302、震為雷(しんいらい)2爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

302、震為雷(しんいらい)2爻

◇ 震とは何か?

震為雷(しんいらい)は、雷が鳴り響くように、予期しない出来事が突然起こり、人の心や暮らしを揺さぶる時を表す卦です。震は「驚き」を示しますが、それは人をただ怖がらせるためではありません。驚いたからこそ身が引き締まり、軽率な動きを止め、危険を避けることができます。恐れをきっかけに慎みが生まれ、そこから災いを小さくし、やがて平常へ戻していく――震は、その道筋を教えています。

◆ 卦全体が教えてくれること

震の卦が伝える要点は、衝撃の場面では「押し切る」より「身を守る」ことが先だということです。動揺した時にこそ、勢いに巻き込まれず、足元を確かめ、危うい場所から離れる必要があります。危険を察して退くのは臆病ではなく、恐れを正しく用いて福を呼び込む態度です。震は、騒ぎの中でこそ秩序を失わないこと、そして落ち着きを取り戻すまで耐えることを大切にします。

◆ 二爻の爻辞と象伝

【爻辞】

「震(しん)来(きた)るに厲(あやう)し。憶(おお)いに貝(ばい)を喪(うしな)う。九陵(きゅうりょう)に躋(のぼ)る。逐(お)ふこと勿(なか)れ。七日(なのか)にして得。」

【象伝】

「震(しん)来(きた)るに厲(あやう)きは、剛(ごう)に乗(の)るなり。」

● 解釈

この二爻は、下で激しく震える初爻の「雷の勢い」の上に乗っています。自分が不注意だから危ないのではなく、足元そのものが強く揺れているために危ういのです。象伝の「剛に乗るなり」は、まさにその点を言っています。勢いの強いものの上に乗ってしまっているので、安定が難しく、危険が起こりやすいということです。

その危険のあらわれとして「憶いに貝を喪う」と言います。「貝」は昔の財貨で、大切なものを象徴します。「憶いに」とあるのは、少しの損ではなく、心にこたえるほどの損失になりやすい、という含みです。地震のような災厄に限らず、思いがけない出来事で出費が増えたり、手元のものが失われたりすることも含めて見ます。

しかし、ここで最も大事なのは次の指示です。「九陵に躋る」とは、危険な場所から離れて、高い丘の連なりのような“安全な方”へ退くことです。つまり、失ったものを取り返す前に、まず身を守れ、ということです。怖さを感じたら、その場で踏ん張らず、危うい所から退くのが正しい判断になります。

さらに「逐ふこと勿れ」と続きます。失った財や、こじれた事柄を追いかけて取り戻そうとすると、危険が長引き、傷が深くなります。今は追わないことが肝要です。そして「七日にして得」は、追わずに身を守り、時が一巡して落ち着けば、取り戻せる機会が巡ってきやすい、という見立てです。すぐに戻るとは限りませんが、焦って追うより、退いて待つ方が結果が整いやすい、という教えです。

この爻は、損失そのものを強く言うというよりも、危うい時に「追わない」「退く」「待つ」という態度を守れるかどうかを問うています。危険に巻き込まれた時ほど、執着を捨てて身を保つことが第一になります。

◆ 含まれる教え

  • 大きな損失が出ても、取り返そうと追うほど危険が増しやすい
  • まずは安全な場所へ退き、身を守ることが先決
  • 焦らず待てば、時が巡って回復の機会が戻ってきやすい
  • 退くことは逃げではなく、災いを小さくするための慎みですある

◆ 仕事

仕事では、環境の変化や周囲のトラブルなど、下から突き上げる勢いに振り回されやすい時です。ここで成果を求めて押し切ろうとすると、損や信用の傷が大きくなりやすいので、まず守りを固めることが大切です。外へ攻めるより、内部の混乱を抑え、危うい要因から距離を取る――その判断が「九陵に躋る」に当たります。落ち着いた後に立て直せば十分間に合います。

◆ 恋愛

恋愛では、相手や状況の揺れに巻き込まれやすく、追いかけるほどこじれやすい時です。関係を取り戻そうとして無理をすると、かえって心の傷が深くなりやすいので、今は距離を取って静める方がよいでしょう。「逐ふこと勿れ」は、しつこく追わないこと、相手の反応を無理に引き出さないことを教えています。時間が経って落ち着けば、話が戻る道も見えます。

◆ 震為雷・二爻が教える生き方

揺れが激しい時には、取り返す力より、まず身を守る判断が人を救います。失ったものに心が引かれても、追って危険を増やさず、退いて安全を確保することが大切です。そして時が巡り、落ち着きを取り戻したところで、回復の道が開けます。震為雷の二爻は、危うい時ほど「追わず、退き、待つ」ことで、結果を整える生き方を教えています。

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