周易64卦384爻占断
286、水風井(すいふうせい)4爻
◇ 井とは何か?
水風井(すいふうせい)は、「井戸」の象を通して、人や世を潤すもの(才能・徳・資源)は、汲み上げられてこそ意味を持つことを示す卦です。
そして井は、水そのものだけでなく、水を濁らせず、漏らさず、保つ仕組みもまた大切だと教えます。
四爻は、ちょうど井戸の上部に近い場所で、しかも陰爻です。ですから「水」ではなく、井戸の側や構えに当たり、井を整え支える働きを表します。
◆ 卦全体が教えてくれること
井の卦は、成果を派手に見せるよりも、中身が使える状態で保たれているかを重視します。
四爻は「自分が水として功を立てる」のではなく、良い水が良いまま働けるように、井戸を整備する役です。
目立つ活躍は少ないかもしれませんが、土台が崩れなければ、五爻(汲み上げる働き)も生きます。
だからこそ四爻は「咎なし」と断じます。――地味でも、正しく必要な仕事をしているからです。
◆ 四爻の爻辞と解釈
【爻辞(読み)】
井(せい)甃(いしだたみ)す。咎(とが)なし。
【象伝(読み)】
井(せい)甃(いしだたみ)し咎(とが)なきは、井(せい)を脩(おさ)むるなり。
● 解釈
四爻は外卦に入り、井戸の上の方に当たります。しかも陰爻なので、水そのものではありません。
ここで言う「甃(いしだたみ)」は、井戸の内側を石や煉瓦で固め、崩れないように整えることです。
四爻は、初爻のように泥で水を濁らせる立場ではなく、むしろ逆に、水が澄んだまま保たれるように守る側です。
位も正しく、五爻に近い位置にいて支えになるため、井全体の働きを妨げません。
ただし、この爻は「水」として汲まれるわけではないので、目に見える功績は出にくい。
それでも、井が壊れず、漏れず、濁らずに保たれること自体が大切な役目なので、「咎なし」となります。
たとえるなら、前に出て自分の才を誇るのではなく、中心に立つ者(五爻)が正しく働けるように、内側から整え、支える存在です。
派手さはないが、欠ければ全体が崩れる――その種の働きです。
そしてここで注意すべきは、四爻は「整える爻」であって、「攻めて伸ばす爻」ではない点です。
井の補修を忘れて外へ出ようとすれば、思わぬ障害を呼びやすい――この含みも読み取れます(変じて大過となる象意とも重なります)。
◆ 含まれる教え
- 目立つ成果より、内側を整えて保つことが大事な時がある
- 自分が主役にならなくても、全体を生かす支えは大きい
- 外へ打って出るより、まず崩れやすい所を補修する
- 焦って動くと、かえって障害を作りやすい
- “守り”は消極ではなく、次の発展を成立させる準備である
◆ 仕事
今は、前へ前へと押し出すより、体制・手順・内部の整備が最優先です。
攻めれば成果が出そうに見えても、足元が不安定なら、途中で崩れます。
- ルール・仕組み・役割分担の整理
- ミスの出やすい箇所の補修
- 内部の不満や対立の芽を早めに手当てする
こうした「井を脩むる」仕事が、結果的に一番効きます。
こちらから強く出て交渉を押し込むよりも、相手の出方に備えつつ、内側を守るほうが安全です。
◆ 恋愛
今は勢いで決めにいくより、関係が崩れないよう整える時です。
外からの口出しや誤解、タイミングのズレで壊れやすい面があるので、
- 誤解を残さない言い方
- 相手の立場を守る配慮
- 焦って結論を迫らない
こうした「補修」が大切になります。
急いでまとめようとすると、かえってこじれたり、壊れたりしやすい――という戒めがここにあります。
◆ 水風井・四爻が教える生き方
四爻が教えるのは、内側を整えることの重要性です。
自分が光るよりも、全体が正しく回るように支える。
その働きは静かですが、確かに「咎なし」です。
外へ攻めて勝ちを取りに行くより、
まず井を補修し、水を濁らせず、漏らさず、守り抜く。
その積み重ねが、次に「汲まれる水」を生かす道を開きます。

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