275、地風升(ちふうしょう)5爻占断

周易64卦384爻占断

周易64卦384爻占断

275、地風升(ちふうしょう)5爻

◇ 升とは何か?

地風升(ちふうしょう)は、地中に根を張った木(巽)が、地(坤)の養分を受けて、下から上へ、順を踏んで伸びていく姿を象った卦です。

ここで語られる「升る」とは、勢いで跳ね上がることではなく、支えられ、用いられ、力を受け渡しながら高みに至るという意味を持ちます。

したがって升の卦では、

・自分が前面に立つこと

・独力で成し遂げること

よりも、

・下の力を汲み上げること

・人を用いて事を成すこと

が、何より重要な本質となります。

◆ 卦全体が教えてくれること

升の道は、孤立した上昇ではありません。

根が養分を吸い上げ、幹を通じて枝葉に行き渡らせるように、下にある力が上を支え、上はそれを正しく用いることで、全体が健やかに成長します。

もし上にある者が、その仕組みを忘れ、功を独り占めしようとすれば、升は途中で止まり、やがて衰えに転じます。

升とは常に「上下が通じ合うこと」によって完成する卦なのです。

◆ 5爻の爻辞と解釈

【爻辞】

「貞(てい)にして吉。階(かい)に升(のぼ)る。」

【象伝】

「貞吉階(かい)に升(のぼ)るは、大(おお)いに志(こころざし)を得(え)るなり。」

● 解釈

五爻は、柔らかさと中正を備えて尊位に居る爻であり、升の中心点にあたります。

ここでいう「貞にして吉」とは、正しさを形だけ守ることではなく、私情を交えず、公平に人を用い、筋道を崩さないことを意味します。

とくに重要なのは、「階に升る」という表現です。

これは五爻自身が階を昇って誇る姿ではありません。

下の者たちが、それぞれの段階を踏み、宮殿の階を昇って出仕する、すなわち、下の力が活かされ、秩序立って働いている状態を示しています。

つまりこの爻の要点は、

下の者の力を得る時であると同時に、その力を正しく用いてこそ、よろしきを得る

という一点にあります。

下の者が力を持っていても、それを活かせなければ升は成り立ちません。

また、力を用いるにあたって、偏りや私心があれば、協力はたちまち離反に変わります。

五爻は、下の力を汲み上げ、それを公のために循環させる役目を担う爻なのです。

象伝の「大いに志を得る」とは、個人の願望が満たされるという意味ではなく、

上の志と下の志が一致し、全体として納得と同意が得られる状態

を指しています。

そこに至って、升の道は安定し、長く続く吉となります。

◆ 含まれる教え

この爻が教える要点は明確です。

・下の者の力を集めること

・その力を正しく使うこと

・自分が前に出すぎないこと

・公平さを失わないこと

これらが保たれている限り、升の運びは滞らず、成果は積み重なっていきます。

反対に、独断や驕りが生じれば、支えは失われ、升は途絶えます。

◆ 仕事

仕事においては、部下や周囲の協力を得やすい時です。

ただし重要なのは「人が集まる」ことではなく、集まった力をどう用いるかにあります。

役割を明確にし、才能を活かす配置を行えば、同じ作業を繰り返す中で、着実な成果が積み上がります。

一度に大きく押し切るより、段階を踏んで進める方が、結果的に大きな成功へつながります。

◆ 恋愛

恋愛においては、相手を立て、歩調を合わせる姿勢が重要になります。

自分が主導しすぎるよりも、相手の力や思いを尊重しながら関係を築くことで、安定した絆が生まれます。

急がず、段階を踏むことが吉となる時です。

◆ 地風升(5爻)が教えてくれる生き方

この爻が示す生き方は、

「下の力を得よ。だが、それ以上に、その力を正しく用いよ」

という教えです。

支えられていることを忘れず、支える力を循環させる。

その姿勢を保つ限り、升の道は止まらず、志は自然と大きく成就していくのです。

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