周易古占例 39

周易古占例

「平沢随貞、高島嘉右衛門の占」(周易古占例 39)・(15)前夜街上事あり。何事にやと問う。(16)某鉱山の採掘事業を占う 

本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。

今回は平沢随貞、高島嘉右衛門の占例です。 


 (15)前夜街上事あり。何事にやと問う。   
    【得卦  坤四爻変】
          【平沢随貞の占】
 
 前夜街上事あり。何事にやと問う。

 いわく、坤は夜分一陽入り来りて人、これを悦ぶ。これ闇夜灯のごとし。

 重卦争いあり。されば相争いて地上に踊る。

 これ二人相撃つなり。灯の縁あらんというに、

 果たして年少二人、互いに相闘撃して提灯を打ち破りたるなりと云いき。

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(16)某鉱山の採掘事業を占う   
    【得卦  坤初爻】
          【高島嘉右衛門の占】

 明治二十一年冬、東京幸橋(さいわいばし)内に居住せる男爵某氏、来たり告げていわく、余、このごろ採鉱の事業に与(くみ)せんと欲す。

 その鉱山は鉱学士某の保証して有益となす所なり。しかりといえども子幸にその得失を占えと。

 すなわち筮して、坤の初爻を得たり。
 
 爻辞に曰く、霜を履みて堅氷至る。
 
 断に曰く、坤(こん)の卦たる、純陰にして一の陽爻なし。

 これ事業を統御する者なく、衆人互いに私利を図るの時なり。

 しかして初爻は陰の始めて凝る時にして、小人貪欲に急なる、その厭(あ)くことを知らざるの象とす、かつ乾を金となす、

 今この卦に一の陽爻なきは、これ金を獲ざる象なり、

 故に鉱学士の保証する所といえども、いまだにわかに信ずべからず、

 かつこの爻は小人、利にはしり、君父(くんぷ)をも顧(かえり)みざる意あり、いわんや朋友をや。

 よろしく今に及びてその関係を断つべしと、

 某氏ついに止む。

 後聞くところによれば、鉱学士某外国人と謀り、収利(しゅうり)の必し難き鉱山をもって、夥多(かた)の利益を得べしと保証し、衆人を欺き、多分の金(きん)を得、大いに我国人(わがこくじん)に損失を与えたり、

 けだしその損失は已むことをえずといえども、これがために世人(せじん)の起業心(きぎょうしん)を阻遏(そあつ)し、大(おおい)に進取の勇気を失わしめたり。

 その害まことに鮮(すくな)からず、小人の悪(にく)むべきことおおむね此(かく)のごとし。
 

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※文章は読みやすくするため、適宜加削変更しています。


【執筆者】

天元春日(あまもとはるひ)

Twitter @Usu9Er    「天元春日」

【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。

【著書】

『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle

《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。

  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


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  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。

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大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。

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収録書籍

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2 『易学千里眼』
3 『真易中州の易学』
4 『五段論式必中占法』
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