281、沢水困(たくすいこん)5爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

281、沢水困(たくすいこん)5爻

◇ 困とは何か?

沢(兌)の水が下へ漏れ落ち、水(坎)が深い穴へ沈みこむ象から、外に助けが見えにくく、内には焦りが募りやすい「困窮・行き詰まり」の時を表します。その中で九五は、卦の中心に立ちながらも、物事が思うように通らず、まずは痛みを伴う整理や立て直しを迫られる位置です。けれども、剛中(ごうちゅう)の徳があるため、やり方を誤らなければ、困をほどき、最後は「解(ほどける)」へ向かう力も宿します。

◆ 卦全体が教えてくれること

困の時は、勢いで押し切るほど深みにはまります。まず「何が困の原因か」を見きわめ、要らないものを切り落とし、それから助けとなる人や道を正しく迎えること。困のまっただ中で問われるのは、焦って動く器用さではなく、正しさを保ちながら現実を立て直す胆力です。

◆ 五爻の爻辞と解釈

【爻辞(読み)】

「劓(はなき)り刖(あしき)る。赤紱(せきふつ)に困(くる)しむ。乃(すなわ)ち徐(ようや)くにして説(よろこ)び有(あ)り。用(もっ)て祭祀(さいし)するに利(よ)ろし。」

【象伝(読み)】

「劓(はなき)り刖(あしき)るは、志(こころざし)未(いま)だ得(え)ざるなり。乃(すなわ)ち徐(ようや)くにして説(よろこ)び有(あ)るは、中直(ちゅうちょく)を以(もっ)てなり。用(もっ)て祭祀(さいし)するに利(よ)ろしきは、福(さいわい)を受(う)くるなり。」

● 解釈

九五は「困をほどく中心」に居ますが、最初から晴れやかに整うのではありません。まず「劓り刖る」とあるように、困を生む邪(よこしま)なもの、足を引っぱる要因を断つことが先になります。これは単なる苛烈さではなく、混乱の原因を放置しない、という強い整理の意志です。けれども、それだけでは「志いまだ得ざる」――困の根が残り、手応えが薄い。そこで次に必要になるのが、困を共に救う働き手、つまり“頼れる力”です。

ところが「赤紱に困しむ」とある通り、その人材がすぐ目の前に現れて都合よく動くわけではありません。身分や立場の違い、距離、タイミングのずれなどで、こちらが求める助力がすぐには噛み合わない。だから「徐(ようや)くにして説び有り」――時間をかけて、ようやく道が通り、喜びの兆しが立ってきます。ここで大事なのは、性急に結果を取りに行かず、「中直(ちゅうちょく)」――偏らず、筋を曲げず、正しい中心を守って人を迎えることです。

また「祭祀に用うるに利し」「福を受くる」とは、策略で勝ち取るというより、誠を尽くして筋を通した結果として、助けや幸いが“めぐって来る”ことを示します。困の九五は、困の原因を切り、助けを得て、困を解きほぐす。その順序を踏んだとき、ようやく運びが変わります。

◆ 含まれる教え

  • 困の突破は「原因を断つ」ことから始まる
  • 切るだけでは足りない。次は「助けとなる力」を正しく得る
  • 助けはすぐに噛み合わないことがある。だから拙速は禁物
  • まっすぐさ(中直)を守るほど、最後に道が通る
  • 誠を尽くして整えれば、幸いは後から付いてくる

◆ 仕事

立て直しの局面です。枝葉を広げるより、まず不採算・無理筋・混線している案件を整理し、柱になる一つを残して通すほうが結果が出ます。人の力が要るときですが、即戦力がすぐ動くとは限りません。依頼の順序、役割分担、権限の置き方を整え、時間を味方につけると「ようやくにして」流れが変わります。

◆ 恋愛

うまく行かない原因を曖昧にしたまま進めるほど、苦しさが長引きます。まずは「何が引っかかっているか」を切り分け、不要な疑い・不安・不誠実さを断つこと。そのうえで、すぐ結論を急がず、誠実な関わりを積み重ねるほうが吉です。勢いで押すより、筋を通して信頼を作る恋。

◆ 沢水困・五爻が教える生き方

苦しい時ほど、乱れの原因を見て見ぬふりをしないこと。けれど、断ち切るだけで満足せず、支えとなる力を正しく迎えて、少しずつ状況をほどいていくこと。困の中でも中心を外さず、まっすぐに整えていけば、遅れてでも必ず「説び(よろこび)」が立ってくる――九五は、その現実的な勝ち方を教えています。

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