周易64卦384爻占断
279、沢水困(たくすいこん)3爻
◇ 困とは何か?
沢水困(たくすいこん)は、進もうとしても妨げられ、留まっても安らげない状態を表す卦です。
外からの助けが乏しく、気持ちも状況も行き詰まりやすい時を示します。
この卦は「どう抜け出すか」よりも、誤った動きで苦しみを深めないことを重く教えています。
◆ 卦全体が教えてくれること
困の時は、
- 無理に動けば壁にぶつかる
- 逃げ道を探しても別の問題に絡まる
- 焦るほど状況が悪化しやすい
という傾向があります。
三爻は、その中でも特に進退が完全に詰まり、心が追い込まれやすい段階を示しています。
◆ 三爻の爻辞と解釈
【爻辞】
「石(いし)に困(くる)しむ。蒺藜(しつり)に拠(よ)る。
其(そ)の宮(きゅう)に入(い)り、其(そ)の妻(つま)を見(み)ず。凶(きょう)。」
【象伝】
「蒺藜(しつり)に拠(よ)るは、剛(ごう)に乗(の)るなり。
其(そ)の宮(きゅう)に入(い)り、其(そ)の妻(つま)を見(み)ざるは、不祥(ふしょう)なり。」
● 解釈
この三爻は、困難の中で落ち着いて耐えることができず、何とか状況を変えようともがく姿を表しています。
まず前へ進もうとすると、石のように動かない障害が立ちはだかります。
力を尽くしても、説得しても、状況はびくともしません。
これが「石に困しむ」です。
それならばと退こうとすると、今度は棘のある草に足を取られるような妨げに遭います。
離れようとすればするほど痛みを伴い、身動きが取れなくなります。
これが「蒺藜に拠る」という状態です。
象伝では、これは自分より強い力や立場に押さえつけられていることを意味すると説明しています。
進むことも退くこともできず、仕方なく自分の居場所に戻っても、
心を支えてくれる存在が見当たらない。
本来なら慰めや助けが得られるはずの場所に戻っても、孤独感だけが残ります。
これを「其の宮に入り、其の妻を見ず」と表しています。
象伝がここを「不祥なり」と断じているのは、
単に運が悪いという意味ではなく、
この状態で動けば、さらに良くない結果を招きやすいという強い警告です。
この爻で最も注意すべき点は、
苦しさのあまり、
- 強引な手段に出る
- 他人を押しのけてでも抜け出そうとする
そうした行動が、結局は自分自身を深く傷つける結果になりやすいということです。
◆ 含まれる教え
- 力では動かせない障害がある
- 逃げようとすると別の問題が絡みつく
- 戻る場所にも安心はないことがある
- 苦しさから無理をすると被害が拡大する
- 今は突破よりも「悪化を止める判断」が重要
◆ 仕事
仕事では、
前進しようとすれば壁に当たり、
やり方を変えても状況が改善せず、
強引な対応をすれば後で大きな負担になります。
成果を求めて無理をするより、
これ以上状況を悪くしない守りの姿勢が必要な時です。
◆ 恋愛
恋愛では、
関係を動かそうとすると摩擦が生じ、
距離を取ろうとしても感情が絡み、
孤独感だけが強まることがあります。
無理に答えを出そうとせず、
距離と冷静さを保つことが大切な段階です。
◆ 沢水困・三爻が教えてくれる生き方
この爻が伝えているのは、
「動けば好転するとは限らない。今は傷を増やさないことが最優先」
という姿勢です。
どうにもならない時は、
無理に解決しようとせず、
危険な動きを止め、
静かに耐えながら状況の変化を待つ。
それが、沢水困・三爻が示す、現実的で賢明な生き方です。

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