周易64卦384爻占断
359、水沢節(すいたくせつ)5爻
◇ 水沢節とは何か?
水沢節(すいたくせつ)は、「ほどよい区切り」を立てて物事を通していく卦です。
出過ぎるなら抑え、控え過ぎるなら動かす――節は単なる我慢ではなく、進退の調律として働きます。区切りを定めることで道が乱れず、長く続く形が整っていきます。
◆ 卦全体が教えてくれること
節が教えるのは、勢い任せでも、萎縮でもありません。
守るべき枠を守りながら、心をしなやかに保つこと。節を「苦しい掟」にすると続きませんが、節を「自分を生かす作法」にすると、運も事も通りやすくなります。
節の上手さは、抑える強さだけでなく、楽しみながら守れる品格にあります。
◆ 5爻の爻辞と象伝
【爻辞】
「節(せつ)に甘(あま)んず。吉(きち)。往(ゆ)きて尚(たっと)ばるるあり。」
【象伝】
「節(せつ)に甘(あま)んずるの吉(きち)は、位(くらい)に居(お)りて中(ちゅう)なればなり。」
● 解釈
五爻は、この卦の中心にあたり、節をただ守るだけでなく、節そのものを心地よいものとして受け入れられる位置です。
四爻が「安んず」として、節を守り落ち着きを得る姿を示すのに対し、五爻はさらに一歩進んで、節を「つらい制限」ではなく「納得できる規律」として扱えるため、内側から整っていきます。
象伝の「位に居りて中なればなり」は、節を司るにふさわしい立場にいて、偏らず要を外さないことを言っています。
だから、節が押し付けになりにくく、周囲も自然に従いやすい。こうして「往きて尚ばるるあり」――節を保ったまま進めば、評価や信任が集まり、尊重される流れが生まれます。
ただし、節がうまく機能し始める時ほど、勢いがつきやすい面があります。順調さのまま踏み込みを増やすと、節の骨格が崩れ、安泰が揺らぐ。
この爻の吉は、前進そのものではなく、前進しても節を離れないところにあります。
◆ 含まれる教え
- 節は“苦しい制限”ではなく、“長く続くための作法”である
- 中を得ている節は、押し付けにならず、人が自然に従う
- 節を喜んで行うと、信任・評価・敬意が集まりやすい
- 順調な時ほど、勢い任せの急進を戒め、節を保つべきである
◆ 仕事
仕事では、自分の役割・手順・規律を気持ちよく守れる時で、成果が出やすいでしょう。
- ルールや枠を「面倒」とせず、むしろ武器にできる
- 自分だけでなく周囲も良くなる進め方ができ、信頼が厚くなる
- 交渉や調整が通りやすく、反対や異議が出にくい
- ただし、トントン拍子の時ほど、拡張や強引な前進に注意
節を保ったまま進めば、自然と「任せたい人」になりやすい爻です。
◆ 恋愛
恋愛では、無理のない距離感や約束事を、窮屈と思わずに守れる時で、関係が安定します。
- 相手への配慮や礼を、努力でなく“自然体”で続けられる
- 互いに心地よいペースが作れ、安心感が育つ
- 周囲の評価や後押しも得やすい
- ただし、良い流れに浮かれて踏み込み過ぎると、節を失う
「うまくいっているからこそ、丁寧に」――これが吉を長持ちさせます。
◆ 水沢節(五爻)が教えてくれる生き方
節を守るのは、心を削るためではありません。
節に“甘んずる”とは、道理ある枠を喜んで引き受けて総ての事にあたり、そこに品よく生きることです。
そうして進めば、人はあなたを信じ、尊び、自然に力を貸してくれる。
順調さに酔わず、節を手放さぬこと――その落ち着いた強さが、吉を確かなものにしていきます。

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