373、水火既済(すいかきせい)初爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

373、水火既済(すいかきせい)初爻

◇ 水火既済とは何か?

水火既済(すいかきせい)は、上が水(坎)/下が火(離)の卦です。

火は上へ、水は下へ向かう性質を持ちますが、この卦ではそれが噛み合って、いったん「事が成り、整った」状態を示します。

ただし既に整っているからこそ、ここから先は前へ押し出すより、止まって保つことが肝心になります。完成のあとの一手が、吉凶を分ける卦です。

◆ 卦全体が教えてくれること

既済が教える中心は、「成った後こそ、慎みを失うな」という一点です。

ここまで積み上げた成果は確かでも、安心した瞬間に気が緩み、余計な一歩で崩れやすい。

だからこの卦は、進んで増やすよりも、整った形を守り、内側を固めるほうが道にかなう――そういう現実的な知恵を示します。

◆ 初爻の爻辞と象伝

【爻辞(こうじ)】

「その輪を曳(ひ)く。その尾(お)を濡(うる)おす。咎(とが)なし。」

【象伝(しょうでん)】

「その輪を曳(ひ)くは、義(ぎ)咎(とが)なきなり。」

● 解釈

初爻が語っているのは、物事がまとまりかけたところで、あえて勢いを抑え、危うさの手前で踏みとどまる姿です。

「輪を曳く」は、進もうとする力を自分で制し、前へ出過ぎないようにすること。「尾を濡らす」は、渡り切ろうとして無理をすると、かえって失敗が目立つ――そんな“限界の兆し”を示します。どちらも「思うように進めない」形ですが、既済の時には、それがむしろ正しい判断になります。

既済は、整った状態にあるぶん、次の一手で乱れが生じやすい卦です。ここで気負って押して出れば、先の危険に気づかぬまま、進退の苦境へ入り込みやすい。だから初爻は、勝ちに乗って増やそうとするのではなく、いままで得た成果を守るために、いったん止まる道を取ります。

そして、その「止まり方」が、臆病でも怠けでもなく、道理にかなう慎みであるからこそ「咎なし」になる――これが象伝の「義咎なきなり」の含みです。

またこの爻は、ここまでの骨折りで心身が疲れている状況も映します。達成感のあとに気が緩み、無理を重ねて体調や段取りを崩すことが起きやすい時です。いまは新しい挑戦や拡張より、整備・点検・休息を選び、内側を固める。そうすることで、ひとたび成ったものを安全に保つ事ができる――初爻はその現実的な知恵を示しています。

◆ 含まれる教え

  • いまは「前進」より「現状を保つ」ことが道にかなう
  • 成果を得た直後ほど、油断や欲で崩れやすい
  • 危うさの兆しが見えたら、踏みとどまるほうが正しい
  • 止まることは退歩ではなく、次の安定の準備になる
  • 無理な拡張や改革より、内側を固めるのが吉

◆ 仕事

仕事では、ここまで作った流れを崩さない“守りの運用”が最優先になります。

  • 転業・改革・新規拡張は控え、いまの成果を守るほうがよい
  • 交渉は押し込むほど悪結果を招きやすく、いったん引くのが安全
  • 「もう一つ取れる」と欲を出すと、かえって躓きやすい
  • 過労で体を壊しやすいので、休息とペース配分を最重要にする
  • ここでは“整備・点検・仕組み固め”がいちばん成果につながる

◆ 恋愛

恋愛では、前に進めるほど良いとは限らず、留まって静かに整えるほうが安定しやすい時です。

  • 気持ちはあっても、押して進めるほどこじれやすいので慎重に
  • 周囲の介入や口出しで話が紛れやすく、結果が思い通りになりにくい
  • いまは「進める」より「誤解やすれ違いを増やさない」ほうが吉になりやすい
  • 急な決断より段取りと合意を丁寧に積むこと
  • 焦りや欲を抑え、静かに関係を保つほど、咎を避けやすい

◆ 水火既済(初爻)が教えてくれる生き方

この爻が教えるのは、「事が成った後の慎み」です。

勢いに乗って次へ行きたくなる時ほど、輪を曳いて止まる。危うさの兆しがあるなら、尾を濡らしてでも踏みとどまる。

それは弱さではなく、義として正しい選択――だから「咎なし」になる。

いまは守って成果を整理し、休んで足もとを固める。そこから先が、ほんとうの安定へつながります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました