381、火水未済(かすいびせい)3爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

381、火水未済(かすいびせい)3爻

◇ 火水未済とは何か?

火水未済(かすいびせい)は、上が火(離:り)/下が水(坎:かん)の卦です。

火は上へ、水は下へ――性質が噛み合いにくく、物事がまだ「まとまり切らない」段階を示します。けれど未済は、ただの不運ではありません。整っていないからこそ、手順を踏み、焦りを抑え、積み上げを続ければ、やがて既済(ととのう、なす、わたる)ところへ届く。

つまり未済は、急いで仕上げようとするほど崩れ、落ち着いて進むと最後には整う卦です。

◆ 卦全体が教えてくれること

未済が示すのは、「まだ渡り切っていない時の、軽はずみを戒めよ」という知恵です。

最初は難しく見えても、腰を据えて倦まずに進めば、後で整う道が開けます。ところが、入口の段階で見通しも固まらないうちに功を焦って踏み込み、途中で息切れして引き返すことになりやすい。

未済の運びは、勢いよりも、段取りと力の配分が決め手です。

◆ 三爻の爻辞と象伝

【爻辞(こうじ)】

「未済(びせい)征(ゆ)けば凶(きょう)。大川(たいせん)を渉(わた)るに利(よ)ろし。」

【象伝(しょうでん)】

「未済(びせい)征(ゆ)けば凶(きょう)は、位(くらい)当(あた)らざるなり。」

● 解釈

この三爻は、未済がまさに極まろうという極点に位置し、もう一歩で渡り口にかかるところです。だからこそ爻辞は、まず「未済」と言い切り、次に「征けば凶」と釘を刺します。ここで言う凶は、努力を否定する凶ではありません。まだ渡り方が整っていないのに、歩いて押し切ろうとする――その無理が凶を招く、という戒めです。焦りが出るほど冷静な判断が出来なくなり、段取りが飛び、危ういところへ自分から踏み込んでしまう。それが「征けば凶」の意味合いです。

けれど同じ一句に「大川を渉るに利し」と続くのは、三爻がただの足止めではないからです。未済のまま終わらせず、越えるべき時が近いことも同時に示します。ただし越え方は「征」ではなく「渉」です。無理に歩いて渡るのではなく、舟を浮かべるように――つまり、力任せではなく、手段・体制・仕組みを整えて渡る。危うい水に対して、最適な運用方法を選び、渡れる形に作り替える。その工夫があれば「利し」となるのです。

象伝が「位当たらざる」と言うのは、三爻がまだ安定した持ち場にないことを示しています。位置が安定しないうちは、前へ出て主導しようとするほど足元が揺れます。だから、勢いで先頭に立つより、まずはその場に留まって条件を揃えること。けれど、ただ慎重になるだけでは未済のままですから、渡るための準備を精密に進めることが肝要になります。

要するにこの爻は、「突っ込めば凶、必要な準備を整え、時を見極めて進めば利」という分かれ目を、はっきり示しているのです。

◆ 含まれる教え

  • 焦って踏み出すほど、未済の混線に絡まって凶になりやすい
  • 「渡るな」ではなく、「渡り方を誤るな」という戒め
  • 道具・仕組み・協力を整えるほど、難所でも渡り切れる
  • 良くも悪くも分かれ目に立つので、準備の精度が運命を分ける
  • 待つことは停止ではなく、最適な一手を行うための助走である

◆ 仕事

仕事では、「見切り発車」を避け、渡るための条件を揃えるほど結果が出ます。

  • 小手先の突進は凶。段取り・資源・協力の不足が一気に露呈する
  • しかし準備が整えば、大きな案件や転機を越える力になる
  • 勢いよりも、仕組み(手順・体制・機械力・資本力)に頼るほうが通る
  • 決断できずに機会を逃しやすいので、期限と判断基準を先に決めておく
  • “良くも悪くも早い”局面なので、精密な計画と点検が勝敗を分ける

◆ 恋愛

恋愛では、「勢いで押す」と崩れやすい一方、整え方次第で大きく進展します。

  • 気持ちだけで突っ込むと凶。関係が不安定なまま深めるほど混線しやすい
  • けれど“渡るべき時”でもあるので、条件が整えば一気に前へ進みやすい
  • 周囲の事情(距離・環境・立場)を無視せず、順序を踏むと安定する
  • 話し合いは急がず、しかし決めるポイント(約束・線引き)は曖昧にしない
  • 「迎える縁」に良さが出やすいので、追いかけるより、受け止める姿勢が吉

◆ 火水未済(三爻)が教えてくれる生き方

この爻が教えるのは、「焦って踏み込まない勇気」と「渡るために精密な準備を整える知恵」です。

歩いて突っ込めば凶になる水でも、舟を用意すれば渡ることができる。

未済の三爻は、止まれと言いません。しっかり準備し、渡るべき時を見極めて渡れと言います。

落ち着いて準備し、機が来たら一気に渡る――その静かな手際が、未済を既済へ変えていきます。

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