283、水風井(すいふうせい)初爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

283、水風井(すいふうせい)初爻

◇ 井とは何か?

水風井(すいふうせい)は、「井戸」の象により、人や組織を支える“共通の資源”や“生活の土台”を表す卦です。井戸は、掘り当てる場所(位)が正しく、水が澄み、汲み上げる仕組みが整ってこそ役に立ちます。反対に、底が泥で濁り、手入れもされず、誰も寄りつかなくなると、そこに水脈があっても「用いられない井」になります。初爻はまさに井の底に当たり、井の働きが発揮できない最下段の象意が強く出ます。

◆ 卦全体が教えてくれること

井の卦が教える中心は、「中身があっても、状態と仕組みが整わなければ、人に届かない」ということです。水があるか無いかだけではなく、濁りを除き、役立つ形に整え、時に合う運びに乗せてはじめて“飲用として使用される”ものになる。初爻では、焦って動いても成果が出にくく、むしろ“用いられない理由”を直視して整える必要が示されます。

◆ 初爻の爻辞と解釈

【爻辞(読み)】

「井(せい)泥(でい)して食(くら)われず。旧(きゅう)井(せい)に禽(きん)なし。」

【象伝(読み)】

「井(せい)泥(でい)して食(くら)われずとは、下(しも)なればなり。旧(きゅう)井(せい)に禽(きん)なきは、時(とき)舍(す)つるなり。」

● 解釈

初爻は井戸のいちばん下、つまり“底”に当たります。底は土と水が混じりやすく、濁りが溜まるところです。そこで「井泥して食われず」と言うのは、内容がどうこう以前に、今の状態が“飲用に供せず”、役に立つ形になっていない、という指摘です。象伝が「下なればなり」と述べるのも、原因を難しく言っているのではなく、位置が最下段であるために濁りが集まり、用いにくい状況——その理屈を明らかにしています。

さらに「旧井に禽なし」は、ただ古いという意味ではなく、“捨て置かれた井”の感じです。人が顧みないだけでなく、小鳥でさえ寄って喉を潤さないほど、荒れている。象伝の「時舍つるなり」は、まさに「時に捨てられ、機会を失っている」ことを言っています。ここでは、努力の量が足りないというより、状態が整わず、流れにも乗らず、労しても効が出にくい局面を示します。

また、この初爻は位も当を得ず、噛み合いが悪い象が重なります。たとえば、頼みにしていたものが他へ移ってしまう、肝心の資源や人手が想定通りに使えない、あるいは内側の連絡や手筈が混線して物事が濁ってしまう——そうした「形にならない」苦しさが出やすい。だから、ここで無理に押し通すよりも、まず濁りを減らし、整えるべきところを整える。けれど、整えてもすぐ成果に変わるとは限らず、“待っても空しく終わりやすい”という冷徹な見立ても含みます。初爻は、現状の厳しさを曖昧にせず、基礎の手入れに戻れ、と告げています。

◆ 含まれる教え

  • いまは「下」にあたり、濁りが溜まりやすい位置にいる
  • 中身があっても、状態が澄んで整わなければ人に届かない
  • 古井のように扱われると、助けも評判も集まりにくい
  • 労しても効が出にくい時は、押し切るほど裏目が出やすい
  • まずは“濁り”の原因(手違い・混線・対立)を減らし、基礎へ戻る

◆ 仕事

計画倒れ、手違い、内部の足並みの乱れなどで、頑張りが成果に直結しにくい時です。取引や交渉も、進めようとすると待たされ、待っても良い結果が見えにくい——そんな歯がゆさが出やすい。ここで大切なのは、派手な前進ではなく、手順・体制・役割の整理、情報の濁り(誤解や混線)の解消です。無理に押すと内輪が荒れやすいので、まず“整えることが仕事”になります。

◆ 恋愛

相手や周囲の状況が濁りやすく、話がすっと進みにくい時です。気持ちだけで動くほど、誤解やすれ違いが増えやすいので、焦って結論を急がず、まず信頼の土台と周辺環境を整える方がよい局面です。相手側の事情や価値観に「濁り」がある場合も示しやすいので、見えにくい点は丁寧に確かめ、無理に押し通さないことが安全です。

◆ 水風井・初爻が教える生き方

役に立ちたいのに届かない——そんな時ほど、やり方や努力量よりも、「状態」と「位置」を見直すことです。濁った井をそのまま汲もうとしても、誰も飲まない。まず泥を沈め、手入れをし、仕組みを整える。それでも“時に捨てられる”ほど流れが悪いなら、なおさら、焦って動くより、基礎に戻って立て直す。初爻は、成果を急ぐより先に、土台の見直し、清掃を命じています。

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