316、風山漸(ふうざんぜん)4爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

316、風山漸(ふうざんぜん)4爻

◇ 漸とは何か?

風山漸(ふうざんぜん)は、物事が「少しずつ」「段階を踏んで」進む時を表す卦です。山は動かず、形を保ちます。風は目に見えませんが、絶えず巡り、じわじわと状況を動かします。漸の教えは、勢いで飛び越えるのではなく、順序を守り、無理のない進み方を選ぶところにあります。早さよりも、積み重ねの確かさが問われます。

◆ 卦全体が教えてくれること

漸の卦は「進むな」と言うのではなく、「進み方を誤るな」と教えます。力が十分でないうちに大きく動けば、足元が乱れます。しかし、順を踏み、身の丈に合う形で進めば、時間はかかっても崩れにくい。信用・約束・立場など、後から取り返しがつきにくい事ほど、漸の順序が大切になります。小さな整えを軽んじないことが、最後の安定につながります。

◆ 四爻の爻辞と象伝

【爻辞】

「鴻(かり)・木(き)に漸(すす)む。あるいはその桷(かく)を得(う)。咎(とが)なし。」

【象伝】

「あるいはその桷(かく)を得(う)とるは、順(つつし)みてもって巽(したが)うなり。」

● 解釈

四爻は、鴻(かり)が「木に漸む」と言います。鴻は水鳥ですから、本来は水辺が落ち着く場所で、木の上は安んじにくいところです。つまりここは、「新しい場所に移ったが、まだ完全には馴染めず、落ち着きにくい段階」を表しています。

けれども爻辞は続けて、「あるいはその桷を得」と言います。桷(かく)とは、枝の中でも比較的平らで、足がかりになりやすい部分です。木は止まりにくいのに、その中で“たまたま”でも「ここなら落ちずに済む」という場所を見つけた、という姿です。大きな安住ではありませんが、危うい中でも支えになるものが得られる。だから「咎なし」と結びます。

ただし、この「咎なし」は、何もかも順調で明るい吉というより、「大きな失敗や過ちを招かずに済む」という意味合いが強いものです。木が水鳥にとって本来の居場所ではない以上、心許なさは残ります。そこで大事になるのが象伝の言葉で、「順みてもって巽う」とあります。これは、押し通す強さで切り開くというより、慎みを保ち、場の流れや筋道に逆らわず、従うべきところは従って身を保つ、ということです。

四爻は、いま得ている足がかり(桷)を土台として、まず落ちないことを第一にします。ここで利を強く求めたり、無理に思い通りに押し進めたりすると、せっかくの足場を踏み外しやすい。だから、いったんの収まりを得たなら「一応ここで止める」「現状を守る」という判断が安全になります。漸の時は、前へ出るにしても段階を外さず、成果の獲得を急がないことが必要になります。

また、四爻は立場としても、落ち着きにくい危うさを含みます。うまく運びそうな気配があっても、詰めを誤ると、急に大きな支障が出ることがある。ゆえに、話をまとめるときほど慎重にし、深追いを避け、順序を守り、確認を重ねていくことが必要です。

◆ 含まれる教え

  • 本来落ち着きにくい場所でも、足がかりを得て身を保つことができる
  • 勢いで押すより、慎みを保って順序に従うこと
  • 得た成果を深追いすると、足場を失いやすい
  • まずは「落ちない用心」が先決です
  • 成果が見えても、獲得を無理押しせず、慎重な確認が必要

◆ 仕事

仕事では、「役割が増える」「環境が変わる」「立場が一段上がる」など、前へ進んだ形になりながら、心はまだ安んじにくい、という局面を表しやすい爻です。新しい仕事や責任に移ると、最初は勝手が違い、手応えが揺れます。ここが「鴻が木に止まる」姿です。

そこで大切なのは、成果を急いで取りにいくより、落ちない足場を先に作ることです。具体的には、手順を整える、確認の回数を増やす、関係者と合意を取り直す、記録を残す、期限や範囲を曖昧にしない――こうした「順序立った運び」が桷になります。やり方を丁寧に整えれば、落ち着きにくい状況でも、少なくとも大きな失敗を避けやすくなります。

一方、調子が出たと感じた瞬間に、利を強く求めて押し進めると危いところがあります。条件を詰めすぎる、相手の都合を踏み越える、準備不足のまま拡げる、といった無理が出やすいからです。この爻は「一応の成功に止める」ほうが安全で、まず現状維持を中心に、次の段階へ備えるのがよいと見ます。

◆ 恋愛

恋愛においては、関係が一歩進んだように見えながら、まだ完全には落ち着いていない段階を示します。距離が縮まった、立場が変わった、周囲に知られるようになった――そうした変化はあるものの、心の底では不安や手探りの感覚が残りやすい時です。

この爻が教えるのは、関係を急いで固めようとしないことです。相手の気持ちや状況を確かめながら、無理に結論を出さず、自然な流れを尊重することが「桷」を得る態度になります。押しすぎれば相手の負担となり、引きすぎれば関係が不安定になるため、慎みと配慮を保ちながら現状を維持するのが無難です。

大きな進展を求めるよりも、信頼を損なわないこと、安心できるやり取りを積み重ねることが、この時期の最善策といえるでしょう。

◆ 風山漸・四爻が教える生き方

風山漸の四爻は、完全に安住できない場所にあっても、慎みを失わず、順序を守って身を処するなら、大きな過ちを避けられると教えます。得た足がかりを頼みにして、深追いはせず、まず落ちないことを第一にする。段階を踏み、慎重に現状を維持するように心がけると次第に安定へ近づきます。それがこの爻の示す道です。

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