を得る」という生き方です。

未済の仕上げは、力づくではなく、明るい判断と信頼の運用で決まります。

君子の光が周りを照らし、孚が人を結び、貞がぶれを止める。そうして、未済は静かに、しかし確かに“既済”へ向かっていくのです。

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