周易64卦384爻占断
367、雷山小過(らいざんしょうか)初爻
◇ 雷山小過とは何か?
雷山小過(らいざんしょうか)は、「小さく過ぎる」――つまり、大きく打って出るより、控えめに、低く、手堅くを良しとする卦です。
鳥が高く飛びすぎて、宿るべきねぐらを得られない象や
四陰二陽の卦で陰が過ぎているところから中庸を得ることができず、妄進してわざわいにかかりやすいため、動こうとする衝動を抑え、慎みが必要です。
ゆえにこの卦は、上るよりも下り、目立つよりも身を慎む方向に道があります。
◆ 卦全体が教えてくれること
小過は「大事をなそう」としてみだりに進むと災害を招きやすく、小事を丁寧に整えるほど運が保たれます。
勢いで飛び立つより、足場を確かめて一歩ずつ。分を越えて背伸びすると、すぐに乱れに変わる――それが卦の根本の教えです。
◆ 初爻の爻辞と象伝
【爻辞(こうじ)】
「飛鳥(ひちょう)もって凶(きょう)。」
【象伝(しょうでん)】
「飛鳥(ひちょう)もって凶(きょう)は、如何(いかん)ともすべからざるなり。」
● 解釈
初爻は、卦のいちばん下にあって、まだ足場が固まりきらない位置です。小過の流れは、本来、上へ上へと大きく出るよりも、低く控えて整える方に道があります。
ところがこの初爻は、陽の位にいる陰爻で自分の今の実力を客観的に評価することができず、軽騒にして飛び立とうとして網にかかるような凶を招きがちです。
「飛鳥もって凶」とは、飛ぶ鳥そのものを責める言い方ではなく、飛ぶべきでない時に飛ぶ軽さを戒めています。
象伝が「如何ともすべからざる」と言い切るのは、偶然の不運ではなく、分を越えた動きが凶を呼び込むからです。止まるべき局面でみだりに進めば、周囲も自分も止めにくい形になりやすい――だから、最初の一歩がとても大事になります。
もしみだりに進めば単なる失敗で終わらず、傷を負う・罰に触れるような「強い不利益」に繋がる恐れもあるため、軽率さは厳に戒める必要があります。
◆ 含まれる教え
- 小過の時は「上昇志向」が最も危うい
- 軽い一歩が、取り返しにくい災いを呼ぶことがある
- 焦り・虚栄・一攫千金は凶を引き寄せる
- いま必要なのは飛ぶ力ではなく、踏みとどまる力
- 自重し、分を守るほど凶が遠ざかる
◆ 仕事
仕事では、背伸び・早合点・強引な打って出方が凶です。
- 実力や準備が追いつかないのに昇進や拡張を望むと破綻しやすい
- うまい話・甘い誘いに乗ると、責任だけ背負う形になりやすい
- 人を当てにして進めるほど失望が大きい
- いまは「守り」「精査」「裏取り」「損切り」が最優先
- 評価を上げるなら、目立つ成果より“ミスを減らす”ことが効く
◆ 恋愛
恋愛では、焦りと虚栄が罠になります。
- 早く形にしようとして無理をすると、かえって溝が深まる
- 周囲に見せるための恋、気持ちだけが盛り上がって進める恋は崩れやすい
- 縁がまだ熟していない時に押すと、不和になりやすい
- いまは「急がない」「慎重に見極める」「言葉より行い」を選ぶ
- 一緒になっても暗い気分が続く兆があるので、結論を急がない
◆ 雷山小過(初爻)が教えてくれる生き方
この爻は、陽位にある陰爻で実力がまだ備わっていないのですが、自分は飛べると判断しており、
「飛び立てる気がする時ほど危ない」という状況です。
小過の道は、上へ上へではなく、下へ、内へ、足元へ。
自分を誇る方向ではなく、分相応に甘んじ、焦りを戒め、静かに整えることに吉があります。
飛ぶ鳥の凶は、鳥が悪いのではなく、飛ぶべき時ではないのに飛ぼうとするから起こる。
いまは、飛ばずに守る。進まずに固める。
それが、この初爻が示す最も確かな処し方です。


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