372、雷山小過(らいざんしょうか)上爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

372、雷山小過(らいざんしょうか)上爻

◇ 雷山小過とは何か?

雷山小過(らいざんしょうか)は、「小さく過ぎる」――つまり、大きく打って出るより、控えめに、低く、手堅くを良しとする卦です。

鳥が高く飛びすぎて、宿るべきねぐらを得られない象や

四陰二陽の卦で陰が過ぎているところから中庸を得ることができず、妄進してわざわいにかかりやすいため、動こうとする衝動を抑え、慎みが必要です。

ゆえにこの卦は、上るよりも下り、目立つよりも身を慎む方向に道があります。

◆ 卦全体が教えてくれること

小過は「大事をなそう」としてみだりに進むと災害を招きやすく、小事を丁寧に整えるほど運が保たれます。

勢いで飛び立つより、足場を確かめて一歩ずつ。分を越えて背伸びすると、すぐに乱れに変わる――それが卦の根本の教えです。

◆ 上爻の爻辞と象伝

【爻辞(こうじ)】

「遇(あ)わずしてこれに過(す)ぐ。飛鳥(ひちょう)これに離(かか)る。凶(きょう)。これを災眚(さいせい)と謂(い)う。」

【象伝(しょうでん)】

「遇(あ)わずしてこれに過(す)ぐるは、已(はなは)だ亢(たかぶ)るなり。」

● 解釈

上爻は、小過という卦の“行き過ぎやすさ”が、いよいよ頂点に達した姿を描きます。小過は本来、少し控えて、少し引いて、身の丈に合わせて整えることで、物事を安全に運ぶ道を教える卦です。ところが上爻では、その道から外れ、「遇わずしてこれに過ぐ」――つまり、向き合うべきところに向き合わないまま、踏むべき段取りを飛ばし、越えてしまう流れが出ます。慎重さを欠いた“飛び越し”は、たとえ意気が高くても、結局は手応えのないまま不安定さだけを増やします。

そして、その不安定さの象が 「飛鳥これに離る」 です。飛ぶ鳥は自由で華やかに見えますが、この爻では、自由に見えた動きが、そのまま“絡め取られる”ほうへ転じます。勢いがつくほど、用心が薄くなり、周囲の思惑や罠に入り込みやすい。だから結果は 「凶」 と断じられ、さらに 「災眚」 と名づけられます。ここでいう災眚は、偶然の不運というより、高ぶりが呼び寄せた禍、あるいは 自分の越え方が生んだ傷に近いものです。

象伝が 「已だ亢るなり」 と言うのは、原因がはっきりしている、ということです。状況が悪いからではなく、相手が悪いからでもなく、自分の心が上がりすぎ、姿勢が高くなりすぎたために、出会うべき要点を外し、余計なところへ踏み込んでしまう。上爻が教えるのは、まさにここです。小過の極では、「前へ出るほど立派」「勢いがあるほど勝つ」という常識が、逆に働きます。勝ち筋に見えた道が急に罠へ変わり、気づいた時には身動きが取りにくい――そういう怖さを、短い爻辞が強く示しています。

だからこの爻の最も大切な心得は、派手に動くことではなく、「分に止まる」ことです。越えない、煽られない、調子に乗らない。いまは飛ぶよりも、低姿勢で、周囲をよく確かめて進む。そうしてはじめて、小過が本来持っている“安全に通す力”が戻ってきます。

◆ 含まれる教え

  • 小過の極では、勢いは“突破”ではなく“罠に飛び込む”ことになりやすい
  • 出会うべき人に出会わずに妄りに事をなすと、人間関係も判断も崩れる
  • 高ぶりは災いの入口で、自らに起因する傷を受けることになりやすい
  • 余計な手出し・余計な世話ほど、敵や策略を招きやすい
  • 「降りる」「控える」「分に止まる」が最大の守りになる

◆ 仕事

仕事においては、力量以上に踏み込んだり、先走って仕掛けたりすると、逆に捕まりやすい局面です。

  • 分外の計画を押し通そうとすると、計画倒れや信用失墜を招きやすい
  • 交渉は相手の作戦に乗せられやすく、進めば進むほど不利になりやすい
  • 自分に“先見の明がある”という過信が深みにはまり込む原因になり、取り返しがつかなくなることがある
  • 余計な口出しや世話焼きが反感を呼び、敵を作る危険がある
  • いまは攻めず、身の程を測って守りを固めるのが最善

◆ 恋愛

恋愛では、勢いで越えようとすると、相手の思惑や誘惑に絡め取られやすい時です。

  • 相手の本心を確かめずに進むと、後で網にかかったように身動きが取れなくなる
  • 気分の高まりのままに越えると、関係が一気に崩れやすい
  • 誘惑や口車に乗りやすく、結果として不利な立場に追い込まれやすい
  • 見栄や虚勢で強く出るほど、相手の反発や策略を招きやすい
  • いまは「進展」より「慎み」。距離と節度を守るほど凶を避けられる
  • 交際中でも、秘密や曖昧さを増やすほど災眚にかかりやすくなるので、筋を崩さないで守ることが大切

◆ 雷山小過(上爻)が教えてくれる生き方

この爻が教えるのは、「高ぶらないことが最大の安全」という一点です。

勢いに乗ると、飛べたように感じる。けれど小過の極では、その飛翔により網にかかり、身動きが取れなくなる。だからこそ、越えるべきでない線は越えない。分を守り、身を控え、足元を確かめる――その慎みが、災眚を遠ざけ、凶を避ける道になります。

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