周易64卦384爻占断
287、水風井(すいふうせい)5爻
◇ 井とは何か?
水風井(すいふうせい)は、「井戸」の象によって、人や世を潤す力(徳・才能・資源)は、汲み上げられてはじめて生きることを示す卦です。
同時に、井は掘るだけでは足りず、濁りを遠ざけ、整え、保ち続けることで、長く人を利する――そういう“持続の力”も語っています。
五爻は、井の中心に当たり、ここを井水として見れば、底の泥から遠く、四爻の「井を整える働き」も施され、清く、冷たく、尽きない水が得られる位置です。
◆ 卦全体が教えてくれること
井の卦が教えるのは、中身が整い、正しく使われるときに、自然と人が集まり、広く潤うという道です。
五爻はまさに主役で、井水が「欠けるところのない状態」に近づきます。だからこそ、ここでは、
- 私利よりも、公の益を優先する
- きれいなものを、きれいなまま差し出す
- 一時の勢いではなく、着実に積み上げていく
こうした姿勢が、最も力を持ちます。
◆ 五爻の爻辞と解釈
【爻辞(読み)】
井(せい)洌(いさぎよ)し。寒泉(かんせん)にして食(くら)わる。
【象伝(読み)】
寒泉(かんせん)の食(くら)わるは、中正(ちゅうせい)なればなり。
● 解釈
五爻は、井の水として見れば、底の濁りからは遠く、すでに井戸の側も整えられたところです。そこに剛健で中心を得た性質が重なり、井水として最も望ましい状態が現れます。
「洌(いさぎよ)し」は、ただ澄んでいるというだけでなく、濁りが混じらず、使うほどに価値が分かる清さを表します。さらに「寒泉(かんせん)」とあるのは、冷たく清らかで、汲んでも尽きない泉のことです。つまり、五爻の水は、飾りではなく、実際に人が喜んで汲みに来る“本当に役に立つ水”です。
象伝が「中正(ちゅうせい)なればなり」と言うのは、五爻が偏りなく、筋を踏み外さず、中心に立って正しく保たれているからこそ、その水が自然に人を養う、という意味になります。ここで大切なのは、力があることよりも、正しさが崩れていないことです。
この爻を得るときは、「用いられて結果が出る位置」に入ってきます。ただし、勢いよく跳ねるというより、信頼を積み重ねて地歩を固める形になりやすいでしょう。五爻は坎の主でもありますから、評価が上がるほど責任も増え、楽ではありません。それでも、丁寧に務めれば、周りも自分も共に利を受ける――それがこの爻の骨格です。
◆ 含まれる教え
- 清さは、見せるためではなく「使われるため」にある
- 中心に立つほど、私心を抑え、公の益を優先すること
- 大きく跳ねるより、着実に信頼を積むほうが強い
- 評価が上がるほど責任も増えるが、それが水の働きでもある
- 正しさ(中正)を保てば、自然と人が集まり、潤いが広がる
◆ 仕事
ここは「使って結果が出る」局面です。
これまで積み上げてきたことが形になり、信用がついてきます。無理に派手な拡大を狙うより、
- 品質を落とさない
- 仕組みを整えたまま運用する
- 私利に傾かず、関係者全体の利益を考える
こうした姿勢が、評価と成果をさらに安定させます。
また、責任が増えて忙しくなる暗示もありますが、ここで丁寧に務めるほど、後の地盤が固まります。
◆ 恋愛
まとまりやすい流れがあります。
ただし「洌」「寒泉」の象意どおり、相手や当人が少し潔癖で、線引きがはっきりしやすい面もあります。
- 誠実さを崩さない
- 軽い駆け引きより、信頼を積む
- 相手のこだわりを尊重し、丁寧に進める
こうした関わり方が、自然に良い形へ導きます。
◆ 水風井・五爻が教える生き方
五爻が教えるのは、「人を潤す中心」に立つなら、清さを守れということです。
清く、冷たく、尽きない水は、言い換えれば、日々の姿勢の積み重ねで保たれます。
派手に勝ち取るより、正しさを崩さず、着実に務める。
そうすれば、こちらが呼ばなくても人は集まり、自然と用いられ、共に福を受ける――五爻は、その強い道筋を示しています。

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