周易64卦384爻占断
349、風水渙(ふうすいかん)初爻
◇ 風水渙とは何か?
風水渙(ふうすいかん)は、「渙=散らす」卦です。
ただ散って無くなってしまうのではなく、閉塞して通らなくなったものを散らし、滞った流れを通すところに眼目があります。
心のこわばり、誤解、隔たり、行き詰まり――そうした“固着した障害”がゆるみ、動き出す入口を示します。
◆ 卦全体が教えてくれること
渙の時は、これまで艱難があった人は、辛苦から解放され、これまで順調だった人は、渙散の危険に晒されます。
停滞を吹き散らすには、独りで抱え込むより、信頼できる助力者・仲介者・仕組みを借りて、まず流れを生む。
散らすべきもの(疑い・こだわり・混線)を散らし、守るべき核心(誠・筋道)は残す――この仕分けが、渙の吉凶を分けます。
◆ 初爻の爻辞と象伝
【爻辞】
「もって拯(すく)う。馬(うま)壮(さかん)なり。吉。」
【象伝】
「初六(しょりく)の吉(きち)は順(じゅん)なればなり。」
● 解釈
この初爻は、渙の始まりにあって、まだ自分だけで大きく状況を打開するには力が足りません。
そこで爻辞は、渙の字を掲げて「散らせ」と言う前に、まず「拯う」――引き上げ、救い、手を差し伸べることを示します。
ここで言う「拯う」は、自己完結の救済ではありません。
身近にある力を頼み、助けを得て、道をふさいで前進を阻んでいる大きな石を動かすという意味合いが中心です。
その助けの象が「馬壮なり」です。馬の壮健さは、止まっていたものを前へ運ぶ推進力の譬えで、
“動かす力がこちらに集まる”というより、頼るべき推力が隣にあると読むのが自然です。
象伝の「順なればなり」は、吉が技巧や我の強さから生まれるのではなく、
従うべき筋に従い、助力の力を素直に受け取ることで成り立つ、ということです。
疑って手を出さない、面子で拒む、意地で単独突破を図る――こうした姿勢があると、
せっかくの助力者である“馬の勢い”が働かず、解けるはずの困難が残ります。
また、この爻の「拯う」は、渙散を食い止めるというより、むしろ
欝して動かないものを散らして解決する側に重心があると見ます。
凍っていたものが溶け始める“兆し”が出る。けれど、まだ自力一つで解決できる段階ではない。
だからこそ、助けを借り、ためらわずに動いて流れを通す――それがこの初爻の「吉」です。
◆ 含まれる教え
- 手詰まりを解決する第一手は、独りで背負うことではなく、助力を得ること。
- 助けを受けるには、疑心を持たないで順う姿勢が必要。
- 助力を受けるべきか迷い続けると機を逃しやすい。今は巧緻よりも、拙速を重視する。
- 自力での打開にこだわると、渙は働きにくい。身近な有力者の助力に依頼して、道が開ける。
◆ 仕事
仕事では、行き詰まりや混乱が“解け始める入口”です。
この爻を得たなら、単独で突破しようとするより、次の方針を取ると吉です。
- 上司・先輩・経験者の助言を正面から求め、方針を早く固める
- 資力や実務力のある協力者(共同者・外注・提携)を得て、停滞を抜け出す
- 交渉は、仲介や第三者の後押しを入れて、こじれを解消する
- 迷い続けて機を逸しないよう、手順を簡素にしてスピードを優先する
「馬壮なり」は、停滞を打開してくれる力が外からやって来る暗示でもあります。うまく借りれば、行き詰まりが一気に解決に向かいます。
◆ 恋愛
恋愛では、気持ちの停滞や誤解、距離感と言った悩みか“渙散する兆し”が出ます。
ただし初爻は、自力で解決しようとするより、周囲の助け・自然な流れ・段取りを用いるほうがよい段階です。
- 共通の信頼できる身近な人の一言、場の設定、タイミングの工夫が効く
- 無理に盛り上げようとせず、素直に気持ちを通わせる方向へ
- こじれの原因があるなら、まず誤解を解く(解ければ進みやすい)
◆ 風水渙・初爻が教えてくれる生き方
凍っていたものが、ようやくゆるみ始める時です。
この段階で問われるのは、強引さよりも、頼るべき力を見極めて順う賢さ。
身近な有力者の助けを得られそうであれば躊躇なく依頼して好機を逃さないなようにしなければなりません。
そうすれば渙は、散乱ではなく、停滞をほどいて前進する“吉の散開”になります。


コメント