周易64卦384爻占断
351、風水渙(ふうすいかん)3爻
◇ 風水渙とは何か?
風水渙(ふうすいかん)は、「渙=散らす」卦です。
ただ散って無くなってしまうのではなく、閉塞して通らなくなったものを散らし、滞った流れを通すところに眼目があります。
心のこわばり、誤解、隔たり、行き詰まり――そうした“固着した障害”がゆるみ、動き出す入口を示します。
◆ 卦全体が教えてくれること
渙の時は、これまで艱難があった人は、辛苦から解放され、これまで順調だった人は、渙散の危険に晒されます。
停滞を吹き散らすには、独りで抱え込むより、信頼できる助力者・仲介者・仕組みを借りて、まず流れを生む。
散らすべきもの(疑い・こだわり・混線)を散らし、守るべき核心(誠・筋道)は残す――この仕分けが、渙の吉凶を分けます。
◆ 3爻の爻辞と象伝
【爻辞】
「その躬(み)を渙(ち)らす。悔(くい)なし。」
【象伝】
「その躬(み)を渙(ち)らすは、志(こころざし)外(そと)に在(あ)るなり。」
● 解釈
この爻が言う「渙」は、悩みを散らすとか、群れを散らすという話ではなく、“自分の身に向けて”語られています。
「躬を渙らす」とは、身を壊すことではありません。ここで指しているのは、自分の構えや執着を捨てて、身動きが取れる状態にすることです。
渙の三爻は、立場としては強くなく、放っておけば不安や後悔が出やすいところです。そこで、守りに入って自分の中で抱えるより、身軽になって外へ動いて窮状を脱するべく救援を求める。この動きが、結果として「悔いなし」につながります。
象伝が「志は外に在り」と言うのは、心が内側に閉じるのではなく、外に活路を求める必要を示しています。
つまり、今は「自分ひとりで整える」よりも、頼れる相手・助けになる場所に当たって局面を開く段階です。
体裁を守って動けなくなるより、必要なら自分の都合をいったん脇に置き、急所へ向かう――そうした姿勢が、渙の三爻が取るべき正しい行動です。
また、この爻は「自分を主にして押し出す」事が吉ではありません。むしろ、自分を立てるほど行き詰まり、自我を捨てるほど外部の助力を受ける事ができます。
それゆえ、強い自己主張や大げさな振る舞いは不向きで、状況を打開するためになりふりを構わないことが、最も効果を生みます。
◆ 含まれる教え
- “自分の囲い”に閉じこもらず、なりふり構わず有力者の救援を要請する
- 内に抱えず、外へ赴いて流れを通す
- 自分を押し立てるより、救援の要請が通る形を優先する
- 窮状を脱した後は、放漫にならず安定させる
◆ 仕事
仕事では、自力で抱え込むほど行き詰まりやすい局面を示します。
- まず独力で完結させようとせず、上位判断・協力者・外部の力を借りて道を開く
- 新規に大きく打ち上げるより、従来の停滞の原因を解決するための整理・合流・立て直しが合う
- 交渉は、自説を押し切るより、相手の立場を立てて筋を通し、窮状を脱するのが得策
◆ 恋愛
恋愛では、意地や構えが固まっていると滞りやすい時に、自分のプライドを捨てることで関係が通ることを示します。
- 体裁を守って強がるより、歩み寄れる部分を作って流れを通す
- 周囲事情が絡む場合は、相談・移動・合流など「外へ動いて協力を要請する」ことで局面が変わりやすい
- まとまる可能性はあるが、強引さよりも柔らかい処し方が要る
◆ 風水渙・3爻が教えてくれる生き方
渙の三爻は、状況の閉塞を前にして、自分の体裁に構わず、外へ当たって助力を請い道を通せと教えます。
抱え込んで守ろうとするほど身動きが取れなくなりやすい一方、身を擲って頼るべきところに当たれば、滞りがほどけて後悔が残りにくい。
「悔いなし」は、うまく飾り立てることではなく、流れを通すために身心を忘れて救援を求めつつことに当たるところから生まれる――それがこの爻の骨子です。

コメント