周易64卦384爻占断
352、風水渙(ふうすいかん)4爻
◇ 風水渙とは何か?
風水渙(ふうすいかん)は、「渙=散らす」卦です。
ただ散って無くなってしまうのではなく、閉塞して通らなくなったものを散らし、滞った流れを通すところに眼目があります。
心のこわばり、誤解、隔たり、行き詰まり――そうした“固着した障害”がゆるみ、動き出す入口を示します。
◆ 卦全体が教えてくれること
渙の時は、これまで艱難があった人は、辛苦から解放され、これまで順調だった人は、渙散の危険に晒されます。
停滞を吹き散らすには、独りで抱え込むより、信頼できる助力者・仲介者・仕組みを借りて、まず流れを生む。
散らすべきもの(疑い・こだわり・混線)を散らし、守るべき核心(誠・筋道)は残す――この仕分けが、渙の吉凶を分けます。
◆ 4爻の爻辞と象伝
【爻辞】
「その群(ぐん)を渙(ち)らす。元(おお)いに吉。渙(ち)らして丘(あつま)るあり。夷(つね)の思(おも)うところにあらず。」
【象伝】
「その群(ぐん)を渙(ち)らして元(おお)いに吉は、光大(こうだい)なればなり。」
● 解釈
四爻は、渙の働きが実際の成果として現れやすい位置にあります。ここで言う「群」とは、単なる人数の多さというより、身内の理屈・小さな結託・私的なまとまりのように、内側の都合で固まって動きを鈍らせるものを指します。
この爻の肝は、まずその固まりを散らすことが「元いに吉」へつながる点です。
ただし、ほどいて終わりではありません。続いて「丘(あつま)る」と述べることで、散ったものがより高い方針・より公の中心・より筋の通る場所へ寄っていく姿を描いています。つまり、
- 旧いまとまりを解く
- その後、より良い中心へ配置し直す
この二段がそろって、渙の功が立ちます。
さらに「夷の思うところにあらず」は、平常の見立てでは出にくい転換を含みます。
これまでの延長の「調整」や「折衷」ではなく、枠そのものを組み替えるほうが通りが良い――そういう局面を示します。
一方で、群を散らせば反発も出やすい。象伝が「光大」と言うのは、勝ち負けの押しつけではなく、視野を広げ、筋道を明確に示し、事を収拾する力があるからこそ大いに吉になる、という含みです。
◆ 含まれる教え
- 身内のまとまりや馴れ合いを、思い切ってほどく
- 散らしたままにせず、公の中心へ集め直す
- いつもの延長ではなく、枠組みごと組み替える発想が要る
- 反発が出ても、狭い対立に終わらせない配慮と器量が要る
◆ 仕事
仕事では、小さな単位の利害や派閥、慣習的な結びつきが障害になる局面を示します。
- 部署・チーム・取引先などの「内輪の論理」を一度ほどいて、目的優先で再編する
- 企業合同・組織再編・役割再定義など、「集め直し」が成果を生みやすい
- 私利に寄った企画は通りにくく、公益・全体最適の筋に乗せるほど伸びる
- 反発を買いやすいので、切るだけでなく“引き上げる配慮”を添えると安定する
◆ 恋愛
恋愛では、狭い人間関係・しがらみ・候補が多すぎてまとまらない状態を整理する象意が出ます。
- いままでの縁の並立や迷いを散らして、一本に絞る方向が出やすい
- 周囲の干渉や旧交の影響を断ち切って、新しい相手・新しい関係に移ることもある
- まとまりは得やすいが、散らし方に配慮がないと後に火種が残るので、丁寧な清算が要る
◆ 風水渙・4爻が教えてくれる生き方
渙の四爻は、従来の私の群れをほどき、より高い公の中心へ集め直すことで道が開けると教えます。
いつもの仲間内の発想や、慣れた結びつきに留まっていては通りにくい。だからこそ、古いまとまりを解いて、新しい秩序を立てる。
その際、散らす勇気と、集め直す器量の両方が要必要です。そこまで届くなら、光大――明るく大きい徳となり、結果として大きな吉に至る、というのがこの爻の骨子です。

コメント